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「こんふりくとの見たロンドン」 第3回・PCゲーム編


■ロンドンゲーム事情
 アーケードゲームに続いて、今回はPCゲームおよびコンシューマゲーム事情をレポートしようと思う。まず、トロカデロ内のゲームショップを紹介したい。

■PCゲームの強さの秘密?
 前回のレポートのようにトロカデロを訪問した私は、ゲームセンターをチェックした後、ゲームショップへ向かった。トロカデロ内にあるのは、HMVレコードの系列の店である。
 店の入り口をくぐり、店内を見渡す。ゲームを陳列した棚がずらっと並んでいて、脇の方にはお試しプレイ用のマシンが置いてあるなど、全体的なショップの雰囲気は、日本とまったく変わりない。面積は、LaOXザ・コンピュータ館の1フロアより多少狭いくらい、といったところだった。
 店内を歩いてみてまず目に付いたのは、コンシューマゲームとPCゲームが、同じ店内で売られていることだ。日本では、ゲームショップで売られているソフトはほとんどがコンシューマゲームで、PCゲームはPCショップで売られていることが多いのではないだろうか。
 もっとも、両者をいっしょに売っている店は日本にもある。しかし、壁に張ってあった売り上げランキング(こういうものが張ってあるのはどこも同じらしい)を見て、驚いた。ここではランキングも、PCゲームとコンシューマゲームが一緒に集計されていたのだ。日本での両者の市場規模の差を考えると、とても考えられないことである。
 どうやらロンドンでは、PCゲームというのはコンシューマと十分張り合えるくらいの人気があり、かつ普及もしているらしい。日本のパソコンゲームと海外のPCゲームでは、やはり市場の規模が違ったのである。海外PCゲームと日本のパソコンゲームの勢いの違いの理由を悟った思いだった。
 ちなみに、私が訪れたときのPCゲーム最上位ソフトはQUAKEで、総ランキングの2位だった。1位はプレイステーションのF1ゲームだった。
 売り場では、PCゲーム・セガサターン・プレイステーションの3機種がほぼ同じ面積を占めていた。この3つで、総売り場面積の8割程度だろうか。残りは、Super Nintendo(いわゆるスーパーファミコン)その他のハードで占められていた。
(写真・トロカデロ入口)

■PCゲームをチェック!
 さて、店内で早速PCゲームの棚を覗く。
 並んでいるのは、残念ながら日本でもおなじみのゲームが大半だった。いちばん大きく陳列されていたゲームは、発売直後ということもあって前述のQUAKEだった。Grand Prix2も結構売れているらしい。見たこともないソフトは、子供向けのゲームやアダルト系といったところ。
 また、ゲーム以外のソフト……OSやビジネスソフト、エデュテイトメント、ユーティリティなども同じ場所で売られていた。こういったことを考えると、ゲームショップというより「総合電脳ソフト屋」といったほうが正しいのかもしれない。
 値段についていうと、こちらも残念ながら、日本と大差なかった。若干安い程度である。たとえば、QUAKEは£29.95。日本円で\5,000強である。日本まで運ぶ手間を考えると、決して安いとはいえないだろう。
 ちょっと惹かれたのは一昔前のゲームを「ゲームライブラリ」と称して安価で(たしか1本£12)で売っていたことだった。しかし、ATゲーム道に足を踏みいれる前のゲームがほとんどで評判がわからず、購入には踏み切らなかった。ただ、World Circuitは買っておけば良かった、と後悔している(チェックしておいたが、忘れて帰った……)。これはどこかが輸入してくれると、過去の名作がプレイできて喜ぶゲーマーがいるのではないかと思う。
 というわけで、私は何も買わずにゲームショップを後にして、いよいよ大英博物館へ向かったのだった。
 ちなみに、数週間後、Oxford Street の別の大きなゲームショップも訪れた。ここでも商品の構成は似ており、やはりパソコンとコンシューマが同じ売り場で並んでいた。こちらではPC関係のハードウェアも若干扱っており、CD-ROMドライブやスピーカーなどを扱っていた。ついでにいうと、日本ではすでにほとんど見掛けなくなった3DOやJAGUARも、細々とではあるが売られていた……。
(写真・Oxford Street)

