Position | Rider | Time |
1 | フレディ・スペンサー | 2:19.56 |
2 | 平 忠彦 | 2:22.40 |
3 | 木下恵司 | 2:22.73 |
4 | 河崎裕之 | 2:23.27 |
5 | 阿部孝夫 | 2:24.31 |
6 | 水谷 勝 | 2:24.95 |
7 | 上田幸也 | 2:25.31 |
8 | 島田 進 | 2:26.19 |
9 | 伊藤 巧 | 2:26.60 |
10 | 藤本泰東 | 2:26.74 |
Result | Rider | Machine | Time |
Point | Total | Ranking |
1 | フレディ・スペンサー | NS500 | 40:37.91 | 18 | 18 | - |
2 | 平 忠彦 | YZR500 | 40:51.06 | 15 | 86 | 1 |
3 | 河崎裕之 | YZR500 | 40:59.91 | 13 | 13 | 15 |
4 | 阿部孝夫 | RS500R | 41:12.35 | 11 | 70 | 3 |
5 | 水谷 勝 | RG500γ | 41:25.99 | 9 | 31 | 7 |
6 | 伊藤 巧 | RGB500 | 41:48.69 | 8 | 60 | 4 |
7 | 島田 進 | RGB500 | 41:57.53 | 7 | 52 | 5 |
8 | 草間郁夫 | RGB500 | 41:57.81 | 6 | 28 | 8 |
9 |
上田幸也 | RS500R | 41:58.39 | 5 |
18 | 11 |
10 |
長谷川嘉久 | RS500R | 42:03.74 | 4 |
13 | 16 |
1週間前の9月4日サンマリノで、あのキング・ケニーを破って最年少チャンピオンの
栄誉に輝いた『フレディ・スペンサー』が鈴鹿にやってきた。
熾烈な全日本チャンピオン争いの木下と平だが全ての視線はワールドチャンピオンに集中した。
スペンサーの鈴鹿は81年の8耐以来で、シケインはもちろん初めて。
平が持つコースレコード2分22秒42を超えられるのか?
しかし金曜日の公式練習で易々と21秒台をたたき出した。
そして予選でスペンサーはとんでもないタイムをたたき出した。
20秒台に入るか?と思われていたが、夢の19秒台。『2分19秒56』
スペンサー独りでのこのタイム。ここにケニー・ロバーツがいれば・・・
日本人では平ただ一人が自分のレコードを僅かに上回るに留まる。
誰もがスペンサーの独走を信じて疑わなかった。
しかし、木下だけは違っていた。勝つ気でいるのだ。
「世界チャンピオンに勝って日本のチャンピオンになる。」
それが木下の回答だ。
予選タイムは3秒17差、しかし今の木下ではついていけないタイムではない。
自分を超えるいいチャンスだ。今まで経験無い未知のペース。
予期せぬマシンの挙動、最悪は転倒という結末が待っていることは承知の上だ。
レーススタート。スペンサーのNSはどのマシンよりも早く目覚めた。
これがワールドか?平、木下、河崎のOWも一瞬遅れて火が入る。
(河崎裕之はヤマハカムバック後初のレース)
(スタート時の連続写真があるので見て下さい)
木下は逆バンクあたりまででスタートの遅れを取り戻していた。
83年シーズン、ケニー・ロバーツのみが捕らえ続けたスペンサーの後ろ姿、
ダイネーゼつなぎの「キツネ」マークが背中で大きく目を光らせている。
深々と体を落とし込み膝を地面へ押し当てるハングオンスタイル。
2つの縦長のテールパイプの突き出したNSのシートカウル。
その背後に木下は迫っていった。
ヘアピンの実況アナウンスが、スペンサーと木下の差が0.6秒を告げる。
スプーンカーブ。木下のOWは3速から2速へシフトダウン、
しかし1速に入ってしまった。瞬間、木下はOWから大きく跳ね飛ばされ
