〜 7月28日 〜


ねえねえ! フランスからお手紙が来てるよ!
メルルに?
うん。あとねー、なんかご主人様にも。
私にですか? 見せてくださいませ。
はい! じゃあこっちのはご主人様に渡してくるね☆ (たったったった・・・・・・)
お父さんかお母さんから?
はい♪
そーいえばさあ、メルルってなんで日本でメイドさんなんかやってんの? いいトコのお嬢様なんでしょ?
はあ。どうしてでしょう?
へ?
(がちゃ!)・・・・・・礼儀作法と家事の実地教育だよ。おーざっぱに言うとな。向こうじゃいろいろとしがらみやらなにやらあって、面倒らしいからな。
あら、ご主人様。そうだったのですか? 私、大学卒業と同時にお父様から、社会勉強のために日本でメイドとして働くように言われただけでしたので、詳しくは知らないんです。
それしか聞いてないのか? そっか・・・・・・。
はい。でも、ご主人様とみなさんいいが方ばかりなので、安心しました
ご主人様の事に限って言えば、それってたぶん錯覚だよ。
まあ、否定はしない(なげやり)。
あ、怒った? じょうーだんだって!
はあ、はあ・・・・・・。もう、ご主人様どうしたの? いきなりダッシュして。
いや、まあ・・・・・・で、手紙にはなんて書いてあったんだ?
あ、まだ読んでおりません。えーと・・・・・・「親愛なる我が娘へ。そろそろそちらの生活にも慣れた頃だろうと思う。お前からの手紙はすべて読んでいる。お前が帰って来る日を楽しみにしている」。
・・・・・・それだけか?
はい。お父様って照れ屋さんですから。
て、照れ屋さんって・・・・・・。あれ? でも、便箋まだいっぱいあるよ。
こちらはお母様からです。あ、シーダが子供を産んだそうです。元気な子犬が4匹ですって!
あ、メルルちゃんちのペット?
はい。セントバーナードです。他にも猫や馬がおりますし、小鳥もたくさん来るんですよ
もしかして、メルルって乗馬とかできたりする?
はい。普通に走らせるくらいでしたら。
へえ。いいなあ。ちょっとかっこいいかも。
それから・・・・・・あら。
なんだ!?
あ、あの・・・・・・その・・・・・・。・・・・・・ても、・・・・・・・ようにと・・・・・・・(もじもじ)。
???? なんだって?
はい、あの・・・・・・「もしそっちで好きな男性ができても、いきなり駆け落ちだけはしないように」って・・・・・・。
・・・・・・それは俺も困るけど(脱力)。なんだ、そーゆー事が書いてあるだけ?
いえ、今年はぶどうの作柄が良いそうです。
・・・・・・はあ?
今度ワインを送ってくださるそうです。ご主人様、ワインはお好きですか?
いや、アルコールはパスだけど・・・・・・って、そーじゃなくて。
ご主人様、さっきからなにこだわってるの!?
そだね。なんか変かも。
・・・・・・。なあ、メルルさあ、大学じゃ比較言語学やってたんだよな。
はい。専攻は日本語です。
うん。でさ、研究とか、好きか?
えーと・・・・・・日本語って、面白いと思います。
そっか・・・・・・じゃあさ、たとえば好きな男がいたとして、研究とどっちがいい?
え!? それは・・・・・・。
まあいいや。どうせたとえばの話だし。それじゃ、早く返事でも書いてやれよ。
はい。それでは少し席を外させていただきますね。 (いそいそ)
・・・・・・あやしい。
うん。
なんだよ、二人して。
ご主人様、なんか隠してるでしょ。
ああ(あっさり)。
・・・・・・なに? わたしにも言えないことなの?
てゆーか、お前らだから言えないんだよなあ(ため息)。
なに? はっきり言って気になるんだけど。
・・・・・・俺やお前らがここにいるのは、みんな偶然に過ぎないって事だよ。じゃ、俺も返事書かないとだから。
・・・・・・!
あ、ちょっと待ってよ。そーいえばご主人様って、フランス語読めたの? メルルのお父さんからなんでしょ?
ん? ああ。まだ読んでないけど、俺宛ての手紙は日本語だし。メルルの父親って、言語学の教授だからな。それじゃ。 (すたすた)
あれ? じゃあ・・・・・・。
ご主人様・・・・・・真剣だったね。
え? うん、まー・・・・・・そーだったかも。
なんで・・・・・・あんなこと言うのかな。ご主人様・・・・・・。
なんでだろね。・・・・・・へんなの。



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