〜 4月17日 〜



あ! (ぺこり)
みより!!・・・・・・・じゃ、ないのか・・・・・・・。 
あ、すご〜い、よく一目で分かったね〜。あたしなんか、名前聞くまでずっとみよりだと思ってた。
だって・・・・・・違うだろ。
そうかなぁ。よく似てない?
・・・・・・そうだな。
あの〜・・・・・・。
え? ああ・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・で?
え? えっと・・・・・・まだわかんない?・・・・・・ですか?
? あ、そっかそか。メイド募集の張り紙見てきた子か。
え? あの、そーじゃーなくって・・・・・・・。
あれ、違うの? じゃあこのみの友達・・・・・・ってわけでもないよな?
うん、たぶん・・・・・・。
・・・・・・みずは。
え?
天瀬瑞葉。あたしの名前・・・・・・。
天瀬・・・・・・みずは?・・・・・・天瀬みより、じゃなくて?
ねえ、ほんとに、忘れちゃったの・・・・・・? おにいちゃん、昔はみずはって言えなくて、いつも「みずちゃん」って呼んでたの・・・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・そっか。そういう事、か。
あ、やっと思い出してくれた!?
・・・・・・。ご主人様、あたし、出てるね。(がちゃ・・・・・・ばたん)
このみ・・・・・・ごめん、ちょっと待っててくれ。
あ、はい・・・・・・。
〜〜〜〜〜廊下〜〜〜〜〜
このみ。
え!? あ、ご主人様。どしたの?
お前こそ。なんでいきなり出てったりするんだよ。
えっと、ちょっとお茶でも淹れてこよーかなー、なんて。
ティーセットなら、キッチンまで来なくても、ティールームにだってあったろ。
・・・・・・あのティーセットは、みより専用だもん。
・・・・・・。
ご主人様。あたし今、すっごい、動揺してる。こんなに早く、みよりが帰ってくるなんて思ってなかったから。でも、みよりじゃないって分かって。ちょっと安心して。そしたら、天瀬瑞葉。みずちゃん? なんて。もう分かったようなもんじゃない。あの子なんでしょ。白い服の女の子って。あなたがずっと、待ってた子って。
そんなの、わかんないだろ。
なんで・・・・・・なんで、今頃になって帰ってくるかなぁ・・・・・・ずるいよ、無責任じゃない? あなたがどんな思いで待ってたのかも知らないで・・・・・・。
あたしの気持ちも知らないで・・・・・・。
違うよ。
なにが違うのよ・・・・・・。
とにかく、違う。そうじゃない。いいから、一緒に来いよ。
・・・・・・。
話を聞いてみない事には、どういう事だかわかんないだろ。それじゃ納得できない・・・・・・だろ。このみ。
・・・・・・うん。
〜〜〜〜〜応接間〜〜〜〜〜
(とことことことこ)
あっ、猫ちゃん!
みゅ?  (きょとん)
(おいでおいで)
(じー・・・・・・)
(にこ)
(ビクッ! だだだだだだ・・・・・・)
あ、逃げた〜〜〜〜〜!
お待たせ。・・・・・・って、なにやってんだ(呆)?
あ、ううん。なんでもないです。あはは。
ほら、このみも座れって。
・・・・・・。
それで、なんだけど・・・・・・瑞葉?
はい! あの・・・・・・また、おにいちゃんて呼んでも、いい?
その事なんだけど・・・・・・ごめん。俺、きみのこと、覚えてない。
・・・・・・っ!!
おにいちゃん・・・・・・?
きみがいたっていうのは覚えてる。いや、どうしても、忘れられなかった。でも、肝心なところはなにも覚えてなくってさ・・・・・・・。きみがどんな子だったのか。名前も、なにもかも。
・・・・・・そっか、覚えてないのか。あはっ、そうだよね。12年も前だもんね。やっぱり、ここに来る前に電話したほうが良かったかな。絶対、覚えててくれてるって思ってたのになぁ。あはは・・・・・・やだ、ちょーショックかも・・・・・・。(ふらぁ〜・・・・・・ぱた)
え?
