「と、言うわけで、今日はユニちゃんにお料理を教えることになりましたぁっ♪」
「セリオさん、誰に言っているのですか?」
「いえーい! 気にしちゃいけませんよお嬢さん! 旅は道連れ世は満足じゃ!」
「不思議な言葉ですね。すごいです。さすがセリオさん」
「おっしゃー! じゃあ、何作るかユニちゃーん」
「では……中国料理の満漢全席を」
「おっけー! ……って、材料足らんわあっ!(ぺち)」
「あうっ」
「では次のお題をっ!」
「熊の手」
「よっしゃ! じゃあ北海道にいって熊シメてきます!」
「いってらっしゃいませ」
たったった……。
……たったった。
「止めろぉ! 引っ込みつかなくなっちゃったじゃないかあ!」
「あうっ」
「そんだば次はっ」
「カップラーメン」
「いえーす!」
べり。
こぽこぽこぽ。
(三分経過)。
ずずず〜。
「……これのどこが料理だぁっ!」
「あうっ」
「さあ、次こそはっ!」
「サバの味噌煮」
「サバじゃねえっ!」
「シャンゼリオン、ビデオ出ないですかねえ」
「出てるのですかねえ」
以下30分、シャンゼリオン談義。
「って、違〜う」
「あうっ」
「そろそろ真面目にやらないとっ!」
「では、原典に忠実に、エビフライを」
「おしっ、じゃ、エビを買いにいきましょう!」
だばだばだば……(外出中)
……だばだばだば(帰宅中)
「よしっ。自分はエビの下ごしらえをするっ! ユニ軍曹はキャベツを切りたまえっ!」
「いえす、まむ」
「えっと、小麦粉はどこに置いたっけ?」
「(とんとんとん、ざく)」
「ザク? 今風に言うとボルジャーノン?」
「……指、切っちゃいました」
「って、大丈夫!? ユニちゃん! 指は心臓より高い位置にっ!」
「はいっ」
「えっと、ばんそーこばんそーこ。あ、あった。さあ貼るわよユニちゃんって、しまった、指が高い位置にあるから貼りにくいっ」
「どうすれば良いのでしょう?」
「ま、まって、落ち着いて考えて、えっと、えっと、そうだ、椅子椅子!」
「あ、その椅子は」
「さあ、これで高い位置にある指にもバンソウコウが貼れるぜっ!」
「足が折れかけているのではなかったでしょうか?」
「へ?」
ぼき。
「ギャワー! ユニちゃんへるーぷ」
「この手に捕まって下さい!」
「おりゃあっ」
がしっ。
「つかめたぁっ!」
「……痛いです」
「ああっ、こっちは切った方の指っ! 駄目よユニちゃん! ちゃんと心臓より高い位置にっ」
「はいっ」
「ああっ、やっぱり高い位置にあるからバンソウコウを貼りにくいっ」
3回繰り返す。
「あの、貼るときは指を下げれば良いのではないでしょうか?」
「それだぁっ!」
一件落着。
「ふう、一時はどうなるかと思ったですね」
「はい」
「しかし、刃物を扱うときはマジ気をつけてね」
「はい。気をつけます」
「そんじゃあ、再開しましょうか!」
エビフライ作成中。
「さあ。油で揚げましょうか!」
「油の温度は平気でしょうか?」
「大丈夫! 今サテライトサービスで調べた所によると、プロは自分の手を突っ込んで温度を見るハズ!」
「それはどうでしょうか?」
「ともかくっ、えいっ」
「どうですか?」
「あちぃわっ!」
教訓:油を触ってはいけません。
「危うくエビじゃなくて私が揚がっちゃう所でした……」
「セリオさんが揚がった場合は、ご主人様はセリオさんを食べるのでしょうか?」
「え?」
……(セリオ、妄想中)
「それは食べるの意味が違ーう!」
「どういう意味でしょうか?」
「ともかく、今度こそエビを揚げましょうって、あれエビはどこ?」
「あれではないでしょうか?」
床の上。
「……」
「……」
「……洗えば、食べられるよね」
「しっかり洗えば、ばい菌等の問題もありません」
「そうだよね。揚げるし」
「はい。おおむね大丈夫です」
ジャー(蛇口の水で洗っている)
ぱふぱふ(小麦粉をつけている)
ぺたぺた(溶き卵をつけている)
ぽんぽん(パン粉をつけている)
じゅわー(揚げている)
「……良し」
「……完壁、です」
*
「ただいまーってなんかいい匂いだねーあエビフライだねー庶民の喜びって感じだねー」
3人。食卓につく。
主人、エビフライを食う。
「ん? どうしたの二人とも? 食べないの?」
「あははははははははははは」
「私たちはいいですから、どうぞ」
「ん?……ああ、そうか。うん。女の子だからね。油分高いしね」
「あはははははははははははははははは」
そんな感じで今日も終わる。
(つづく)