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PCよもやま話 No.16・低価格LANカード性能比較
2000/09/23
■ LANカードのパフォーマンス
先日、net newsで、LANカード
※のパフォーマンスの違いが話題になった。
LANカードも、
100BASE-TX対応製品が一般的になってから、すでに久しい。多種多様なチップを搭載した安価なLANカードが、豊富に出揃っている。
これらのカードの選択だが、私も含めて、適当に選んでいるのが現実だと思う(他の選択基準は、Linuxへの対応くらいだろうか)。LANカードの
パフォーマンスについてはほとんど考えたことはなかったのだが、先のnews記事によると、転送速度が数割違うケースもあるようだ。
私が使用している
VIA製の
VT86C100Aも、パフォーマンスがいまひとつとの評価だったため、試しに新しいLANカードを購入してみることにした。
DECチップクローンの安価な製品を購入しようとしたのだが、立ち寄った店でたまたま品切れだったため、
SiS製のコントローラを使ったメルコの製品を選んでみた。
また、
REALTEK製
RTL8139を使ったLANカードも手元にあるため、これらの製品を簡単に比較してみることにした。
■ テスト環境
テストでは、Windows2000とWindows98の2台のPCを用意し、それぞれの間でファイルのコピーを行なった。ファイルは、単一ファイルと複数ファイルの2パターンを用意した。
Windowsでは、ネットワークドライブの割り当てや名前解決など、PCの設定によってLANのパフォーマンスが異なるので厳密なテストは難しいのだが、これらのテストではなるべく同じ環境になるよう努力した。相対的な比較はできるだろう。
テスト環境は、次の通りである。
- PC No.1・Windows2000 Service Pack 1
LANカードを交換してテスト。
Pentium III 667MHz(500EMHzを133MHzにオーバークロック)、ASUS P3V4X(Apollo Pro 133Aチップセット)。
- PC No.2・Windows98 Second Edition
ネットワークインターフェースはオンボード・intel 82558、ドライバはWindows98標準ドライバ。
Celeron 300AMHz、ASUS P2B-LS(440BXチップセット)。
- 2台のPCをスイッチングハブ・corega Fast SW III-8Pで接続。
- 単一ファイルは、134MB(140,767,583バイト)のファイル。複数ファイルは、Windows2000のi386ディレクトリを使用(332MB、5,510個)。
- テストは各4回実施し、2回目から4回目のそれぞれの転送時間の平均を求めた。
- テストでは、コピー先のPCで次のようなバッチファイルを実行し、時間の計測を行なった。
cls
time < crlf.txt
copy m:data.tgz nul
time < crlf.txt
テスト対象のLANカードは、次の3製品を用意した。
LGY-PCI-TXCは現行製品だが、他の二つはやや古いモデルで、すでに製造終了している。メーカー提供ドライバは、9/22時点で最新のものを使った。
■ テスト結果
テスト1〜3は、コピー先にNULを指定している。テスト4は、(Windows2000版XCOPYコマンドの仕様で)NULへのコピーができなかったため、ディスクにコピーしている。
テスト1は、PC1のキャッシュに完全にデータがおさまってしまうため、PC1ではテスト中のディスクアクセスはほとんど発生しない。
テスト1・単一ファイルコピー(Windows2000 → Windows98)
|
転送時間(秒) |
転送速度(MB/秒) |
LGY-PCI-TXC |
16.5 |
8.14 |
|
FNW-9700-T |
14.9 |
9.01 |
|
NIC310 |
16.0 |
8.39 |
|
テスト2・複数ファイルコピー(Windows2000 → Windows98)
|
転送時間(秒) |
転送速度(MB/秒) |
LGY-PCI-TXC |
78.5 |
4.23 |
|
FNW-9700-T |
82.8 |
4.01 |
|
NIC310 |
83.2 |
3.99 |
|
テスト3・単一ファイルコピー(Windows98 → Windows2000)
|
転送時間(秒) |
転送速度(MB/秒) |
LGY-PCI-TXC |
38.5 |
3.49 |
|
FNW-9700-T |
40.2 |
3.34 |
|
NIC310 |
39.8 |
3.37 |
|
テスト4・複数ファイルコピー(Windows98 → Windows2000)
|
転送時間(秒) |
転送速度(MB/秒) |
LGY-PCI-TXC |
171.6 |
1.94 |
|
FNW-9700-T |
237.3 |
1.40 |
|
NIC310 |
233.6 |
1.42 |
|
Windows98をファイルサーバとした場合に転送速度が上がらないのは以前からの傾向であり、Windows98の仕様らしい。
■ 考察
この結果だけを見ると、3つのカードにはそれほど大きな差はないといえる。テスト4でLGY-PCI-TXCが、ややよい結果を出しているのが目立つ程度である。
しかし、実行時には、それぞれのカードで違いが見られた。本番のテスト実行とは別に、CPU使用率を測定したところ、LGY-PCI-TXCのみ目立って低かったのである。
LGY-PCI-TXCは、テスト1で30%、テスト2・3で20%、テスト4で30%ほどのCPU使用率であった。それに対してFNW-9700-TとNIC310は、テスト1で60%、テスト2・3・4で30%ほどだった。この二者は、ほとんど変わらなかった。
テスト2・4のような複数ファイルのコピー時に、LGY-PCI-TXCのみやや結果がよいのは、この使用率の低さが影響しているのかもしれない。また、CPU使用率が60%にも達していると、より遅いCPUでは、転送速度が低下する恐れもあるといえるだろう。
■ まとめ
安価なLANカードでも、製品によって、性能には多少のばらつきがあることがわかった。今回の結果をみると、積極的に買い換えるほどの差があるとはいえないが、製品を購入するときには、性能を選択基準のひとつとするのが賢明だろう。
しかしながら、LANカードの性能評価は、出版物やWeb上でも少なく、どのチップがよいかといった情報は「噂」のレベルにとどまっているのが現実だ。
個人では複数のカードを揃えるにも限界がある。筆者としても、今回、intel、旧DECといった、高性能とされている製品を比較できなかったのは残念だ。ぜひ、雑誌やレビューページで取り上げられることを望みたい。
※ 注
ネットワークアダプタ、ネットワークインターフェースカード、イーサネットカードなど、呼び方には各種あるが、本稿ではとりあえずLANカードと称する。
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