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PCよもやま話 No.13・COMPAQ DESKPRO 質実剛健PCをゲットせよ! 1998/08/31 (1999/11/25追記)
■ビジネスクライアントの魅力
 先日、通販でDESKPRO 575というPCを購入した。COMPAQのビジネスクライアント用PCである。
 実は、このDESKPROというPC、会社でここ2〜3年使用しているので、個人的に馴染み深いマシンである。たいへん地味なマシンなのだが、なかなかどうして、よくできている。
 ドライバーなしで開けられるメンテナンス性の良い筐体は、厚い鋼板で構成され、まさに質実剛健COMPAQオリジナルTriFlexチップセット、いち早く装備された筐体内温度計、全モデルにオンボード搭載されたAMD製ネットワークコントローラ(でも10BASE-T/5)と、随所に作りのよさが感じられる。マザーボード上に搭載されたチップが、ほとんどCOMPAQのカスタムチップというのが、このマシンの性格を物語っているといえよう。
 筐体デザインもシンプルで好感が持てる(個人的にはDESKPRO 2000などの次世代以降の筐体デザインは好きになれない)。

 そこで、貴重(?)なDESKPRO使用経験を生かして、DESKPROシリーズ……それもPCI DESKPROと呼ばれる、「575」「590」「5100」などの初期型DESKPRO選ぶコツ・使うコツについて、ここで書いてみようと思う(笑)。
 あくまでも経験に基づいたものなので、ひょっとしたら誤った記述があるかもしれない。そのときには、ぜひ情報をお寄せいただきたいと思う。

■DESKPROの型番
 DESKPROの型番は、次のようなフォーマットをしている。
DESKPRO 590/3 720QV
DESKPRO 5100/4 1080MX/CDS
 最初の数値は、最初の桁がCPU種別、残りの桁がCPUクロック周波数を示している。「4100」ならi486DX4 100MHz、「590」ならPentium 90MHzである。
 スラッシュの次の数値は、筐体の形状である。これについては後述する。
 次の数値はMB単位のHD容量である。ちなみに、DESKPROシリーズの内蔵HDDは、すべてE-IDEだ。
 QVMXは、搭載しているビデオチップの種類を示している。これについても後述する。
 最後のCDSだが、これが付いているモデルはCD-ROM内蔵である(SONY製4倍速のものが多いようだが、Creative製もあるようだ)。

 ただし、中古などでは、ただの「5100」「590」などしか示されておらず、細かい点までわからないことも多い。この場合は、後述するように筐体などから判断して欲しい。
 モデルによってはサウンドカード内蔵のものもあるらしいが、このあたりになると、正直にいってよく分からない。
 なお、DESKPRO XLというシリーズもあるが、こちらはEISAマシンで、まったく別のPCといえる。AHA-2940互換SCSIチップオンボード、スピーカ・マイク内蔵キーボードなど、かなりマニアックなPCなので、興味のある方は調べてみて欲しい。ここでは省略する。

■DESKPROを買う
 まず、CPUだが、Pentiumのものを選べばよいだろう。クロックは、75〜133までのバリエーションがある(らしい)。

 筐体という点では、DESKPRO/3よりも、DESKPRO/4DESKPRO/5といった、ベイとスロットの多いモデルがいいだろう。中古などで型番が完全ではなく、モデルの違いがわからない場合は、外見を見るしかない。3と4がデスクトップ型、5はタワー型である。
 3は、外部5インチベイが2つのロープロファイルモデルである。2つのベイのうちの1つはFDドライブとスペーサーで占められている。つまり、FDドライブを外さない限り5インチベイの機器は1つしか搭載できない(CD-ROM内蔵モデルは、そのままでは増設不可となる)。内部ベイは3.5インチが1つである。拡張スロットも、PCI/ISA*1、ISA*2と少なめだ。
 4は、外部ベイは5インチベイが2つと3.5インチベイが1つで、3.5インチのほうにはFDドライブが搭載されている。内部ベイは3.5インチが1つである。拡張スロットは、PCI/ISA*2、ISA*2である。
 5は、外部5インチベイが3つある。3.5インチFDは専用ベイに納められているため、3つとも使うことができる。手元の資料によると、内部ベイは3.5インチ*2。拡張スロットはPCI*1、PCI/ISA*1、ISA*3とのことである(手元に実機がないのだ)。

 なお、各筐体とも全拡張スロットでフルサイズカードが使用可能である(そのため、筐体内は実に広々としている。金具を自作すれば、3.5インチHDの2台くらいは増設できるだろう)。

 ものによっては、ESSチップ搭載のサウンドカードを内蔵したモデルもある。このカードは専用スロットに収まるので、拡張スロットを消費せず、お得である。

 DESKPROには、搭載するビデオチップの違いによって、大きくMXQVの二種類のモデルがある。MXは、QVision 2000+というMatroxのOEM(UltimaのOEMらしい)のPCIビデオカード(RAM 2MB)が搭載されている。QVは、QVision 1280+というAT&T製のチップ(RAM 1MB)が、オンボードで搭載されている。
 筆者の経験から、QVモデルにビデオカードを増設すると、全体的にマシンが不安定になる傾向があるようだ。ビデオカードを変更する予定があるなら、MXモデルを強くお勧めする。反対に、サーバ用途などビデオにこだわらない場合には、スロットが多く使えるQVモデルがよいだろう。
 外見からは、拡張スロットにビデオカードが差してあるものがMXモデル、マザーボード上の10BASE-Tコネクタの横にVGAコネクタがあるものがQVモデルである。
 まれには、また別のビデオチップ(CL-GD5434など)を搭載したものもあるらしいが、詳細は不明である。

