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PCよもやま話 No.18・Pentium3導入記 2000/01/16 (2000/02/03追記
■Celeronの夢、ふたたび
 筆者は、メインマシンで10か月に渡ってPPGA版のCeleron 300AMHzを使用してきた。定格動作周波数は66*4.5の300MHzだが、FSBを100MHzに設定して100*4.5の450MHzで稼働させていた。冷却は、パッケージに付属のファンのみだが、きわめて安定動作していた。
 No.17にも書いたが、Celeron 300AMHzのオーバークロックは、成功率が比較的高いことから、当時メジャーになった方法である。いまでもユーザーは多いのではないかと思う。実際、この方法のコストパフォーマンスは絶大で、しばらくはCPUの速度に不満はなかった。
 しかしながら、ここのところ、Age of Kingsをプレイしたりすると、さすがにもたつきが感じられるようになってきた。

 そんな折、インターネット上では、いわゆるCoppermineコアPentium3を使ったオーバークロック成功例を、しばしば見かけるようになってきた。定格のFSBが100MHzであるCoppermineを、FSB 133MHzなどで動かすのだ。
 まさに、Celeronの夢ふたたび、といったところである。
 しかし、440BXチップセットのマザーボードの多くは、100MHzより高いFSBでは、PCIバスのクロックがそれに引きずられる形で、定格である33MHzよりも高いクロックになってしまう。そのため、PCIカードが動作しなくなってしまう可能性が高い。つまり、安全にオーバークロックを行なうには、正式に133MHzに対応したチップセットのマザーボードが必要なわけである。それらのチップセットなら、FSBが133MHzでも、PCIバスが33MHzに設定される。

 筆者が使用しているマザーボードは、440BXチップセットのGIGA-BYTEGA-BX2000である。数ヶ月前に購入したばかりであり、オーバークロックのためにマザーボードを交換するとなると、出費が馬鹿にならない。また、買い換えるにせよ、もっともメジャーな133MHz対応チップセットであるApollo Proのパフォーマンスには、いまひとつ確信が持てないのだ。

 そこで、CPUの速度に不満を感じつつも、漠然とPentium3の500EMHzが\2万を切ったら買い換えようか、と考えていた。

■440BXとPCIバスクロック
 ところが、掲示板などの情報によると、440BXチップセットでも、FSB 133MHz設定時にPCIが33MHzになるものがあるらしい。
 試しにGA-BX2000のマニュアルを確認してみると、FSB 133MHz・PCI 33MHzの設定があるではないか。こうなると、オーバークロックへの期待が高まる。

 さらに情報収集してみると、AGPクロックは、440BXチップセットでは、FSB 133MHz時には必ず88MHzに設定されてしまうようだ。これを定格66MHzに設定できるマザーボードは存在しないらしい。
 このことがネックになってオーバークロックに失敗することも多いらしいが、現在使用中のMatroxG400は、比較的オーバークロック耐性が高いことがわかった。また、Shiva氏G400 Utilityを使用すれば、本来は2倍に設定されるAGPクロックを1倍に設定することで、ビデオカードに供給される実クロックを押さえることも可能だ。
 筆者の環境は、偶然にも、オーバークロックの成功率が比較的高い組み合わせのようだ。

 というわけで、ふたたびオーバークロックに挑戦したのである。

■事前準備と購入、定格動作
 オーバークロックに当たっては、前述のように現在のパーツをそのまま使用し、耐性の高いパーツを用意するなどの準備は、特に行なわなかった。
 ビデオカードはG400。メモリは、PC100CL=2なら、ほとんどの場合は133MHzでもCL=3なら動作するらしい。PCIカード類については、PCIクロックは33MHzで動作するので、そのまま使えるはずである。
 懸念は、133MHzで動作することになる440BXチップセットだ。最初からヒートシンクが接着されているが、もし発熱が大きいようなら、ファンなどによる冷却が必要だろう。

 購入するPentium3は、今回はオーバークロック動作を狙うため、FSBが100MHzであることが必須条件である。オーバークロック時にクロックが上がりすぎないことが成功の鍵であるため、500EMHzを選択することにした。
 CoppermineのPentium3にはSECC2版とFC-PGA版があるが、500EMHzはFC-PGA版しかないため、それを購入。もしも失敗したときには、素直に500MHzで使う所存である。
 GA-BX2000はSlot1 CPU対応なので、FC-PGAからSlot1へのアダプタが必要になるが、定番のSOLTEKSL-02A++を購入してきた。LaOXザ・コンピュータ館にて、CPUが\25,100、アダプタが\2,850だった。