木下のスペンサー追走劇は幕を閉じた。
スペンサーがホームストレートに帰ってきた。グランドスタンドのざわめきで
場内アナウンスが聞き取れない。木下が帰ってこない。
平が約3秒後に通過。20数台通過しても木下がいない。
やっと聞こえたアナウンスで「再スタートは切らない模様」を確認した。
こうして私の83年日本GPは、ほんの1周足らずでクライマックスを迎え
83年シーズンを終えた。
結果はスペンサーがぶっちぎり(予想通り)2位に13秒差で優勝。
2位に平が入り、久々のレースになった河崎が3位と検討した。
平 忠彦が83年全日本500チャンピオンに輝いた。
そして木下恵司は84年新たな戦いの場・・・ホンダHRC・・・へ
平 忠彦はヤマハのエースの座へとそれぞれの通を歩むことになる
Position | Rider | Time |
1 | 福田照男 | 2:26.52 |
2 | 三浦 昇(B級) | 2:29.48 |
3 | 毛利良一 | 2:30.04 |
4 | 樋渡 治 | 2:30.31 |
5 | 斉藤光雄 | 2:31.25 |
6 | 古屋喜一郎 | 2:31.42 |
7 | 酒井清孝 | 2:32.22 |
8 | 西川原 尚 | 2:32.39 |
9 | 坂口 彰(B級) | 2:32.81 |
10 | 石川了次(B級) | 2:32.82 |
Result | Rider | Machine | Time | Point | Total | Ranking |
1 | 福田照男 | TZ250(84) | 37:23.21 | 18 | 26 | 6 |
2 | 樋渡 治 | TZ250 | 37:41.35 | 15 | 68 | 2 |
3 | 古屋喜一郎 | TZ250 | 38:05.57 | 13 | 27 | 5 |
4 | 毛利良一 | TZ250(84) | 38:06.74 | 11 | 44 | 3 |
5 | 小林 大 | TZ250 | 38:15.50 | 9 | 37 | 4 |
6 | 森 雅彦 | TZ250 | 38:15.97 | 8 | 16 | 16 |
7 | 阿部三吉 | TZ250 | 38:25.44 | 7 | 18 | 14 |
8 | 菊地庸夫 | TZ250 | 6 | 20 | 12 | |
9 |
田中光男 | TZ250 | 5 |
14 | 19 | |
10 |
仲川 昇 | TZ250 | 4 |
16 | 17 |
82年チャンピオンの福田照男がWGPでの活躍を引っさげて
鈴鹿に帰ってきた。世界の速さを身に付けた福田は、
急遽84年型TZを渡され慣れないマシンにてこずるかに思えた。
自分のマシンでは1週間前に27秒台に入っている。
どっこい、福田は驚くほどに成長していた。
コースレコードを2秒も上回る2分26秒52をたたき出した。
福田曰く「24秒台は出せた」自信満々だ。
83年全日本チャンピオン斉藤はニコバッカーフレームのTZを持ち込み
福田を迎え撃つが予選タイムは平凡に終る。
福田がレースを楽勝することは自他共に認めるところだ。
WGPの走り 福田照男 |
レースは、スタートから違っていた。スタートが勝負を決するWGPで
体得した福田とやはりWGP帰りの酒井清孝が好スタートを切る。
福田と酒井が引っ張る形になり、WGPのレベルの高さを実証するが、
2位を走る酒井だが、福田との差は歴然、実はマシンは借り物で、
チェンジペダルが折れてリタイアしてしまう。これで福田の独走だ。
2位争いになった樋渡と古屋、それにいつも通りの追い上げを見せる
83年チャンピオンの斉藤、しかし斉藤は12周目ヘアピン手前で転倒してしまう。
予選2位と注目されていたB級最速の三浦はスタート前から電気系トラブルで、
注目されていた福田との戦いは実現されなかった。