あら。
・・・・・・・え、えーと・・・・・・か、軽そうな音だな。
なに言ってんのよ〜。倒れちゃったじゃない! 
と、俺のせい?? 大丈夫か?
・・・・・・・あ、すいません、大丈夫です。ちょっと一瞬気が遠くなっただけだから・・・・・・。
・・・・・・。(じー)
・・・・・・あ、あの。
あ、ごめん。・・・・・・やっぱり、似てるか・・・・・・。
さっきから言ってる・・・・・・天瀬みよりさんのこと?
いや、まあなんていうか・・・・・・この写真、知ってる?
あ! これ・・・・・・!!
1枚だけ、これが残ってた。この子・・・・・・
あたし。12年前の。・・・・・・この次の日、あたし、喘息で入院して、それからすぐに家族でフランスに行っちゃって。お別れも言えなくって。
・・・・・・ちゃんと、持っててくれたんだ・・・・・・おにいちゃん・・・・・・。
・・・・・・。
覚えてる? これ、結婚式ごっこのときの写真。あたしも、そのときのおにいちゃんの写真持ってるよ。フランスまで送ってくれたやつ。約束したんだもんね。約束してくれたんだもん・・・・・・。
・・・・・・瑞葉。
うん。
お帰り・・・・・・って言ったんで、いいのかな。
うん☆ ただいま!
でも、なんで・・・・・・今ごろ戻ってきたんだ? ずっとフランスにいたのか?
ううん。ホントはね、8年くらい前から日本に戻ってきてたの。あたし、フランスの病院に移ったのって、小学校に上がったばっかりだったし。病気が良くなったら、なるべく早く日本の学校にも慣れたほうがいいからって。それで、北海道なら、寒いけど空気がいいからって。
で、なんで・・・・・・ここに?
えへ。それがね、受験失敗しちゃって。来週から予備校通い。
予備校? こっちの?
うん小さい時のあたしのおうち、去年まで人に貸してたんだけど、今年からまたこっちに住む事になって。お父さんはまだフランスだし、お母さんも北海道の方でお仕事が残ってるから、あたしだけ先にこっちに戻ってきたの。
それで、まだ天美館があるって分かって・・・・・・小さいとき大好きだったおにいちゃんがいるって思ったら、どうしても来てみたくなって。
・・・・・・なんだ。そっか、小さいとき、か。
????
でも、いきなり来てみて、留守だったらどうするの?
だから、いきなり行っても、ちゃんと覚えててくれるかなーって思って。そしたら、覚えてないなんて言うんだもん。がっかりしちゃった。でも、この写真ずっと持っててくれてたって分かって。くすっ、また好きになっちゃうかも☆
・・・・・・。
な〜んて、冗談。おにいちゃん、恋人いるんでしょ? (ちら)
(どきどき)ま、まーね。ね?
・・・・・・のーこめんと。
くすっ。あたしも予備校行ってアルバイト始めたら、いい人見つかるかな? おにいちゃん、誰か紹介してくれる?
誰かって・・・・・・って、それより、バイト? 身体、弱かったんだろ? 一人暮しでバイトなんかして、大丈夫なのか?
うーんと・・・・・・たぶん、大丈夫。北海道にいた間は発作もなかったし。お医者さんも、もう治ってるって言ってるし。半年くらいはお母さんもこっちに戻ってこれないから、アルバイトくらいしておかないとだもん。
そっか・・・・・・じゃあ、なんかあったらいつでも連絡してくれ。なんとかするから。
うん、ありがとう☆
一人暮しにバイトか・・・・・・。
(ひそひそ)心配なんでしょ、ご主人様。メルルのときみたいに。
(ひそひそ)なんだよ、人を過保護な親みたいに・・・・・・。
(ひそひそ)図星でしょ。
・・・・・・。
くすっ。まあ、しょうがないよね。そういう人だって分かってるもん。いいよ、あたしは。話を聞いてみれば、悪い子じゃないし。
門のところの張り紙、見た? うちでもバイト募集してるの。メイドさん。
え? えっと、メイドさん派遣業かなんかの人ですか?
