前略。
 我が家の風呂釜がお亡くなりになりました。がっでむ。

「はい。……あ、そうですか。わかりました。はい。あ、いいえ。それでは」
「……なんかいやな予感しますけど、業者さんはなんといっておられますか?」
「んー。なんか年内は無理そうだって。年明けても三が日はお休みだそうだし」

 がーん。
 なんと言うことでしょう?
 風呂釜が直らないっつーことはお湯を沸かせないと言うことで、つまりお風呂に入れないのです。

「ま、年末年始はどこも忙しいから」
「そんな言葉ですませられないですよ。さすがに今この時期に水風呂に入るわけにもいきません凍死しちゃいますでもお風呂には入りたいです」
「と、言われてもなあ」

 私たちがそんな会話をしていると、台所で何やらやっていたユニちゃんがちょいちょいと手を振って、

「セリオさんセリオさん」
「はい? なんですか?」
「私、いいこと考え付きました」

 そう言ってユニちゃんは胸を張ります。その顔はどこか誇らしげ。
 ユニちゃんは、その手にポットを持って、

「これで、お湯を沸かします。で、」

 そしてお風呂場に向かい、

『こーやってお湯を入れます。これを繰り返せば、』

 戻ってきて

「お風呂がいっぱいになると思うんです」

 ナイスです。ユニちゃん。でも。

「……でも、それ、何回もやらないと一杯にならないし、ポットのお湯を沸かしているうちにお風呂のお湯が冷めちゃうんじゃ……」

 ご主人様の控えめなツッコミ。ぴた、と止まるユニちゃん。
 ユニちゃんは、静かにポットを置いて部屋の隅へ。
 あ、スネちゃってる。

「あ、ご主人様。ユニちゃんいじめちゃいけないです」
「え? あ、ごめん。そーゆーつもりじゃなかったんだ」

 必死にユニちゃんのご機嫌を取ろうとするご主人様。
 しかし、実際どうしたものでしょう?
 
1.銭湯に行く。
2.サテライト・サービスを用いて自力で風呂釜を直す。
3.煮る。