結局、福田がぶっちぎりで優勝、樋渡、古屋の順となった。
もう一台の84TZに悩む毛利が4位に入った。
噂のホンダRS250Rは未だ現れず。
Position | Rider | Time |
1 | 山本陽一 | 2:34.92 |
2 | 五百部徳雄 | 2:37.15 |
3 | 栗谷二郎 | 2:37.22 |
4 | 富田英志 | 2:37.85 |
5 | 三枝幸彦 | 2:37.88 |
6 | 江崎 正 | 2:38.72 |
7 | 篠田雅樹(B級) | 2:38.76 |
8 | 越山英利 | 2:38.89 |
9 | 榊原健二 | 2:39.78 |
10 | 佐藤順造 | 2:40.52 |
Result | Rider | Machine | Time | Point | Total | Ranking |
1 | 山本陽一 | RS125 | 31:24.03 | 18 | 82 | 2 |
2 | 富田英志 | RS125 | 31:28.35 | 15 | 64 | 3 |
3 | 三枝幸彦 | RS125 | 31:47.66 | 13 | 25 | 7 |
4 | 栗谷二郎 | RS125 | 31:56.63 | 11 | 83 | 1 |
5 | 一瀬憲明 | RS125 | 31:57.02 | 9 | 56 | 5 |
6 | 越山英利 | RS125 | 32:03.74 | 8 | 24 | 8 |
7 | 島 正人 | RS125 | 32:04.13 | 7 | 16 | 10 |
8 | 菊地正剛 | YZ125 | 32:11.97 | 6 | 8 | 15 |
9 |
榊原健二 | RS125 | 32:20.60 | 5 |
11 | 11 |
10 |
小沼賀代子 | RS125 | 4 |
20 | 9 |
チャンピオンの可能性があるのが栗山、山本、江崎の3人。
栗山が一歩リードしている。
そんな栗谷に予選でアクシデントが襲う。
1コーナーでエンジンが焼き付き、転倒。右肩を打ち力が入らない。
また、「1コーナーが怖い」と心理的影響を隠せない。
決勝スタートはポールの山本が好スタート、チームメイトの富田を従えて
トップをキープ。ガードは固い。栗谷が5位以下ならば山本の逆転チャンピオンである。
一方栗谷はやはり右肩の怪我でスタート失敗。
今回も予選から不調の江崎は右ハンドルが折れリタイヤ。
何とか4位まで順位を上げた栗谷は前の3台を確認できる所まで来ていた。
しかし、栗谷は4位でチャンピオンになれることを計算し、あえて前を追わずに
ポジションキープの作戦に出る。
そんな栗谷に一瀬がじわじわと忍び寄って来た。
迎えた最終ラップ、バックストレッチで一瀬にかわされた栗谷は、
第6戦で江崎に抜かれシケインで転倒した時の事を思い出さずに要られなかった。
130Rで一瀬にピタリと付けシケイン勝負だ、相手こそ違うが第6戦と同じだ。
栗谷は狙いすまして一瀬のインを突く。一瞬一瀬がひるんだ。
栗谷はそのチャンスを逃さなかった。
4位を死守した栗谷はA級1年目にして見事チャンピオンに輝いた。
Result | Rider | Machine | Point | Total | Ranking |
1 | ロブ・フィリス | KZ1000 | |||
2 | 三上訓弘 | GSX1000 | 15 | 21 | 5 |
3 | 八代俊二 | KZ1000 | 13 | 37 | 1 |
4 | 喜多祥介 | Z1000J | 11 | 21 | 7 |
5 | 清原明彦 | KR1000 | 9 | 36 | 2 |
6 | 斉藤昇司 | KZ1000 | 8 | 8 | 12 |
7 | 徳野政樹 | RS850R | 7 | 22 | 4 |
8 | 萩原紳治 | VF750 | 6 | 9 | 10 |
