〜 12月7日 〜
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とりあえず、街に出てきてはみたが・・・・・・。 |
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(にこにこ)。 |
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お前さ、こんな寒いなか、ただ見て回ってるだけでなにが楽しいんだ? 雪降ってきそうだぞ。 |
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えー、だって、楽しいでしょ? |
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そーかあ? ていうか、俺が一緒にいる意味ってのはなんなんだ? |
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ご主人様、ウィンドウショッピングきらい? |
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嫌いとかそういう問題じゃなくて・・・・・・まあいいや。 |
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へんなの〜。くすっ☆ |
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・・・・・・。 |
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・・・・・・? |
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いや・・・・・・お前と二人だけだと、実はなに話せばいいのかわかんねーなと思ってさ。あいかわらず俺、お前の事あんまり知らないしな。 |
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・・・・・・。 |
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あ・・・・・・悪い、そういう意味じゃない。 |
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うん・・・・・・。ねえ、ご主人様。覚えてる? わたしと初めて逢ったときのこと。 |
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ああ。今年の3月の半ば・・・・・・メルルがこっちに来てすぐの頃だったよな。確かもうすぐ春だってのに、雪が降ってた日だ。 |
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3月14日・・・・・・ちょうどホワイトデーだったよね。白い服を着たみたいに、街がほんとにみんな真っ白になってた。 |
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ああ・・・・・・そうだったな。 |
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わたしね、ずっと待ってたんだよ。見つけてもらえるのを、ずっと待ってた・・・・・・。 |
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・・・・・・てゆーかさあ。そりゃ気にもなるよなー。雪のなか傘もささずに1時間もひとんちの前に立ってる変なコがいれば。 |
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あー、ひど〜い変なコなんて〜! 真剣なのに〜。 |
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だって事実だろ。家出でもしてきたんだろーと思って泊めてやれば、次の日にはなんかもうメルルと仲良くなってるし。やたらとおせっかいだし、そのくせ家事もなんにもできねーし。それでも行くところがないなら可哀想だしここで雇ってやろうかと思ってたら、先に「いてほしい?」とか言い出すし。実際、お前って可愛かったから良かったものの、これで可愛くなかったらただの変なやつだぞ。 |
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え、わ、わたしって可愛いの!? |
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顔はな。 |
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あ・・・・・・なんだ、そっか・・・・・・びっくりした☆ そうだよね。 |
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お前、何に驚いて何に納得してるんだ? |
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ううん、ただ・・・・・・・ なんか、嬉しかったから。 |
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必ずしも誉めたわけじゃ・・・・・・まあいいけどさ。でもやっぱり仕事ができないんじゃしょーがないから、もう一人募集して・・・・・・それで張り紙見てこのみが来たわけだよな。 |
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あ、このみちゃんて、すごいよねー。お料理もお掃除も、最初からなんでもできるんだもん。 |
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お前ができなすぎるんだって。全自動洗濯機の使い方なんか聞きにきた日にゃ、俺はもーどうすっかと思ったぞ。 |
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だってぇ、知らなかったんだもん。 |
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ほかにも・・・・・・。そうだな、なんにも──知らないわけじゃないんだよな。 |
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うん・・・・・・。 |
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・・・・・・なんだよ。 |
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んーん。くすくすっ☆ |
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気持ち悪いやつだなー。で、どこ行くんだ? |
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えっとね、まず・・・・・・あ!! |
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ん? 閉店セール? なんの店だ? |
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可愛い物屋さん。えー、なくなっちゃうのー!? |
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なんだ「可愛い物屋」って・・・・・・ああ、要するに女の子向けのアクセサリーとかぬいぐるみの店か。 |
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うん。行こ! (とことこ) |
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やっぱ寄ってくのか・・・・・・なんか場違いだな俺〜。 |
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あっ、ご主人様、見て見て〜! この水晶のキーホルダー、半額だって! きれ〜♪ |
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ああ、欲しかったら買ってやるけど。それくらいなら。 |
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え? ううん! 今日は見て回るだけって約束だもん☆ |
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へんなトコで律儀だな〜。 |
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あ、これ・・・・・・。 |
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小物入れか? って、「SOLD OUT」って書いてあるけど。 |
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これ、オルゴールなの。そっか、もうこれしか残ってないんだ・・・・・・。 |
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・・・・・・。 |
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なんか、寂しい曲だな・・・・・・。 |
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うん・・・・・・。 |
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・・・・・・。 |
