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PCよもやま話 No.1・MS-IME97使用レポート 1996/12/17
■MS-IME97購入の動機
 私はDOSの時代にVJE-βからWX2に乗り換え、WX3、WXGと使ってきた生っ粋のWXシリーズユーザーである。しかし、WXGになってからというもの、バグが多く(1.10になってからはだいぶ安定したが)、変換効率もいまいちなので若干困っていた。そこに登場したのがMS-IME97である。雑誌での評価もわりと高く、安価なので、ひとまず買ってみた。以下、そのレポートである。

■よい点

変換効率が高い
 今まで使っていたWXGに較べると、明らかに変換効率が高いようだ。文節長の切り直し、誤変換の訂正とも少なくてすんでいる。

軽い
 少なくともWXGよりも高速に起動し、変換も速い。多少予想外であった。

半角英数が入力しやすい
 ローマ字モードでの入力中、文中にアルファベット大文字を入力すると、その時点から半角入力モードになるという機能がある。その後、Shiftキーを単独で押すと、またローマ字モードに戻る。
 たとえば、「今日MS-IME97を購入した」と入力したい場合には、次のようにキーを押す。
kyouMS-IME97<[Shift]>wokounyuusita<[変換]>
 コンピュータ関係の文章を書くと、全角半角が混在した文を書くことが多い。この機能はなかなか有効である。

ツールバーがタスクバーに格納できるようになった
 タスクバーに格納すると、変換モードをタスクバー上のアイコンで表示するようになる。実際のところ、ショートカットキーに慣れてしまうとツールバーのボタンはあまり使わないので、便利になったといえる。しかし、タスクバー上に、MS-IME97だけで3つもアイコンを表示することになるが。

Wordでも確定アンドゥが効く
 WXGでは効かなかったが、MS-IME97では効くようになった。さすが、自社製品である。

話し言葉に強い
 「一般」「人名/地名優先」「話し言葉優先」などの設定ができる。
 「ビデオカード買っちゃった」「言わなきゃだめ」「しょうがないね」ぐらいなら、「話し言葉優先モード」にしなくても、一発で変換する。

■悪い点
ファイルサイズが大きい
 辞書が5.5MB、MS-IME97本体と思われるDLLファイルが4MB弱である。もっとも、最近のアプリケーション巨大化傾向から見ると許せる範囲だろう。

■どうでもいい点
手書き認識
 雑誌などで大きく取り上げられている手書き認識だが、確かに認識効率は高い。かなりいいかげんに書いても、認識される。しかし、あくまでもおまけ機能。どのくらい使うかは疑問である。

■個人的に困った点
 この項には、私が個人的に困ったことを挙げてある。誰にでも当てはまるものというものではないが、個人的に気になったので書いておく。
記号からの変換を学習しない
 私は、文中に「……」を多用するため、「・・・(全角中黒3つ)」を「……」に変換するように単語登録してある。しかし、候補の表示順を学習してくれない。「・・・」を変換すると、必ず「・・・(全角か半角のいずれか)」「…」と順に変換してから、「……」を表示するのだ。
 どうやら、記号の変換の場合には、必ず学習単語よりも記号が優先して表示されるようだ。ちなみに、WXGでは、きちんと最初に「……」が表示されていた。
 まあ、こんな単語を登録するほうが邪道だといってしまえばそれまでだが……。

VJEテンプレートがMS-IME95と異なる
 テンプレートとは、他のIMEのキー割り当てをエミュレートする機能である。
 私はMS-DOS時代からVJE-βのバージョン2.5のキー操作に慣れてきた。
 MS-IME95のVJEテンプレートは違和感なく使えていたのだが、MS-IME97になったとたん、たいへん戸惑うことになった。なぜかキー操作が大きく変わっているのだ。VJEテンプレートを使う人は少数派だと思うが、私にとっては大きな問題である。
 一番大きな問題は、未確定の全角スペースが入力できなくなった点。たとえば、半角で「Windows NT 4.0」と入力したい場合、MS-IME95のVJEテンプレート(およびオリジナルのVJE-β)では、次のように入力すればよい。
Windows<全角スペース>NT<全角スペース>4.0<[Ctrl]+[L]><[Ctrl]+[O]>
 [Ctrl]+[L]はアルファベット変換、[Ctrl]+[O]は半角変換である。いったんすべて全角で入力してから、まとめて半角に変換している。
 ところが、MS-IME97では、全角スペースが入力できないので、1単語ずつ(「Windows」「NT」「4.0」と)半角変換・確定処理を行わなくてはならないのだ。思考の流れが妨げられ、大変苦痛である。
 また、[Shift]+[変換]のキー操作が変更になったのも使いづらい。95では「前候補」だったのに、97では「文節長+1」に変更されたのだ。なぜこんな非論理的なキー操作に変更したのか、理解に苦しむ。
 さらに、VJEテンプレートでは、ヘルプで表示されるキー操作と、実際の動作とで異なる部分がある。

■結論
 IMEの機能で、もっとも大事なのは変換効率であろう。その変換効率について、MS-IMEには十分合格点が与えられると思う。
 それと並んで重要なのは、ユーザーインタフェースであろうか。この点については、今まで慣れ親しんだキー操作が使えなくなっているため、私自身は大変不満である。しかし、まったく新しいアプリケーションとして考えれば、キー操作が変わっていても当たり前かもしれない。この変換効率の高さは快適なので、別のキー操作に慣れてみようと思っている。MS-IME97がキーカスタマイズ機能まで備えていれば完璧であった。
 全体的に見て、現在のIMEに満足していない方には、値段が安いこともあり、お勧めだといえよう。
 ちなみに、私にはATOKの使用経験がない。変換効率が高いと評判のATOK10を常に使用されている方が、MS-IME97にどのような評価を下すのか、興味があるところである。

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