 購入後、さっそくCPUを交換する。アダプタの高さが、いままでのものより高かったため、ケース内のベイと干渉してしまうというトラブルが発生するが、そのベイに搭載されていたHDDを別の場所に移すことで解決した(具体的には、ケースの床の上に両面テープで固定した(苦笑))。
 FC-PGA Pentium3のリテール版に付属するファンは、Celeronのものよりも若干背が高くなっているが、一般的には問題ない大きさだろう。
 ヒートシンクには、Coppermineのコアに接触する部分に、熱伝導パッドらしきものが取りつけられている。とりあえずそのまま使うことにしたが、パッドよりはシリコングリスのほうが熱伝導性が高いので、そのうちグリスに変えた方がよいのだろう。

 さて、あらかじめGA-BX2000のBIOSはCoppermine対応のものに書き換えてある。Coppermine登場前のマザーボードではBIOS書き換えは必須といえる。
 電源を投入すると、問題なく立ち上がった。いくつかベンチマークを動かしてみても動作は安定しており、性能が向上していることも確認できた。

■いよいよオーバークロック
 さて、定格動作を確認したら、いよいよオーバークロックである。
 GA-BX2000の場合は簡単で、マザーボード上のディップスイッチを切り換え、FSBを133MHzに設定するだけである。
 アダプタのジャンパを切り換えることでCPUコアの電圧設定も可能だが、CoppermineのCPUの場合、コア電圧を上げなくてもオーバークロックできるケースが多いとのことである。電圧設定はデフォルトのままとした。
 各スイッチの設定を確認したら、いよいよ起動である。オーバークロック後の電源投入は、いつもどきどきするものである。異臭異音がしたら、すぐにスイッチを切れるように準備をしておくことは、いうまでもない。
 電源スイッチをおもむろに押すと、いつものビープ音が鳴った。画面には「PENTIUM III-MMX CPU at 667EBMHz」と表示されている。とりあえず第一関門は突破である。
 そのまま見守ると、Windowsがいつも通り立ち上がった。いくつかアプリケーションを動かしてみるが、異状はない。速度も、なんとなく向上しているようだ。

 続いて、ベンチマークである。ベンチマークは、速度が計測できるのはもちろんのこと、マシンに負荷をかけるので、安定しているかどうかをはかる目安にもなる。
 3DMark2000およびFinal Realityを動かしてみたが、どちらも正常動作した。動作は安定しているらしい。一安心である。
 ベンチマークの結果は、Celeron 450MHzにくらべて、目に見えて向上した。実際のアプリケーションの処理速度も、特に重いアプリケーションにおいて、体感できる程度に改善された。

 気になる発熱だが、CPUのヒートシンクは、触るとやや温かく感じる程度である。このくらいなら問題ないだろう。
 懸念された440BXチップセットも、ヒートシンクの温度はほぼ同じくらいだ。100MHzのときと較べても、ほんのすこし温かくなったかどうかである。追加の冷却は必要なさそうだ。

■さいごに
 その後、数日利用しているが、CPUに原因があると思われるトラブルは、まったく起きていない。CPU負荷がきわめて高いと思われるAge of Kingsの8人対戦も、問題なかった。
 今回のCPU交換は、おおむね成功だったといえるだろう。

 オーバークロックには、故障時に保証がまったく受けられなくなる(CPUだけではなく、影響するすべての部品がそうである)、トラブルが起きたときの原因の切り分けが困難、部品の寿命が短くなる、などデメリットが多い。とはいえ、成功時のコストパフォーマンスは抜群である。願わくば、メーカー側も無粋なオーバークロック制限などは行なわず、このまま中〜上級者の遊びとして残してくれることを期待したい。