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・・・・・・・・・・・・・・・。 |
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・・・・・・。(ひょい) |
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あっ。 |
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店の人に頼んでみるよ。これ、欲しいんだろ? |
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あ、でも、約束・・・・・・。 |
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いいから。誕生日だろ。すいませーん、これ、いくらですか? |
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あら、ごめんなさいね。それもう売りきれちゃったのよ。 |
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この展示品でもいんですけど・・・・・・だめ? かな? |
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そんな目で見られる弱いのよねぇ・・・・・・そっちの彼女にプレゼントでしょ? |
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まあ・・・・・・カノジョじゃないけど。 |
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あの子ね、いつも来てくれてたのよ。ふふっ、5回に4回は見て回るだけで、あんまり「いいお客さん」じゃなかったけどね。 |
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? |
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誕生日なんですよ、今日あいつの。あいつって、お祭りとかお祝いとか・・・・・・思い出にやたらこだわるから。見て回るだけでいいなんて言ってたけど、せっかくだし。なにか、欲しい物をくれてやりたいんですよ。 |
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そう・・・・・・でもね、本当に、「一緒に見て回るだけ」で良かったんじゃない? ふふっ、まあいいわ。今日で閉店だし、その見本で良ければ半額って事でどうかしら。 |
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ええ、どーもありがとうございます。 ・・・・・・みよりー、売ってくれるって。 |
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ほんと!? どうもありがとう |
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これ、寂しい曲でしょ? 題名を付けられる事なく、誰のために作られたのかも忘れられてしまった曲。その誰かに見つけてもらえる日を待ちつづけて、ひとりぼっちでメロディーを奏で続けるの・・・・・・。 |
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かわいそう・・・・・・・。 |
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だから、もう寂しくないように、これからたくさんの思い出を奏でてあげてね。いちばん大切なひとと一緒に。 |
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(なんつかーか・・・・・・・ありがちな売り文句だなオイ)。 |
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はい |
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(信じてるし)・・・・・・じゃ、次行くか・・・・・・って。お前なー、せっかく包んでくれたんだから、せめて店を出てから開けろよっ(大汗)。 |
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え、そ、そっか。えへ♪ (がさごそ) |
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なにやってんだかなー。ほら、雪降って来ないうちに帰るんだから、早く次に行くぞ。 |
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ねえ、ご主人様・・・・・・。 |
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あん? |
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わたし、もう少しだけ・・・・・・「家出娘」のままでいさせて。いつか、話さなきゃならなくなるときまで・・・・・・。 |
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ああ、そんなの。 ・・・・・・いつまでだって、そのままでいいんだよ・・・・・・。 |
| 〜〜〜〜〜帰宅後〜〜〜〜〜 | |
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(ひそひそ)で、どうだったの、今日のデート? |
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えっ? デートじゃないよ。ご主人様と行ったんだもん。 |
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だから、デートでしょ。 |
| えっ、うそ!? | |
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うそって、あんたねー・・・・・・。 |
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デート・・・・・・だったんですか・・・・・・。 |
| (どきっ!)あー・・・・・・もしかしてメルル、聞いてた・・・・・・かナ? | |
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・・・・・・。 |
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あ、ほらあ、でも本人に自覚なかったんだし。それにそもそも、あのひとってどこがいいのって気がするしー。あ、て言ってもべつにバカにしてるわけじゃなくてぇ・・・・・・。 |
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・・・・・・。 |
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? メルルちゃんもお買い物行きたかったの? |
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・・・・・・はい。ご主人様と一緒に行きたかったです。 |
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でも1回デートしたからって即最後までいっちゃうってわけじゃないし、現に暗くなる前に帰ってきてるし・・・・・・。 |
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あ、だって、夜になったら雪が降ってきそうだったから・・・・・・。 |
| ねえ、あたしさっきからフォローしてるんだけど、分かってる? | |
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雪が降らなかったら・・・・・・。 |
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聞いてないね・・・・・・もう好きにして(なげやり)。 |
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す、「好きにしてください」って、言うおつもりで・・・・・・!? |
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(わたた)あ、それは関係なくて〜(ドロ沼)。 |
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・・・・・・みよりさん。私、ずっと前から好きな方がいます。 |
| え・・・・・・? | |
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いつも、私に優しくしてくださいます。優しいんです、だから・・・・・・! だから、誰にも、取られたくありません・・・・・・。ごめんなさい、失礼します・・・・・・。 (たたたた・・・・・・) |
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あ・・・・・・メルルちゃん。 このみちゃん、どうしよう!? |
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・・・・・・いつまでだって、そのままじゃいられない・・・・・・。分かってはいたけど・・・・・・・。 |
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わ、わたし・・・・・・。 |