■BIOSセットアップ
 さて、中古ショップで吟味してDESKPROを買ったとしよう。
 DESKPROのBIOSには、他のPCにはない大きな特徴がある。それは、PCの基本設定を行なう、いわゆるBIOS Setupの画面(AWARD BIOSなら起動時にDelキーを押すと出てくるあれだ)が存在しないのである。
 それでは、どうやって設定を行なうのかというと……それらの設定を行なうプログラムは、HD上に設けられた特殊なパーティション(診断パーティションというらしい)に納められているのである。
 DESKPROの起動時によく画面を見ていると、メモリチェック後、ビープ音が鳴った後にカーソルが右上に移動する瞬間がある。その時に、タイミングよくF10キーを押すのだ。すると、PCのSETUPプログラムが立ち上がる。

 しかし、中古品などを購入した場合、状態によってはHDが初期化されていて、診断パーティションが消えうせている場合がある。また、HDを交換した場合も、当然ながら診断パーティションは存在しない。
 こういった場合には、診断パーティションを作成する必要がある。
 COMPAQのサイトから、PCI DESKTOP用のF10 SETUPなるプログラムと診断プログラムをダウンロードし、作成したディスクからマシンを起動することで、診断パーティションを作成することが可能である。
 ちなみに、HDに空きがない場合には、作成したF10 SETUPディスクを使うことで、診断パーティションなしでPCの設定することもできる。
 なお、SETUPユーティリティ自体の使い方は、他のPCと大きく異ならないので省略する。

■ハードウェアの拡張
 DESKPROの外部ベイに機器を増設する場合、専用のレールが必要である。これらは、秋葉原ではT-ZONEミナミツクモDOS/V館などで扱われているようだ。特に前者では、ジャンク扱いで安く売られていることがあるので、見かけたらゲットしよう。
 「専用のレールが必要とは、さすがメーカー製だけあって独善的な……」と思ったが、某社のPCでは、専用レールが必要にもかかわらず、レール単品では販売されていないというケースがあった。それに比べればまだましである。
 また、いざというときはガムテープ固定、筐体への穴空けなどのを使うしかないだろう。

 メモリスロットは、72pin SIMMスロットが6本である。筆者が使用していたDESKPROはFast Pageだったが、ロットによってはEDOが標準装備のものもある。全てのDESKPROでEDOが動くかどうかは、残念ながら不明である。

■ソフトウェアのセットアップ
 Windows95Windows98WindowsNT 4.0とも、特に問題なく動作するはずである。ドライバ類は、COMPAQのサイトにアップロードされている。

■クロックアップ
 DESKPROのクロックアップは、拍子抜けするほど簡単である。
 筐体を開けると、内部にベースクロックとCPU倍率を設定するためのディップスイッチの位置と、設定方法が書かれている。それに従ってディップスイッチを変更するだけである。
 筆者の経験では、575590などのベースクロックが50MHzと60MHzのモデルのマザーボードは共通で、これらはベースクロックを66MHzに設定することはできない。575・590は、最大までクロックアップしても120MHz止まりである。
 倍率設定は各モデルとも1.5倍2倍が可能である。
 そのため、590より575を、5120より5100を選んだほうが賢いかもしれない。
 なお、CPUファンは装備されておらず、ヒートシンクでの放熱のため、クロックアップ時にはファンを取りつけたほうがよさそうである。

■最後に
 DESKPROシリーズは、ちょうどWindows95が発売された前後に販売されていたPCである。あれから3年、企業などでもPCの交代が進み、中古市場にも比較的安価・潤沢に出回っているようである。
 第一線で使うのはさすがに無理だが、用途によってはまだまだ使えるだろう。自作PCに混じって、メーカー製PCが1台くらいあってもよいのではないだろうか。



※注・あくまでもこの文章は経験に基づくものですので、誤りのある可能性は否定できません。この文章に従ってDESKPROを購入し、思ったように動かなくても責任は負えませんのであしからず(笑)。



■追加情報 1999/11/25
 このページをお読みになったtahchanさんから、DESKPROのPCIバスのバージョンについての情報をいただいた。
 それによると、DESKPRO 590/5 720MX/CDSに、COMPAQのサイトからダウンロードしたY2K対応のBIOS ROMを導入したところ、もともと2.0だったPCIバスのバージョンが、2.1に変わったそうである。実際にPCIバス2.1用のモデムが動作したとのことだ。
 PCIバスの2.0と2.1の違いは、ほとんどないらしいとはいえ(筆者は勉強不足のため、詳しいことは知らない)、BIOSの書き換えだけで変わるのは驚きである。2.1準拠のビデオカード導入などに躊躇していた方には、朗報だろう。
 貴重な情報、どうもありがとうございました

※注・PCI 2.1カードの動作を筆者が保証するものではありませんので、ご注意ください。

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