じゃなくて。このみはうちで雇ってる子だよ。前は・・・・・・3人いたけど。今はこのみだけだから、人手が足りなくなってさ。仕事内容は家事全般と接客。っていうか来た人を案内するだけだけど。3食昼寝屋根付き。まあ、住みこみがいいかどうかは任せるけど。時間と休日は適当。
まあ・・・・・・べつにキツくはないよな、このみ?
うん。ファミレスのウェイトレスとかより楽かな。掃除だけは手間かかるけど。はっきり言って、家事やってるとき以外は全部空き時間みたいなもんだよね。どうせ固定給だけど。
そういう訳だから、もし他のバイトやってみてキツかったら・・・・・・
じゃあ、やる!
へ?
メイドさんでしょ? そういえばおにいちゃんちって大きいから、昔は5人くらいいたもんね。その制服かわいいし、おにいちゃんちの事なら知らないわけじゃないし。ホントはあたし、アルバイトも一人暮しも初めてなの。今までお母さんが許してくれなかったから。おにいちゃんの所なら安心だし。ここに住んでもいいの?
え、ああ。部屋は空いてるけど・・・・・・でも、近くなんだろ? うち。
うん。だから、明日には着替えとか持ってくるね!
(なんか違うぞ、なんでそこで「だから」になるんだ・・・・・・?)。・・・・・・ちなみに、料理とかできたっけ?
うん、カレーなら高校のときにキャンプで作った事があるよ☆
・・・・・・(汗)。
あ、あはは・・・・・・誰かさんみたい。
まあ・・・・・・いいや。じゃあ、明日また1時に来てくれるかな。それと、今日は時間ある? ちょっと街の方まで付き合ってほしいんだけど。
あ、いきなりデートのお誘い?
あのな(汗)。ちょっと馴染みの洋品店までさ。うちの制服ってオーダーメイドだから、早めにサイズ採っておかないと。
ご主人様のシュミでね。
う。・・・・・・いいじゃないか、べつに。わかりやすくて。だって単純にSMLで決めると、きつかったり緩かったりするじゃないかよ。どこがとは言わないけど。
あ、あたし、べつに、最近太ったりしてないよ〜。
じゃあ、ついでに3人で太らない程度に食事でもしてくるか。このみも着替えて来いよ。
え、おにいちゃんの奢り?
うん。リクエストとかあるか?
いいの? じゃあ、杏仁豆腐!
中華? っていうか、甘いモノ屋ならたいていあるか・・・・・・このみ、どっかいいトコ知ってるか?
うん、任せて。じゃあ、着替えてくるね!
〜〜〜〜〜帰宅後〜〜〜〜〜
なあ、このみ・・・・・・。
え? ああ、瑞葉? けっこういい子みたいね。メルルとは違ったタイプの世間知らずっていうか。そだね、性格もみよりに似てるかな。

・・・・・・・でも、みよりじゃないのよ。
分かってるよ。・・・・・・でもさ、俺、本当は思い出せないんだよな。
え? 思い出したんじゃ・・・・・・なかったの?
どのみち、身体が弱いなんて聞かされたら放っておけないだろ。でも、瑞葉の事は、思い出せない。ただ、よくわからない懐かしさだけなんだよ。みよりじゃないのは分かってる。でも、もしかしたらっていうふうにも思っちゃってさ。放っておけない。
みよりが、俺の思い出に還ったなら・・・・・・なんで思い出せないのかな。まだ、みよりはどこかで俺が迎えに行くのを待ってくれてるのかな・・・・・・。
ご主人様・・・・・・。(ぎゅ・・・・・・)
・・・・・・でも。あたしは、ここにいるよ。ここにいるんだから・・・・・・。
うん・・・・・・。



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