――このみ・・・・・・。いたのか。
いたのかって事はないでしょ。
どうしたんだよ、引越しじゃなかったのか? それになんだよその格好。
あっ、これ? 出かけたのはいいんだけど、傘持ってかなかったら途中で通り雨に降られちゃって。ご主人様のシャツ、勝手に借りちゃったけど、乾くまでいいよね?
いいけど・・・・・・。
・・・・・・。
みよりが帰ってると、思ったんだ?
・・・・・・。
――そっか。ねえ、メルルは?
ちゃんと、送り出したよ。
あなたが行くなって言えば、きっとメルルは行かなかったと思うわよ。
・・・・・・かもな。
今からでも・・・・・・遅くないよ。追いかけるのなんて簡単よ、空港に行って飛行機に乗ればすぐだもん。
・・・・・・。このみ。お前は、なんで戻ってきたんだよ。
え?・・・・・・忘れ物をしたような気がするから、かな。そしたら、やっぱり、あった。持って行く事なんてできないけど、どうしても置いて行けないもの、見つけちゃった。
置いて行けないものがあるのは俺も同じだよ。みよりが帰ってきたとき、誰もいなかったら、あいつ・・・・・・きっと泣くからな。
ご主人様みたいに?・・・・・・ごめん、からかってるわけじゃないの。ねえ、もしもさっき帰ってきたとき、あたしがいなかったら・・・・・・ご主人様、どうしてた?
わかんねーよ、そんなの。わからない。
ねえ。それでも・・・・・・みより?
・・・・・・みよりが好きだ。
そう。そっか。
・・・・・・。

・・・・・・ね、いてあげよっか!
・・・・・・?
だからー、あたしがいてあげるって言ってるの! いつか、みよりが帰ってくるまで。メルルのこと、追いかける気になるまで。浮気しないように、見張ってるから。
・・・・・・なに言ってんだ? 大学はどうするんだよ? もう荷物も引越し先に運んだんじゃないのか?
大学は、その気になればここからでも通えるし。ちょっと時間かかるけど。それに引越しも、家具は実家の方のを持って行くつもりだったから、まだ送ってないし。
簡単に言うけど、そんなのできる訳ないだろ。金だって無駄にかかるし。
できるってば!・・・・・・あたしだって、それくらい、できる。みよりがあなたに逢いたくて生まれてきたのに比べれば、そんなのずっと簡単だもん。
ほら、見てよ。これだって、白い服。
あたしだって、白い服の女の子になれるんだから・・・・・・!!
それとこれとは――。
違わない! もう、見てられないよ・・・・・・そうやって、あなたがひとりぼっちになってくとこ。一緒にいてあげる。あたしが、いてあげるから・・・・・・。
でも、このみ・・・・・・。
もしも別れたくなったら、いつでも言ってくれていいから。あたしだって、ひとりのひとだけを永遠に愛せるかどうかなんて、知らないもん。あたしの方が嫌いになる事もあるかもしれないし、好きで好きでしょうがなかったら、どんな事をしたって別れないかもしれないけど、そんな先の事なんてわかんないし心配なんてしない。
本当は・・・・・・あたし、あなたのことが心配でしょうがないけど、好きなのかどうかはわからない。ううん、たぶん、みよりやメルルの気持ちとは、少し違う。でも、だから。
約束でも、運命でもない。そんな普通の恋、したっていいじゃない・・・・・・!
このみ・・・・・・。
あたしだって、本当は一緒にいたいよ。もっと近くにいたいよ・・・・・・!
これで終わりになんか、したくないっ!
――そうだな。まだ終わりじゃない。なにも・・・・・・なにも終わってなんかいない・・・・・・!
そうだよ。生きてるんだもん。あたしたち。今ここで、一緒にいるんだもん。想い出だって作れるし、なくしたものだって、きっと呼び戻せる。
・・・・・・あなたのいちばんそばにいるはずのひとだって。
ああ。そうだよな。奇跡が必要なら、奇跡だって起こしてやればいいんだ!
うん。いてあげるから。そのときまで、あたしがいてあげるから。いつだって、抱きしめてあげるから・・・・・・。
ありがとな、このみ。元気、出たかもしんない。基本的に単純なんだよな、俺って。
・・・・・・でも、本当にいいのか?
いいんだってば。あたしが決めたんだから。

・・・・・・あなたがあたしを、好きになるようにしようって。
? 悪い、いまなんて言った??
あはっ☆ そのうち・・・・・・教えてあげる
・・・・・・HAPPY END?



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