〜 8月1日 〜


・・・・・・っ!!

・・・・・・みより・・・・・・。
えっ? (きょろきょろ)・・・・・・あっ!!
!!!! (ぎゅ・・・・・・)
みより・・・・・・はは、ホントにいた。なんだ・・・・・・行くトコ行けばこんな簡単に会えたんじゃないか・・・・・・。ホントに会えた・・・・・・!
あっ。(するっ) ・・・・・・おにいちゃん・・・・・・。
ご主人様・・・・・・。
みより。
・・・・・わたし・・・・・・ご、ごめんなさい! わたし、あのね――
いいよ。・・・・・・いいから。元気だったか?
うん・・・・・・。
そうだよな。いつでも無駄に元気が取り柄だもんな、みよりは。良かった・・・・・・。
・・・・・・おにいちゃん。
ご主人様・・・・・・。
良かった、また会えて・・・・・・。
だーあー。あーあー。
くすっ。ご主人様、泣くか笑うかどっちかにしないから、赤ちゃんに笑われてるよ〜。
なんだよ、べつに泣いてなんかないぞ。どっちかっていうと、お前のほうだろ・・・・・・。
(どきどき)えっ、あれ、うそっ。久しぶりに会って、それだけなのに・・・・・・。どうしよう、こんなに嬉しい・・・・・・。
みより・・・・・・。
おにいちゃん!!
えっ?
あ・・・・・・!
ちゃんとあたしにも紹介してよっ! なんかやだ・・・・・・あたしの知らない人、ばっかなんだもん・・・・・・。
ああ・・・・・・そっか。ごめん、瑞葉。この子がみより、だよ。天瀬瑞葉。もしかしたら、みよりには分かるかもしれない・・・・・・けど。俺の幼馴染み・・・・・・かな。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
あ、わたし・・・・・・。
――みよりちゃん、ジュース、買ってきたよ。・・・・・・って――
・・・・・・天瀬!?
・・・・・・宏樹くん? え、なんで、宏樹くん、東京の大学に行ったんじゃなかったの!? なんでここにいるの??
いや、加藤がこっちでいいバイトがあるからって言うからさ、夏休みになってからあいつの所に転がりこんでるんだけど・・・・・・。
あ、あれ、加藤くん、こっちに進学したんだっけ?
ああ。まあ天瀬が知らないのも無理はないけどさ。 あ、天瀬って言っても、みよりちゃんの事じゃなくて。
え? う、うん。
・・・・・・っ!
・・・・・・。ね、宏樹くん、ちょっと。
うん? あ、ちょっと待った。みよりちゃん、オレンジとコーヒーとどっちがいい?
え、あ、ありがとう! でもわたし、それより赤ちゃんのミルクの時間だし。
あ、そう・・・・・・。じゃあ天瀬、どっちか飲む?
そんな事より、ちょっとこっち来てよ! (とことこ)
瑞葉?
あ、心配しないでおにいちゃん。このひと、高校の時の同級生だから。
ああ・・・・・・。
あ、えーと。まあ、そういう事だからちょっと・・・・・・。
あいかわらず、いきなりワガママ始めるんだもんな・・・・・・。(たったった・・・・・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・。
天瀬?
宏樹くん、なんでみよりちゃんと知り合いなの?
・・・・・・あ、天瀬、妬いてる?
宏樹くん!
・・・・・・ごめん、冗談だよ。
さっきも言ったけどさ、俺、7月の終わりからこっちにバイトに来てんだよ。そっちの山のゴルフ場。加藤のトコに転がりこんでさ。
あたし、こっちに戻るまでバイトしたことないからよくわかんないけど・・・・・・東京からわざわざ来るほどいいお仕事なの?
まぁね。金額で言えばそんな効率がいいってほどじゃないけどさ。そもそも、俺の方に話が回ってきたのも人数合わせのためだし。それより・・・・・・ちょっと、聞いてさ。
? なにを??
平尾から、天瀬の実家がこの街だってさ・・・・・・。
えっちゃんから? 宏樹くん、もしかして付き合ってたの!?
違うって。なんでそうなる。そーゆーんじゃなくて、平尾、天瀬と仲よかったからさ。卒業式のあと、聞いてみたんだよ。
・・・・・・あ、そうなんだ。
で、まあ・・・・・・なんてゆーか・・・・・・それで・・・・・・な。
もしかして、みよりちゃんとあたしと、間違えて声かけたの?
まあ・・・・・・ぶっちゃけたハナシ、最初はそーゆー事。
・・・・・・おにいちゃんは、間違えたりしなかったよ。
天瀬の「おにいちゃん」、か。さっきのが?
うん。あたしのおにいちゃん!
・・・・・・でも、何年も会ってなかったんだろ。本当に兄妹ってわけでもなく。
うん・・・・・・。でも、おにいちゃんはおにいちゃんだもん・・・・・・。
そーかよ。そうなんだろうな!
なにその言い方。なんかヤ・・・・・・。
べつに。あ、そーだ。あったまっちまうからな。やるよ。オレンジが好きだったよな。
え? あ、ありがとう・・・・・・。
天瀬は今どうしてるんだ? 家事手伝いってやつか?
んーん。メイドさん。
は?・・・・・・みよりちゃんみたいに店の制服ならともかく・・・・・・それって家事手伝いだろ、要するに。
違うもん、ちゃんとお仕事してるもん。お母さんはまだ北海道だから、おにいちゃんちに泊まってバイトしてるの。予備校行きながら。
今時本当にメイドの仕事なんてあるのかよ? ヤバイ仕事なんじゃないのか?
違うってば! おにいちゃんち、お金持ちでお家も広いから、メイドさんがいるのが当たり前なの!
当たり前ったって、普通居候させるのにそんな仕事させるか?
だって、それはあたしがバイトしたいって言ったから、住み込みでバイトさせてもらうようになったんだもん。それに、一人暮らしってしたことないから不安だったし。・・・・・・宏樹くん、なんでそんなにおにいちゃんの事悪く言うの!?
・・・・・・。
恋人でもないのに、おにいちゃんのこと悪く言わないでよ。・・・・・・あたしたち、とっくに別れたんだから。
・・・・・・そうだな。
そうだよ・・・・・・。
・・・・・・天瀬。前から思ってたけど、君は本気で誰かを好きになる事ってあるのか?
!!
君の事だから、遊びで、とは思わない。だけど、本気でもなかったんだろ。
だって・・・・・・! 付き合ってても、おにいちゃんより優しくないから・・・・・・!
だからさ。そうやって、なにかにつけて「おにいちゃん」て言って比べて。
それは、だって・・・・・・あたし・・・・・・。
その言葉を聞かされる方の身にもなってみろよ。見た事もない、何年も前の思い出に負けてる事になるんだぞ、こっちは・・・・・・。だったら、最初から振ってくれた方が楽だよ!
だって、あたしのことを好きって言ってくれたのに・・・・・・。
かわいそうだから、か?
・・・・・・。
それってさ・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・ごめんな、天瀬。なんなんだかなぁ・・・・・・こんな話をするためにここに来たわけじゃないのにな。もう終わったと思ってたのになぁ・・・・・・。
もう・・・・・・終わってるもん・・・・・・。
ああ。分かってるさ。
・・・・・・。
それを、確かめにきたんだからさ・・・・・・。
・・・・・・後編に続く



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