9 |
日下直一 | KR1000 | 5 |
5 | 16 |
10 |
天野雄二 | Z750 | 4 |
4 | 17 |
1000cc最後のTTF-Tレースとなった最終戦日本GP。
モリワキは再びロブ・フィリスをエントリー。
各チームも満を持して挑んだ。
ポールを取ったのは、B級に上がったばかりの岡。
8hでは3位目前で転倒しているだけに雪辱戦だ。
2番手は徳野、3位は八代、4位に三上と8hコンビだが、
F-Tではそれぞれモリワキとヨシムラに乗る。
フィリスは予選5位。8hでは転倒し足を痛めた。
6位は清原、皆8hの雪辱戦だ。
決勝日 カワサキワークス ピット前 KR1000が並ぶ |
|
ヨシムラ・モリワキ ピット前 1000ccモンスター マシンだ |
|
フロントロー 手前から 岡(30) 徳野(1) 八代(36) 三上(6) |
|
セカンドロー 手前から フィリス(03) 清原(31) 荒木(23) 斉藤(41) |
|
レーススタート TTF-Tは クラッチスタートだ |
レースは徳野、清原がスタートダッシュするが、ヘアピンで
フィリスがあっさりとこの2人をパスしトップへ出る。
徳野、清原は三上、岡、八代、喜多にもかわされヤングパワー炸裂。
6周目に岡が転倒。
三上はフィリスにも届く勢いだが結局2位止まり。
モリワキ/ヨシムラがカワサキ、ホンダのワークスをおさえ
1・2・3を飾った。
ランキングでは優勝こそ無いものの全戦でポイントを稼いだ
八代俊二がトップ、B級ながら1000cc最後のチャンピオンとなった。
Result | Rider | Machine | Point | Total | Ranking |
1 | 宮城 光 | CBX400F | 18 | 48 | 1 |
2 | 山本浩生 | VF400F | 15 | 30 | 5 |
3 | 柴田真直 | VF400F | 13 | 34 | 4 |
4 | 佐々木美博 | CBX400F | 11 | 37 | 3 |
5 | 藤本義夫 | Z400 | 9 | 9 | 12 |
6 | 福本 忠 | CBX400F | 8 | 45 | 2 |
7 | 難波義英 | VF400F | 7 | 7 | 16 |
8 | 西田克也 | Z400 | 6 | 6 | 19 |
9 |
花村忠昭 | GSX400FW | 5 |
29 | 6 |
10 |
森 盛幸 | XJ400Z | 4 |
6 | 18 |
真夏の祭典、鈴鹿4時間耐久レースでは、山本が予選で2分34秒94という
タイムを出しながらマシントラブルでリタイヤ。逆に予選でトラブルに見舞われた
モリワキ宮城/福本が優勝を飾った。
83年鈴鹿4時間耐久の 表彰式 モリワキ宮城/福本組が 予選のトラブルを克服して 見事優勝した。 |
そして迎えた最終戦、日本GP。
レースは序盤から山本と宮城の一騎打ち。最終戦でやっと2人の対決が実現する。
レース中山本は2分31秒89というタイムをたたき出し、宮城を突き放しにかかるが、
宮城も負けじと食い下がる。
勝負は最終ラップのシケインまでもつれこんだ。宮城は山本のインを突き
トップに出ると残るは最終コーナー、宮城がトップでゴール。
山本は惜しくも2位に終った。
宮城は3連勝でポイント上でもトップに逆転し、初代チャンピオンに輝いた。
尚、宮城はノービス250でもチャンピオンを決めており、スーパーノービス宮城と騒がれた。
のべ参加台数は817台を数え、ポイント獲得者は僅か27人と厳しいクラスであった。
そして84年からは、いよいよ国際AB級でのレースも開催され、
A級ライダー達はスーパーノービス組を迎え撃つ。
メーカー各社もこのカテゴリーに向けて新車をどんどん発表。
ますます面白くなりそうなTTF−Vクラスだ。
レースプログラム 表紙はWGPでした |