〜 2月14日 〜


・・・・・・。
・・・・・・みより。
あ、ご主人様・・・・・・!!
なにやってるんだよ、雪降ってきたぞ。
ご主人様、手紙・・・・・・見てくれたんだ。
え? ああ・・・・・・それより早くうちに入れよ。そんな格好じゃ風邪引くぞ。って、もう顔赤いじゃないか。(ごそごそ)とりあえず、このコート着てろ。
あ、ご主人様、寒がりなのに・・・・・・。
そーゆー問題じゃないだろ。ほら、来いよ・・・・・・
待って、ここじゃないと・・・・・・だめなの。
なんだよ。っていうかそもそも、なんでわざわざ記念館になんか呼び出したんだ。
これ・・・・・・。
・・・・・・。
だ、だって、メルルちゃんが見たら、わたし、あ、そうじゃなくて、ご主人様のこと、嫌いになっちゃったりしたら・・・・・・。
・・・・・・だったら、なんでこんなもの、くれるんだよ。
だって・・・・・・! あげたかったんだもん・・・・・・あなたに、手作りのチョコレート・・・・・・。
みより。
今日・・・・・・どうしても、言っておきたかったんだもん・・・・・・!
なあ、みより。
だって! だって、やっぱり・・・・・・!!

あなたが、好き・・・・・。
みより・・・・・・
ダメなのは分かってるけど、でも、やっぱりわたし――
だから、ちょっと聞けって!
・・・・・・っ!
あー、だから・・・・・・ありがとな。
あ・・・・・・。
ん、・・・・・・けどしかしこれ、やたらとでかいなー。普通の板チョコ5、6枚分くらいあるぞ。
あ、お店でいちばん大きい型買ってきたから・・・・・・。
それたぶん・・・・・・チョコとかクッキーの型じゃなくて、ケーキ用のやつじゃないか?
あれ? そ、そうかな!?
いくら甘いもの好きでも、1日じゃ食いきれないぞ、これ。
・・・・・・。
どうせなら、一緒に食べるか? お茶は淹れてくれるだろ?
・・・・・・うん☆
じゃあうちに入ろう。はっきり言って、めちゃくちゃ寒いしな・・・・・・。
あ、ごめんなさい! ご主人様のコート・・・・・・。
それはいいから。早く来いよ。
うん!
〜〜〜〜〜ティールーム〜〜〜〜〜
はい、紅茶。お砂糖は?
3つ。
はい。
えーと・・・・・・。
どうしたの?
これ、割ってもいいよな?
え、真ん中から割っちゃうの・・・・・・? はじっこからちょっとずつ割れる?
どうかな、っと。あ、意外にやわらかいな。冷えて固いかと思った。
あ・・・・・・ずっと胸に抱いてたから・・・・・・。
そ、そーか。みよりの胸って温かいのか。
えー、その言い方ってなんかえっち・・・・・・。
(あせあせ)だ、だって、そんなよーな事をお前が言うからだろー!?
・・・・・・。
(う・・・・・・気まずい)。
あ、あの・・・・・・さわり、たい・・・・・・?
え?
・・・・・・・・。
・・・・・・あ。あー、それはそーと、ほら。小さくうっかいたぞ。
うん・・・・・・。
・・・・・・。って、なにじろじろ人の顔見てるかな(汗)。
え、えっ!? (どきどき)見てちゃ、だめ?
・・・・・・ダメとは言わないけどさ・・・・・・(ぱく)。ん。
おいしい・・・・・・?
うん。そうだな。チョコレートの味がする。
え、あれ? (ぱく)・・・・・・おいしくなかった?
いや。うまいけど。・・・・・・言わせるなよ、いちいち。ハズいだろがっ(汗)。
くすっ☆ 良かったぁ
なんだかなー。・・・・・・でも、みよりの手作りか。けっこう上手になったよな、料理。
うん! このみちゃんに本をもらって作ったの☆
そか。うん。あー・・・・・・これなら、毎年もらってもいいな。
・・・・・・・・・。
みより?
・・・・・・ご主人様。
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・。(ぎゅ・・・・・・)
(ビクッ!)・・・・・・!!
・・・・・・ごめん。逃げるなら。
ううん。ごめんなさい。ちょっとだけ、怖かったから・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
・・・・・・っ!!
・・・・・・泣いてるのか?
ご主人様。好き・・・・・・。
(ぎゅ)
なんで・・・・・・なんでこんなに好きになっちゃたのかな。言わなきゃいけない事があるのに・・・・・・。
いいんだって言ってるだろ・・・・・・家出娘で。
お願い、聞いて・・・・・・。わたしね、わたし・・・・・・本当は、あなたとの想い出しか知らないの。それしか、もってないの・・・・・・。
・・・・・・? おい、記憶喪失なんて言うんじゃないだろうな?
わたしは、あなたの想い出から生まれたから・・・・・・想い出、そのものだから。
!? なんだよ、それ・・・・・・?
あなたは、想い出を大切にしてくれるひとだから。優しいひとだから・・・・・・。
もっと、そばにいたかったの。あなたのそばにいれば、わたしのことをもっと大切にしてくれるって思ったから・・・・・・。
そうだよ。大切に、思ってる。
幸せになってほしかったの。想い出たちは、いつもあなたに幸せになってほしいって願ってるから・・・・・・。
でも、わたし、知らなかったの。想い出を大切にしてくれるひとは、寂しいひとだなんて。でも、だったら、わたしがずっと一緒にいてあげればいいんだって思ってた。
・・・・・・!・・・・・・・?
愛するひとが必要なら・・・・・・見つけて、応援してあげようって思ってた。わたしが恋人になってもいいなんて・・・・・・最初はぜんぜん思ってなかったのに。
ううん、本当は、ずっと前から、生まれる前から・・・・・・あなたが好きだった。

