さそり座 

蠍座:Scorpius(Sco):Scorpion
★20時南中:7月23日
★南中高度:29度
★肉眼星数:101個
★設定者 :プトレマイオス
★美しいS字曲線が目印
さそり座は、7月になると南の空に昇ります。熱帯地方の生き物らしく、
まるで自ら「夏は俺様の季節だ!」と自慢しているかのようです。
さそり座の目印は、その胸元で神秘的な赤色に輝く1等星アンタレス、
そして、明るい星々が描き出すS字曲線です。

★さそり座とオリオン座の神話
力自慢のオリオンは、常日頃から「自分にかなうものは無い」と高言して
はばかりませんでした。それを快く思わなかった大神ゼウスの后ヘラは、
オリオンに大さそりを投げ、オリオンをその猛毒で殺してしまいました。
このため星座になってからも、オリオンはさそりを恐れ、さそり座が天に
姿を見せると、自らは地平に身を隠すのです。
▲さそり座とオリオン座。 星空で正反対に位置するため、ふたつの星座が
同時に見えることはない。この様子が神話に取り入れられている


●南中位置での見つけ方
まずアンタレスから見つけよう
1.まず最初にさそり座の主星のアンタレスを見つけてみましょう。
  真南を向いたら、げんこつ3個分上を見ると、赤く輝く1等星アンタレスが
  見付かります。その両脇には親指幅の間隔で、への字型にならんでいる、3
  等星を見つけましょう。これがちょうどさそりの胸の部分に当たります。
2.今度はさそりの頭の部分を見つけます。
  アンタレスから西(右)へげんこつひとつ分の所に、3つの星が親指間隔よ
  りも少し広い間隔で縦に並んでいるのが見つかるはずです。
3.最後にさそりの象徴でもある、尻尾をたどってみましょう。
  アンタレスから南(下)へげんこつひとつ半、そこから東へげんこつひとつ半
  の間にいくつかの星が、ちょうど釣り針のような形で並んでいます。これが
  さそりの毒針の部分です。

●さそり座ウォッチングのポイント
【α星(アンタレス)】
およそ4〜5年の周期で、0.9等〜1.2等級に変光している、赤色の超巨星
です。アンタレスには、およそ900年の周期で、その周りを巡っている、離角の
小さな5等級の青白色をし伴星があり、中口径の望遠鏡で、観測することができ
ます。   「アンタレス」は「火星に対抗するもの」と訳されますが、赤色をしてい
ることから、その輝きは、火星によく似ています。

【β星】
2.6等星と4.9等星のふたつの星で構成されている、二重星で、小型の望遠鏡
でも簡単に分離して、観測することが出来ます。このふたつの星には、相互に
力関係はなく、地球からそれぞれ530光年、1100光年という距離にあります。

【μ星
肉眼でも分離して観測できる、二重星です。主星は34時間の周期で、2.9等
から3.2等級まで変光する食連星で、伴星は3.6等級です。
★さそり座付近の天の川
 さそり座の尾と、いて座の南六斗のあたりは、夏の天の川の中では、もっとも
明るくて幅の広い部分で、夏の宵の南の空では、見物になっています。
しかし残念なことに都会では、街明かりに阻まれて、その存在はほとんど見る
ことができません。できれば夏休みに街を離れて、見上げてみたいものです。
まるで光の入道雲のような入り乱れた光芒に、圧倒されることでしょう。