■Celeron 300Aの誘惑
ベースクロックの変更だけで手軽にクロックアップができることが人気を呼んだ
Celeronの
300AMHz。本来
66MHzのFSBクロックを、
100MHzに設定するだけで
450MHzへとクロックアップできる(そして、成功率も比較的高い)のは、すでに自作AT互換機ユーザーには周知の事実である。
イリーガルな使い方ながら、
コストパフォーマンスのきわめて高いCPUといえる。これをお読みの方にも、きっと450MHzで動かしている人が多いことだろう。
SEPP版が
生産中止になるとの噂が広まり、一時期価格が高騰したのも記憶に新しいところである。このCPUの人気を示すエピソードといえよう。
筆者も450MHz駆動に興味はあったが、CPUのパフォーマンスに不満もなかったことから(Pentium IIを100MHz*3の300MHzで使用)、とりあえず購入は見送っていた。
しかし、価格もふたたび落ち着いてきたのと、フライトシミュレータを遊び始めたことで高速なCPUが欲しくなったことから、筆者も先日、
購入に踏み切った。
また、正直にいって、筆者の周囲の知人がつぎつぎと450MHz駆動に
成功していたため、それに影響された面もある。1万円以下で450MHzのCPUが手に入るかもしれないという誘惑に、のってしまったわけである。
■Celeronにまつわる情報
Celeronには「
あたり」と「
はずれ」があるらしい。450MHzで稼働するものが
あたり、動かないものが
はずれである。正確には、規定周波数での動作は保証されているので、「あたり」と「あたりではない」といったほうが正しいのかもしれないが。
購入に当たって筆者が情報収集したところでは、以前は
特定のロットであたりが多いという現象があったようだが、最近はロットによる差はあまりないようだ。
また、Celeronをマザーボードに固定する
リテンションキットについても調べてみた。
最近のマザーボードには、Pentium II用とCeleron用の
2種類(もしくは共用)のリテンションキットが付属しているようだ。だが、筆者のマザーボード(
ASUS・
P2B-LS)はCeleron発売前のマザーのため、Celeron用キットは付属していないのである。マザー付属のキットの物理的形状を見ても、Celeronを固定できるとは思えない。そのため、Celeron用リテンションキットが必要になるはずなのだが……なかなか有用な情報が見つからない。Celeron導入報告のページは数多いものの、リテンションキットについて触れてあるページはほとんど見つからない(みな、スロットだけで支えているのだろうか?)。そのため、どんなものを購入すればよいのか、どうも見当がつかなかった。
しかしながら、知人からの情報によると、リテール版のCeleronにはリテンションキットが付属していたとのことなので、これについては心配ないようだ。
ひととおり情報収集したのち、ロットについては悩んでも仕方がないだろうと、値段がそこそこで在庫のあるショップで買うことにした。購入したのは秋葉原の
TWO-TOP、価格は
\9,980。2月初頭のある日のことであった。
■リテンションキット付属せず
購入前に、念のためショップの店員に
リテンションキットが付属しているかどうかを尋ねてみた。すると、
付属していないとのこと。予想外の展開である。あわてて買いに走った。
TWO-TOPでは品切れだったが、
DOS/Vパラダイスで
Acer製のものが
\980で販売されていたため、購入した(ちなみに、後日ソフマップで
\680にて、SECC2にも使えるものが販売されているのを発見)。
なお、最近Celeronを購入した別の知人に聞いたところ、やはり付属していなかったそうだ。どうやら、intelがパッケージの中身を変更したらしい。マザーボードにデフォルトで付属するようになったためだろうか。
さて、帰宅後、早速Pentium IIを取り外して、Celeronの取りつけ作業に入る。
購入したCeleron用リテンションキットは、プラスチックの
ピンで止めるタイプである。が、筆者のマザーボードは、
ネジ(ボルト)が生えていて、リテンションキットを付属のナットでネジ止めするタイプであった。そのままでは取りつけられないため、マザーボード用の
ネジ式スペーサー(真鍮製で六角形のやつ)をナットがわりに、固定することにした。
Celeronを差し込み、リテンションキットを固定して、装着完了である。ちなみに、逆の順番ではCeleronの基盤端の突起がキットに引っかかり、差し込めなかった。
■マスキングによる電圧変更
まずは、定格
300MHzで起動。これは当然ながら問題なしである。
続いて、FSBを100MHzに変更し、
450MHzにしてみる。すると、Windows98が起動中に停止してしまった。こういう場合には、
駆動電圧を上げてみると動く場合がある。電圧が上がることでCPUの
動作速度が向上するのだ(が、発熱は増える)。
Celeronの駆動電圧を変えるには、CPUスロットの
接点を
マスキングする必要がある。詳しくは
Celeron World(更新は停止している)などを参照していただくとして、筆者の場合には
2.2Vに設定してみることにした。
マスキング素材には、まず
クラフトテープを使ってみた。が、これだと厚すぎて、CPUをスロットに差し込むことができない。
セロハンテープも手元にあったが、これだと耐候性に不安がある。そこで、粘着力に不安はあるが、
メンディングテープを使ってみた。結果は上々で、一度差し込んだだけではがれる、といったことはないようだ。
2.2Vに設定して起動すると、Windowsはいつも通り起動した。
ひととおりのアプリケーションを動かしてみるが、いずれも
正常動作するようだ。とりあえず、一安心である。Windowsの体感速度は、Pentium IIの300MHzに較べて、若干速くなったかな、という程度。まあ、ゲーム以外ではそんなものであろう。
Microsoft Combat Flight Simulatorでは、ほんの少し体感速度が上がったようだ。
続いて、安定度を試すために
Final Realityを数時間ループさせてみた。が、いつのまにかハングアップしてしまった。吸気用ファンをCPU近くに設置して冷却を図るが、この現象は改善されなかった。
とはいえ、その他のアプリケーションは安定しているようだったので、450MHzで使用することにした。
■450MHz駆動を断念
しばらく使い込んでみると、いくつかのアプリケーションが
正常動作しないことがわかった。
まず、
Winampでネットワーク上のファイルを再生すると、必ずハングアップする現象が発生。また、
Age of Empiresも、数時間通信対戦プレイをしていると落ちるし、マルチプレイモードをひとりでプレイすると、すぐに停止してしまう。いずれも、Pentium IIのときには発生していなかった現象である。
ただ、
CFSでは何時間プレイしても問題なかったので、アプリケーションにもよるらしい。
結論として、筆者のCeleronは、2.2Vでの450MHz駆動は
難しいようだ。2.4Vにすれば動くかもしれないが、その場合は冷却を考慮する必要が出てくる。いわゆる
はずれと断定して良いようだ。
非常に残念ながら、450MHz駆動は
諦めることにした。
インターネット上で、オーバークロック動作を数多く目にしていたので、
450MHzで動いて当たり前という考えが筆者にあったことは否めない。クロックアップはあくまで
規定外の作業であり、動かないこともありえるというのをいまさらながらに痛感したのであった。