あなたを愛するために、あなたに愛してもらうために、わたしは生まれたんだもん・・・・・・。

でも、だめ・・・・・・そうなったら、あなたは想い出しか見られなくなっちゃうから・・・・・・。
・・・・・・みより。でも俺は、お前を知ってる。本当はお前なんだろ、白い服の女の子・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
みより・・・・・・。
ごめんなさい・・・・・・。わたし・・・・・・あなたの想い出を奪っちゃった。あなたがいちばん好きなひとの姿を。だから、あなたは忘れちゃったの・・・・・・いちばん大切なひとと、その約束を。
あなたがいちばん喜んでくれるひとだって思って・・・・・・ううん、ごめんなさい、うそ、言っちゃた。

わたし、本当はそのひとに、あなたを取られたくなかった・・・・・・。
よせよ! そんな事、信じると思うかよ。家出してきたんなら、戸籍だのなんだのがなくたって当たり前だろ!? それとも、・・・・・・人間じゃないとでも、言うのかよ・・・・・・。
だって、ほんとのことなんだもん・・・・・・!
・・・・・・お前がそうだっていうなら、それでもいい。でも、お前はみよりだろ!? 他の誰でもない・・・・・・俺の知ってるみよりじゃないか。
でも、わたしはあなたの待ってるひとじゃない・・・・・・。
このみに言われたよ。そんな約束は、いま、俺のそばにいるひとよりも大事なはずがない。メルルは、どんな想いも、抱きつづければいつかは真実に育つって言ってた。そうだ、育てられるんだよ、想いは。
・・・・・・想い出しか見られなくなったって、かまうもんか。お前なら、それでもいいさ。
・・・・・・っ!! ご主人様・・・・・・。
それに、想い出なら・・・・・・これからいくらでも新しく作れるだろ? 俺とお前とで。今までだって、そうしてきたんじゃないか。お前が言った事だぞ?
想い出を振りかえる事もあるさ。でも、それだけを見たりはしない。俺は想い出じゃなく、いまのお前を見てるんだから。
・・・・・・あなたが、好き・・・・・・。
みより。
わたし・・・・・・やっぱり、生まれてきてよかった。あなたと一緒にいられて、幸せだった。
なんだよ。それじゃ別れの言葉みたいに聞こえるだろ・・・・・・。
わたし、あなたには誰よりも幸せになってほしい。メルルちゃんが、あなたと一緒にいてくれるって、約束してくれて、だから。
わたしは、もういちゃいけないの・・・・・・。わたしは、ほんとうはどこにもいない子なんだもん。

あなたが・・・・・・あなたが、わたしのことを好きになってくれればくれるほど・・・・・・わたしは・・・・・・。
みより! (ぎゅ!)
あ!・・・・・・ん・・・・・・。
・・・・・・・・。そんな事言ったって、放さない。だって、チョコ、くれたじゃないか。
・・・・・・うん。チョコレートの味が、した・・・・・・。
いなくなるなんて、もう言うなよ。それじゃ俺、振られちまうだろ・・・・・・。
ご主人様・・・・・・。(ぎゅ・・・・・・)
・・・・・・あなたが、好き・・・・・・



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