■ロンドンでのPCゲーム
 さて、PCゲーム、専門のゲームショップで売られているのはもちろん、街角の Dixons でも売っていた。Dixons というのは、ロンドンのそこかしこでみかける電器店チェーンである。扱っている商品は、AV機器やPC、電話などの小型の家電だ。日本でいうと……ビックカメラからカメラを除いた感じ、だろうか。
 また、Dixons でも一般のPCショップでも、周辺機器のコーナーには、キーボードやマウスに加えてちゃんとジョイスティックが売られていた(よく見掛けたのは、Side WinderやWingman Extremeなど)。
 トテナムコートロードの店でも、PCを置いてある店にはたいていゲームソフトが置いてあった。
 のちにショッピング編で紹介する予定の巨大おもちゃ屋ハムレーズのゲームコーナーでも、コンシューマゲームに加えて、PCゲームが並んでいた。
 こういったことからわかるように、ロンドンではPCゲームはどこでも手に入るものらしい。
 日本では「PCでゲーム」というのはどちらかというとマイナー……というかオタクといった感がある。たとえば皆さんも、最近周囲でAT互換機を買った人間に購入目的を聞くと、「インターネット」とか「ワープロ」「表計算」「流行ってるから」「なんとなく」……といった答えが返ってくることが多いのではないだろうか。私などに言わせれば、PC買っておいてゲームしないなんて、なんともったいない、って感じである。Pentium 200MHzマシンをワープロに使うとは、まったくもって宝の持ち腐れだ。私に譲りなさい……おっと、ちょっと愚痴っぽくなってしまった(笑)。
 ……しかしながら、ロンドンでは、PCとゲームは切っても切れない関係にあるようだ。PCでゲームやって当たり前、という印象を受けた。

■コンシューマゲーム
 「ヨーロッパではプレイステーション優勢だ」といううわさをよく耳にするが、私がロンドンで見た限り、両者とも互角の戦いを繰り広げているという印象を持った。ゲームショップでは、どちらも同じような売り場面積である。
 ロンドンで売られているコンシューマゲームは、やはりほとんどが日本製だった。
 TVでは、セガの「ナイツ」のCMをよく見掛けた。ちょうど発売された直後だったらしい。このCMがなかなか面白かった。
 日本でときどき目にするCMに、外人が出てきて英語のセリフをぺらぺらと喋り、その上に日本語が同時通訳的に重なって流れる、というものがある。「ナイツ」のCMは、それのちょうど逆の構成なのである。始めて聞いたときには、突然TVから流れてきた日本語にものすごくびっくりした。日本で大事件でも起きたのかと思った(笑)。
 日本のCMで英語を流すのが何となくかっこいいのと同様に、イギリスの人には日本語がかっこよかったりするのだろうか……。しかし、上に英語が重なっていても、さすがネイティブ、バックの日本語がちゃんと聞き取れるのであった。
 また、日本ではすでに過去のマシンであるメガドライブだが、ロンドンではしっかり新作ソフトが売られていた。

■日本も捨てたもんじゃない
 以上のように、ロンドンのPCゲーム環境は「ゲームがどこでも手に入る」という点だけでも、日本により整っているといえる。PCゲーマーへの風当たりも、日本ほど強くないだろう(笑)。
 しかし、それと同時に思ったのは「日本のPCゲーム環境もなかなかだ」ということだ。秋葉原や日本橋の店に限られているとはいえ、ロンドンと同じようなソフトが、ほぼ同じような値段で手に入るし、通販だってできるではないか。
 ただ、厳然として残るのは、言葉の壁であるが……。


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