「さあ海です」
「そだね」
「海の家でラーメンを食おうと思うのですが」
「…だ、か、らぁ、こないだ食べ過ぎであーなっちまったのを忘れたのかい?」
「…は、はっはっは(汗)勿論覚えてますですよ」
「もう、いいからただひたすら泳いできなさい回遊魚みたく」
「へーい」
んな感じでセリオ(偽)は海へと駆け出した。
元気なことだ。うん。人間健康が一番。ロボットだけど。
それにしても、この海岸はすいている。
なんだろう? 時期が良かったんだろうか?
ま、芋洗い状態じゃないからいいか。
昼。
気が付いたらもうそんな時間。
…しまった。ボーとしていて泳いでないぞ。
まあ、いいか。明日もあるし。
「おーい。僕なんかご飯食べてくる」
「あ、私も行きまーす」
セリオ(偽)のたっての希望で、海の家でラーメンを食うことになった。
なんでそんなに食べたがるのかは謎だった。
夕方。
「そろそろホテルに戻ろーよ」
「ほーい」
結局、なんの問題も無く一日目が終わろうとしている。
何か起こるかなあ、とか思っていたんだけど。
服を着替えて、ホテルに戻る。
途中、なんかホテルの人らしい女性とすれ違った。
美人だった。
「…」
「何見とれているんですか?」
「え? いや、そういう訳じゃいけど」
「…あれは、このホテルの社長さんですね」
「え? なんで知ってるの?」
「パンフレットに載ってましたよ」
「よく覚えているね」
「えへん」
部屋に戻る。
立派な部屋。
窓からは海も見える。
「もうすぐご飯ですね」
「君は遊ぶか食べるかしかないの?」
「他にもありますよ。色々と」
「はあ」
ご飯を食べた。
美味しかった。
ホテルの人が布団を敷いてくれた。
…。
うーん。
今日は僕が押し入れにこもろうかな?
とか考えていると。
枕が飛んできた。
「さあ、ご主人様! 旅行と言えば枕投げです」
「だから、そういう偏った知識をどっから持ってくるの?」
「問答無用! くらえー」
「甘いっ!」
とか何とかやっていると。
僕の投げた枕が良い感じの角度でセリオ(偽)の首にぶつかった。
崩れ落ちるセリオ(偽)。
「…あれ」
セリオ(偽)は動かない。
心配した僕がセリオ(偽)に駆け寄ると、
「はっはっはっ騙されましたねえっ」
急に置きあがり、不意打ちを食らわしてきた。
…やりやがったな。
まあ、そんな感じで、枕投げをして夜はふけていった。
子供か僕らは。
*
「ふむ…?」
「どーかしましたか?」
「いや、何でもないとは思うんだが」
「じゃ、いいじゃないですか」
「どうも、セリオの頭に強いショックがかかったようでね」
「…大した数値じゃないでしょう。問題ないのでは?」
「まあ、そうなんだけどねえ。変なことにならなければ良いが」