第25話

*「これまでのおはなし」*
 

 来栖川製メイドロボ、HM−13型。
 セリオっ
 衛星経由でのデータ受信能力「サテライトサービス」を軸とし、他にも最新機能をてんこもりにした高級機種。
 しかしっ
 彼女の魅力はそれだけにとどまらない。
 冷静沈着で物腰静か仕事を正確にこなす冷静さ、そして時折見せる照れや笑い顔などの可愛らしさが、
 一部のユーザーのハートをわしづかみにしていたっ。
 彼ら(希に彼女ら)は、同時発売のHM−12型「マルチ」に世間が心奪われている間、静かにセリオに心を奪われていたのだっ。
 マルチも可愛いと思ってもいましたがっ。
 さあ、ここにいるヤツ。我らが主人公。仮にAとしておこう。
 Aも、セリオに心奪われた豪(ごう)のものの一人だったっ。
 何が豪なのか聞かれても困りますがっ。
 そうして、Aはこつこつと貯金を重ね、ついにセリオの購入に成功っ。
 が、だがしかしっ。
 そのセリオは、変な奴だったっ。
 効率化により減る筈のエンゲル係数は従来の3倍を優に超え、すぐ駄々をこね、しょっちゅう主人に飛び蹴りを食らわしていたっ。
 ときどき、こいつがセリオであることを忘れてしまう程だったっ。
 そんな妙な試練の十字架を背負わされたA、しかし。
 Aも変な奴だったっ。
 なんつーか。
 やや悟りを開いていたっ。
 そうして二人ののんびりとした日常が続く。
 なんか、セリオが遊んでばっかだった気もしますがっ。
 ともあれ、セリオの故障疑惑、海辺での謎の出会いなども切り抜け、そしてっ。
 ヤツらは。
 なんら、どうということの無い日常を謳歌していた。
 果たしてこんなんでいいのか?
 ヤツらの仲に進展は見られるのか?
 そして、海編の横でうろちょろしている連中はなんなのか?
 多分、収拾なんかつかないんでしょうけれどもともかくっ
 次回、第一部最終回。
 「そして、いつかへと続く今日」
 タイトルの元ネタは、グラップラー刃牙です。

戻る