*「これまでのおはなし」*
来栖川製メイドロボ、HM−13型。
セリオっ。
衛星経由でのデータ受信能力「サテライトサービス」を軸とし、他にも最新機能をてんこもりにした高級機種。
しかしっ。
彼女の魅力はそれだけにとどまらない。
冷静沈着で物腰静か仕事を正確にこなす冷静さ、そして時折見せる照れや笑い顔などの可愛らしさが、
一部のユーザーのハートをわしづかみにしていたっ。
彼ら(希に彼女ら)は、同時発売のHM−12型「マルチ」に世間が心奪われている間、静かにセリオに心を奪われていたのだっ。
マルチも可愛いと思ってもいましたがっ。
さあ、ここにいるヤツ。我らが主人公。仮にAとしておこう。
Aも、セリオに心奪われた豪(ごう)のものの一人だったっ。
何が豪なのか聞かれても困りますがっ。
そうして、Aはこつこつと貯金を重ね、ついにセリオの購入に成功っ。
が、だがしかしっ。
そのセリオは、変な奴だったっ。
効率化により減る筈のエンゲル係数は従来の3倍を優に超え、すぐ駄々をこね、しょっちゅう主人に飛び蹴りを食らわしていたっ。
ときどき、こいつがセリオであることを忘れてしまう程だったっ。
そんな妙な試練の十字架を背負わされたA、しかし。
Aも変な奴だったっ。
なんつーか。
やや悟りを開いていたっ。
そうして二人ののんびりとした日常が続く。
なんか、セリオが遊んでばっかだった気もしますがっ。
ともあれ、セリオの故障疑惑、海辺での謎の出会いなども切り抜け、そしてっ。
ヤツらは。
なんら、どうということの無い日常を謳歌していた。
果たしてこんなんでいいのか?
ヤツらの仲に進展は見られるのか?
そして、海編の横でうろちょろしている連中はなんなのか?
多分、収拾なんかつかないんでしょうけれどもともかくっ
次回、第一部最終回。
「そして、いつかへと続く今日」
タイトルの元ネタは、グラップラー刃牙です。