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PCよもやま話 No.2・ノートパソコン購入記 1997 1996/12/24
■PRONOTEへの不満
 日記コーナーをご覧になっている方ならご存知だと思うが、ここのところサブノートPCの買い替えを検討していた。
 今まで使っていたサブノートは、松下のPRONOTE mini。悪いPCではないのだが、使っているうちにいくつか欠点が見えてきたのだ。
  1. 筐体が若干強度に欠ける
     私は、ほぼ毎日PCを持ち歩いているのだが、いつのまにか内部でネジが外れたらしく、筐体を振るとカラカラと音がするようになってしまった。NIFTY-Serveなどで情報収集したところ、どうやら内部のネジが外れるのはそれほど希なケースではないらしい。ちょっと安心……したはずもなく、「ネジが外れるのは、良くあること」というわけで、かえって不安が募った
  2. 液晶ディスプレイが狭い
    DSTNにしては見やすい液晶なのだが、640*480ではやはり狭い。
  3. バッテリの持続時間が短い
    1〜1.5時間である。私が主にサブノートを使うのは、会社および電車の中である。自宅で充電していくと、とても帰宅するまでバッテリが持たない。ACアダプターを常に持ち歩く結果となっていた。筐体のサイズが小さく、軽いのはPRONOTEの大きな利点だが、それも半減である。
 そこで、今度のサブノートは、次の点を重視して選択することにした。
  1. それなりに軽いこと
    やはり毎日持ち歩くだけに、それなりの軽さが欲しい。目安として、2kg以下
  2. バッテリ持続時間
    アダプタを持ち歩かなくてもいい程度のバッテリ容量が欲しい。およそ3時間は連続して使用できること。
  3. SVGA液晶
    800*600以上のサイズ。TFTが望ましいが、DSTNでも可。
  4. 頑丈なこと
    PRONOTE FGほどでなくても、ある程度の頑丈さは欲しい。
  5. 価格
    金持ちではないのでどうしてもこの点は重視せざるを得ない(苦笑)。
 CPUパワーは、特にこだわらない。文書入力中心の自分の使い方では、DX4-100MHz程度もあれば十分と思われる。HD容量も810MBあればよいだろう。

■難しい選択
 5つの点を満たすPCを探してみる。
 まず1.の点で、東芝のPORTEGE 620660、COMPAQのARMADA、シャープのメビウスワイドは、いずれも2kgを超えているので選択肢から外す。電車での持ち歩きを行なう私には、重量の点は譲れないのだ。
 松下はLet's Noteは、PRONOTEと同じような造作であり、やはり4.の点で不安が残る。秋葉原で実機に触ってみても、液晶パネルの隅を持って開け閉めすると、液晶に虹のようなむらが入るのだ。DECのDigital HiNote Ultraも、同じ理由から却下である。この2つは、値段的にもかなりこなれてきているので、残念なのだが……。
 富士通のFMV-5133NP/Wは、CD-ROMが標準で付属するなど装備が充実しているが、発売されたばかりとあってどうしても価格が高い。
 この時点で候補として残ったPCは、IBMのThinkPad 535ThinkPad 560だった。ともに1〜5の条件をほぼ満たしている。
 ThinkPad 535は、モデルKF8が候補である。最新のMF9と比べてもスペックにあまり差がないわりに、実売価格はかなり安価なためだ。TFTの10.4inch SVGA液晶に文句はない。MWave搭載で28.8kbpsモデム内蔵という点も魅力だ。
 ThinkPad 560は、SVGA 11.3inch DSTN液晶の5JAを狙う。TFT液晶のEJAFJEよりもかなり低めの価格設定がなされており、A4スリムノートながら手が出る範囲だ。本当はTFTが良いのだが、残念ながらEJAやFJEは、ちょっと高価すぎる。
 秋葉原で535と560、両者に触ってみる。……どちらも、かっちりとした作りで、強度の面での不安はない。質感では、560のほうが上だ。大きくて薄いボディが印象深い。それに比べ、535はごく普通のノートという感触だ。5JAのDSTN液晶は多少見難いものの、我慢できる範囲内だと感じた。
 535/KF8は実売25万程度、560/5JAは20万……。TFTとDSTNの違い、液晶の大きさの差を考えると、この価格差は妥当なところだろう。
 数日悩んだ結果、私が選んだのは560/5JAであった。

■購入
 さて、購入するモデルが決まったら、価格の安い店を求めて秋葉原を徘徊する。
 LaOXザ・コンピュータ館では、\198,000で増設16MB DIMMサービス。しかし、メモリは32MB増設するつもりでいるので、16MBメモリをもらっても無駄になるだけだ。店員の話では、差額を払って32MBに変更することも、16MBを付けない代わりに安くするということもできないという。
 安売りで有名なニッシンパルでは、残念ながら20万を超えていた。
 最近、メーカー製PCの安売りで勢力を伸ばす(?)South Windには、5JAの在庫がなかった。FJEの在庫はあったのだが……。
 T-ZONEミナミでは、\198,000で増設32MBメモリが\20,000。ただし、FJEなら32MBメモリはサービスとのこと。う、5JAとFJEの価格差が縮まる……しかし、やはり5JAを選ぶ、貧乏人の私だった。
 ということで、結局T-ZONEミナミで本体+32MBメモリを\218,000で購入した。ちなみにこの価格、PRONOTE mini(本体のみ)を買ったときの価格とほぼ同額である。

