あなたのまちにPFIを
       

はじめに と 目次  あなたのまちにPFIを ケーススタディ PFIはじめて物語

 

 

                                                                  

  このホームページは、平成12年度埼玉県・市町村職員共同政策研究「あなたのまちにPFIを 〜公共事業の新しい鍵〜」の研究成果を紹介するものです。

 

PFI。 BOT、PSC、LCC、VFM、SPC、LLCR、DSCR、EIRR、etc・・・。
横文字の氾濫。
これだけを見てこの報告書を閉じてしまう人がいるのではないでしょうか。
そうなんです。この横文字との闘いが、私たちPFI研究チームのメンバーが乗り越えなければならない第一の関門でした。

 それもそのはず、
PFI(Private Finance Initiative)は英国生まれの公共事業の実施手法なのです。日本語訳には定説がありませんが、通称「PFI法」と呼ばれている「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号)」の語法によれば、「民間資金を活用した公共施設整備」ということでしょうか。

 少し前までの英国は、経済状態が長期低迷し、財政難と公共サービスの質の低下に陥っていました。また、通貨「ユーロ」に参加するために国の財政赤字(負債)を減らすことが求められたのでした。そこで、民間の技術を活用し、安くて良質な公共サービスを提供させると同時に、施設建設に必要な資金を民間に調達させることにより、国が直接債務を負担しなくてすむようにしました。これがPFIの始まりです。

 PFIにおいて中心をなす考えが、VFM(Value for Money)です。直訳すれば、「お金に見合った価値」ですが、
こういうことです。

@ 同じサービスであれば安い方が良い。  
A 同じ値段であれば良質のサービスが受けられた方が良い。

VFMを達成するために「リスク」の最適な配分が図られます。「リスク」は必ず「コスト」として跳ね返ってくるからです。

「リスク」と「コスト」。私たち公務員が普段意識することの少ない概念ではないでしょうか。
 サービスの提供には「リスク」を伴います。例を挙げれば「お客さん(利用者)が何人くるか。」というのは「リスク」です。そして、その「リスク」によるダメージが「コスト」になります。「お客さんが少なくて収入が減少する」又は「お客さんが少なくならないように努力するための費用」が「コスト」となるわけです。PFIでは、「リスクを最もよくコントロールできる者が、リスクを負う」ことによりコストを削減します。

 PFIの契約においては、事業期間(建設から運営までの全期間)のすべてのリスクを契約書に盛り込むことになります。「甲乙協議して」などという普段使っている契約の条項は将来に禍根を残します。なんといっても長い期間の約束事なのです。また、契約期間を通して果たして事業が成り立っていくのかを確認しておくことも必要です。民間事業者(SPC:Special
 Purpose Company)が調達した資金を確実に返済していくことができるかどうか、事業への出資に見合った配当が得られるかどうかなど企業財務やファイナンスの知識も重要でしょう。

さてここで、「民間活力の導入」ならば、第三セクターの失敗例などで懲りたのではないか、と思う人もいるでしょう。確かに官・民共同による公共事業の推進という形態はPFIと似ているように思われます。しかし「リスク」の考え方が根本的に違っています。

第三セクターの失敗事例では、「リスク」(先の例では「お客さんの数」。)の配分が曖昧だったために、結局、公共側が無用な追加支出を強いられているものが多く見られます。PFIでは、すべての「リスク」が契約で定められているので、仮にこのリスクを公共側が負うとしても、それは最初から計算に入れられている場合に限られます。リスクを負ってでもPFIで実施した方が有利との当初の判断により事業が進められているのです。

したがって、事業を始める前のリスクの見積が不十分であったり、契約におけるリスクの配分が不適当であったりすれば、第三セクターの二の舞になることは必至です。これを避けるためには公共側も企業財務的な要素も含めたPFIの特性を十分理解する必要があります。   

 

さあ、ここまで来て、
「PFIとは到底普通の公務員の理解できる分野ではない。
コンサルタントか専門家に任せてしまおう。」
 
と思って本書を閉じてしまおうとしているあなた。
 忘れてはいけません。私たちの研究もそのレベルから始まったのです。
 
これは、そういうあなたのために書かれた報告書なのです。

 

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