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「こんふりくとの見たロンドン」 第4回・出入国編


■ようやく旅行記?
 今回は、出国からイギリス入国について書きたいと思う。やっと普通の旅行記らしくなってきたといえるのではないだろうか。なお、「海外旅行はばっちりだぜ」という方は、恥ずかしいので読み飛ばしていただきたい(苦笑)。

■突然の出張依頼
 8月上旬のある夜、それは会社創立XX年の記念パーティでのことだった。
 てきとうに料理をつまんでいると(私は下戸である)、上司から突然「パスポート持ってる?」と聞かれた。いきなりパスポートとは何事かと思いつつも、「一応持ってますが……」と答える私。
「海外に行ってもらうかもしれない」とその上司は続けた。
「……」その言葉を消化するまでにかかった時間は十数秒。……海外……というと海外出張? この私が?
 世の中には海外出張など当たり前、という人も当然いるだろうが、私にとってはまさに寝耳に水の話だった。
 さらに詳しくたずねると、行き先は大英帝国のロンドン、期間は2ヶ月くらいとのことだった。2ヶ月……長い。しかしながら、まだ正式決定ではないというので、そのうちに撤回されるだろう、なにせまだ入社3年目だし……と、このときには思っていた。

■正式決定
 その後、行くのか行かないのかあいまいな状態のまま、ずるずると時はすぎ、8月中旬。出発の1週間前になって、ついに出張が正式決定した。私のほかに先輩がふたり、計3人で1ヶ月ちょっとの出張だという。
 それからは忙しかった。あれを準備したり、これを揃えたり……。
 もっとも時間がかかったのは、ロンドンでPCを使うための装備であった。トランスから始まって、モデムセーバー(電話回線が通信に使えるかどうかチェックする道具)、モジュラージャックアダプタ(現地で不良品と判明)、デジカメ用SSFDCカード&アダプタ、などなど……。おかげで、一気にモーバイル関係の装備が充実した。それらは現在でも役に立っている(トランスは邪魔なだけだが……)。
 その他の一般的な品物もいろいろと用意したが、それについてはわざわざここで触れることもないだろう。
 なお、事前準備でもインターネットは便利だった。いちばん便利だったのは成田空港のページ。搭乗手続きやターミナルの地図などを確認しておいたため、空港で迷わずに済んだ。また、世界の天気で現地の気温をチェックしていたので、ちゃんとコートを用意していった(8月なのに「最低気温10度」とかいってるんだから……)。大英航空のページでは、出発・到着空港を入れると、飛行機のダイヤを見ることができる。
 ただ、このときには地球の歩き方ページの存在を知らなかったのが、ちょっと残念である。

■日本脱出
 私の住んでいるところは埼玉なので、成田空港まではかなりの長旅である。出発当日、朝5時に起きた。搭乗する便は、成田発11:35の全日空NH201便である。
 上野〜東京間は山の手線を使ったが、巨大なスーツケースを持って満員電車に乗るのは、なかなか嫌なものである。そのあと、東京から成田までは成田エクスプレスで直通である。しかし、東京駅の成田エクスプレスのホームは、どうしてあんなに深いのだろうか。
 さて、一緒にいく先輩と空港第2ターミナルの改札口前で待ち合わせる。ここは、鉄道で第2ターミナルにいく場合には必ず通る場所であり、かつ空いている(というか、誰もいない)ので待ち合わせには最適かもしれない。
 そこで、しばらく待つ……しかし、先輩二人のうち、一人がなかなかこない。しかたがないので現地集合ということで、会社に電話を入れてから先に進んだ。
 チェックイン、手荷物検査など、出国までにはいろいろな手続きがあるが、このあたりは省略させていただく。ひとつだけ書くと、なぜかX線検査で引っ掛かってしまった。どうやら、携帯していたラジオがいけなかったらしい。
 手続きを終えてロビーへ出ると、ちょうど搭乗開始時刻だった。そしてそこには、遅れているはずの先輩の姿が……。なんでも、私よりもずっと早く来たけれども待ち合わせ場所が分からず、ずっとロビーで待っていたのだという。……一生に一度あるかないか(笑)のビジネスクラスだというのに、ラウンジを利用できなかったのが心残りである。
 そして、いよいよ搭乗、離陸……。
 ビジネスクラスの座席は、前回の海外旅行で香港にいくときに乗ったエコノミーに比べると大変広い。さすが往復XX万円取るだけはある……。また、スチュワーデスもしばしばやってきて、これはどうだ、あれはいらないか、と薦めまくる。同行した先輩は、「ブロイラー状態」といっていたが、まさにぴったりの言葉であろう。
(写真・飛行機の窓から望む雲海)

■入国審査に手間取る
 さて、日本からイギリスまでは片道12時間の旅だが、寝たり食ったりしてる間に、意外に早くついてしまった。
 飛行機の窓に、イギリスの大地が見える。……なんとなく緑の色が日本と異なるような気がする。そのあとは、あっという間にヒースロー空港に着陸。
 ビジネスクラスはエコノミークラスの乗客より先に降ろしてもらえるので、人気の少ない空港内の通路を、入国審査目指してすたすた歩く。英語と日本語で、NH201便の客への案内が流れている。
 入国審査はとても広いが、平日の昼間という時間帯のせいなのか、我々の乗ってきた便の客しかいない。やはり、がらんとしている。
 入国審査カウンターの列に並ぶ。すぐに自分の番がやってきた。
「XX番の窓口へお進みください」と英語でアナウンスがあった。飛行機の中で「地球の歩き方」を読んでいたのだが、この本では「イギリスの入国審査は大変厳しい」と脅している。そのせいもあって多分に緊張しながら、入国審査官にパスポートを提出した。
 まず、「どのくらい滞在しますか」と問われた。これは理解できたので「5週間」と答える。
 しかし……次の質問がまったく聞き取れない。入国審査官は何度かくり返すが、やはり分からない。こちらが悩んでいると、親切にも彼は「仕事? 観光? 勉強?」と聞いてくれた。これなら理解できる……ということで、「仕事」と答える。
 最後の質問は、「こちらではどこで働くのですか。」 これは2度のくり返しで分かったので、会社の名前を答えた。
 3つの質問に答えると、入国審査官は苦笑しつつパスポートを返してくれた。たぶん「こんな英語力で働けるの?」って感じであろうか……。
 パスポートを受け取って、先にいった先輩の後を追ったのであった。
(写真・ヒースロー空港)

■イギリス滞在の誓い(笑)
 入国審査は、イギリスに到着して早々、自分の英語力のなさを痛感させる出来事であった。
 さらに悪かったのは、相手の言葉が理解できないのに、いかにも日本人らしく曖昧な笑みを浮かべながら突っ立っていたことだ。理解できないなら相手に「もっとゆっくり喋ってください」とでもいえばいいようなものである。相手の英語が理解できないのは、文章が難しいのはともかく、速さに慣れてないのがいちばん大きいのだ……などと、反省することしきりだった。私は、これから1ヶ月もあるのだからもっと積極的に行こうと、ヒースロー空港の中を歩きながら心に誓ったのだった……。この誓いは、のちのち大きく役に立った……と思う。
 さて、ロンドンの印象については、次回以降でお伝えしようと思う。


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