■3DMark2000の結果(VSYNC待ちのみオフ、それ以外の3D効果はすべてオン)
 2751。

■Final Realityの結果(同上)
Database Entry 

Benchmark results:
Radial blur,             5N,  60.16, rips,  8.320, Rmark
Chaos zoomer,            5N, 103.00, rips,  5.005, Rmark
25 Pixel,                5N, 929.90, kpps, 29.719, Rmark
Robots,                  5N,  80.60, rips, 20.881, Rmark
Fillrate,                5N, 176.80, MPps, 38.268, Rmark
City scene,              5N, 108.55, rips, 26.936, Rmark
Video card bus transfer, 5N, 166.55, MBps,  5.302, Rmark
Direct3D bus transfer,   5N, 249.00, MBps, 21.282, Rmark
-----------------------------------------------------------------------------
Visual appearance,           100.00, percent
-----------------------------------------------------------------------------
Overall 3D,                   5.942, Rmark
Overall 2D,                   6.663, Rmark
Overall bus rate,            10.096, Rmark
-----------------------------------------------------------------------------
OVERALL SCORE,                6.782, Rmark
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3230196374



※ 注・このページに書かれた組み合わせでのオーバークロック動作を筆者が保証するものではありません。オーバークロックは自己責任で行なってください。



■追加情報・ビデオカードが壊れる 2000/01/22
 667MHz一週間ほど使用していたが、ある朝、電源を入れると、ディスプレイになにも映らなかった。起動時のビープ音やHDDアクセスはいっけん正常に見えるが、そのままにしておくとFDDのアクセスランプが点灯した状態で停止してしまう。
 CPUのクロックを定格に戻しても、CPUを別のものに交換しても同じ症状だったが、ビデオカードをG400 Dual Headから、以前使用していたG200へ交換すると、PCが起動した。
 オーバークロック動作で、ビデオカードを破壊してしまったのである。

 インターネットで調査すると、Shiva氏のページ奈酢美氏のページようちん氏の黄金時代に、有効な情報があった。どうやらこの状態は、G400のBIOSが破壊されたときに相当するようだ。FDDアクセスを行なうのは、BIOSリカバリー用FDを読み込もうとしているらしい。
 G400のBIOSが破壊されるのは、比較的よくある現象らしく、黄金時代にBIOS復旧手順が公開されていた。
 詳細はそちらを見ていただくとして、手順にしたがって作業を行なったところ、なんとかBIOSを復旧することができ、正常に起動するようになった。情報を公開されている各氏に感謝である
 幸い、ビデオカード以外のパーツには、特に影響はなかったようだ。

 なんとか復旧することができたものの、もしビデオカードが壊れていたら、ばかにならない出費であった。いままでオーバークロックでデータを破壊したことこそあれ、部品を壊したことはなかったのだが、今回は危うかった。オーバークロックの危険性をあらためて認識した。
 筆者の場合、Coppermineのオーバークロックは、133MHz正式対応のマザーボードを入手するなど、状況が整うまで封印しようと思う。



■追加情報・Apollo Pro 133Aマザーボード購入 2000/02/03
 Apollo Pro 133Aチップセットを搭載した、ASUSP3V4Xを購入した。発売されたばかりのマザーボードである。
 ASUSの初期リビジョンはいろいろとトラブルが多いとの噂を耳にするので、可能なら前モデルのP3V133を購入したかったのだが、残念ながら見つけることができなかった。
 さて、早速組み立て、Coppermineを導入して電源を投入すると、デフォルトの設定(すべてAUTO)のままで、667MHzのオーバークロック動作で起動した。その周波数で動かそうとしてはいたが、ちょっと困ったものである。AGPは66MHz、メモリは133MHzで動作している。
 OSにはWindows98 Second Editionを導入した。インストールは問題なく終了し、VIAのチップセットもきちんと認識された。AGPドライバのみ導入する必要があるとのことなので、VIAのサイトから最新版をダウンロードし、組み込んだ。
 その後、アプリケーションをインストールして動かしてみたが、特に問題は起きていない。VIAのチップセットということで、若干不安があったのだが、かなり安定しているようだ。
 メモリモジュールは、上述のPC100対応のものだが、133MHzのCL=3で問題なく動作している。

 さて、肝心のパフォーマンスであるが、3DMark2000で計測したところ、上記のGA-BX2000と同条件で2424と、あまり振るわない結果になった。やはりパフォーマンスでは、オーバークロックした440BXには一歩譲るらしい。
 とはいえ、CPU(とメモリ)しかオーバークロックしていないという安心感はあるし(気休めではあるが)、FSB 100MHzでの440BXよりは高パフォーマンスのようだ。
 このまま安定して使えるようなら、VIAのチップセットもそれほど悪くない選択肢だといえるだろう。

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