■電源投入から95インストール
筐体の比較
筐体の比較
LCDサイズの比較
LCDサイズの比較
 帰宅後、さっそく箱を開け、560本体を取り出した。
 第一印象は、とにかく大きいということ。秋葉原で実機に触れていたにもかかわらず、実際に手にしてみると、やはりその大きさに驚く。迫力があり、圧倒される。PRONOTE miniと比べてみると、その差は歴然である。
 そのわりに、厚さは薄い。持ってみた雰囲気は……書類挟みといった感じだろうか。大きさのわりには、意外に持ち運びやすそうな印象である。
 当然ながら、液晶パネルもかなり大きい。
 次に、マニュアルをチェックした。最初に読むべきマニュアルは……う〜む、Quick Setup Guideと書いてある、この薄っぺらな紙だろうか。開いてみると、どうやら最初にPCを起動するまでの手順が書かれているらしい。でも、日本語が書いてないぞ……と思ったら、右下に2行だけ書いてあった。インストラクションが12カ国語で書いてあるとは、さすがIBM……しかし、わかりにくいことこの上ないので、ローカライズしたものを入れて欲しい。
 次にUser's Guideを読む。電源投入後の説明は「各OSによって異なります」ということで、詳しく書いてない。
 そこで、とりあえず電源投入。なぜかWindows95のインストール途中の画面が立ち上がった。Windows95が立ち上がると思っていたので、驚いた。Windows95は、プリンタやExchangeの設定、タイムゾーンの設定をインストール途中で行なう必要があるので、しかたないのかもしれない。しかし、初心者が起動したとすると、かなり戸惑うに違いない。
 Windows95のインストールには慣れているので、適当なオプションを選んでインストールを続行。インストールの途中、なぜかSafeModeで立ち上がったりしたが、最終的には無事にWindows95が立ち上がった。
 立ち上がったら、まずWindows95のバージョンをチェックする。残念ながらOSR2ではなく、4.00.950aであった。ThinkPad 560自体が、今年中頃の発売なのでしかたないだろう。

■パーティションを切り直す
 810MBのHDが内蔵されているが、1パーティションとなっている。このままだとクラスタサイズの関係から若干効率が悪いので、パーティションの切り直しを行なうことにした。
 まず、LANを経由して、HDの内容をすべてMOにバックアップする。とりあえず、これで安心だ。
 次に、プレインストールソフトやドライバ類のFDへのバックアップを行なった。バックアップCD-ROMが付属していないのは、たいへん不満である。デスクトップと併用するユーザーも多いだろうし、たいしたコストではないのだから、ノートとはいえ添付して欲しいところだ。また、HD上にはディスクイメージをファイル化した特殊な形式で保存してあるので、FDに展開しておかないと再利用できない。結局、56枚のFDが必要であった。通常のファイル形式で保存されていれば、わざわざFDに展開する必要もないのだが……。
 バックアップが終わったので、HDをFDISK、フォーマットした。結局、510MB+255MB+8MBというドライブ構成となった。最後の8MBが情けないが、d:ドライブを263MBとするよりも、実容量は大きくなるだろう。
 さて、Windows95のインストールである。CD-ROMが付属していないマシンにWindows95をインストールするのは、なかなかの難題だ。
 ネットワークインストールという方法もあるが、それだと、LANを使えるようにするために、わざわざDOSベースのネットワークOSをインストールしなくてはならない。特にノートPCだと、NICはPCMCIAカードだから、PCMCIAカードサービスも必要となる。かなり面倒な作業である。
 PRONOTE miniのときには、パラレルInterLink経由でインストールした。これは、マシンが2台あれば有効な方法だが、かなり遅いのが難点である。
 今回私が取ったのは、Zipドライブを使う方法だ。パラレルZipなら、わざわざSCSIのASPIドライバなどを組み込まなくても、guest.exeというプログラムを実行するだけで使用可能になる。Windows95をZipドライブからHDへ展開し、Zipドライブを外して、HDからインストールを行なった。
 Windows95のインストール自体は問題なく終了。その後、いくつかのアプリケーションもインストールし、完全に環境が整ったとはいえないものの、とりあえず使えるようにはなった。

■使用感
 まだ数日しか使用していないのだが、使用感をざっと書いてみる。
 実際に鞄に入れて持ち歩いてみた。薄いが大きい560、ということで携帯性が損なわれているのではないかと危惧したが、鞄に入れた状態では、まったく問題ないことがわかった。重量も、ACアダプターを持っていないこともあって、それほど気にならない。
Track Point 3
Track Point 3
 ポインティングデバイスのTrack Point 3は、はじめこそ多少戸惑ったが、慣れれば案外使いやすい。ドラッグなどの操作にはコツが必要だが、ボタンを確実に押しっぱなしにするように気をつければ、まず問題なく操作できる。
 気になる点は、やはりDSTN液晶の見難さ。液晶それ自体は、PRONOTE miniのものとたいして変わらない品質だと思うのだが、800*600と大きいのが曲者である。
 ご存知の通り、DSTN液晶は視野角が狭い。正面ではなくて斜めから見ると、とたんに見難くなる。560はディスプレイのサイズが大きいため、液晶ディスプレイの真ん中を直視していると、端のほうは斜めに見ることになってしまうのだ。これは、PRONOTE miniの小型の液晶(640*480で7.2inch)では、起こらなかった問題だ。多少の誤算であった。無理をしてでもTFTを買っておくべきだったかと多少悔やまれる……。
 しかしながら、560の質感には十分満足している。人に見せたときの「うす〜い」という言葉もなかなか快感である。総合すれば、560にはおおむね満足といえるだろう。
 もっとも、1年もすると「DSTNはやっぱりだめだ」などと言って、買い換えを検討しているのかもしれない……。

(撮影・FUJIFILM DS-7)

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