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盗賊リクトのDiablo戦記・第2回
 その後、ひとりで何度か教会を探索した。
 怪物たちとの戦いにも次第に慣れ、自分なりにコツもつかめてきた。
 まず、扉を開けたら部屋の中に少しだけ入る。周囲から怪物たちが近寄ってくるので、そこで待ち構えて倒すのがいいようだ。最初のときのように、部屋の真ん中へ突っ込んでいくのはやはり危ない。
 それに、地下深くまで潜ったときには、「街への転移門(*1)」の呪文が便利だ。廃墟の奥深くから戻ってくるのは面倒で危険な道程だが、この呪文は空間を歪め、直接地上へ通じる門を作り出すのだ。その門をくぐれば、すぐに地上へ戻ることができる。
 このことを知ってから、街外れの魔女の家で、この呪文の巻物を必ず2〜3本買ってから探索に出かけることにした。

 最近は、地下4階くらいまでなら、それほど危険を感じずに探索できるようになった。
 ただ、3階にいる大きな骸骨、あれだけは勝てない。
 宿の主人、オグデンの話によると、あの骸骨はトリストラムの統治者、レオリック王のなれの果てらしい。
「彼の魂を安んじてくれ」とオグデンに頼まれたのだが、今の私では、出会ったら逃げるしかないようだった。
 哀れなレオリック王のためにも、もう少し成長しなくてはと誓った。



 私は何度目かの探索を終え、地上へ戻ってきた。日の光が眩しい。
 宿に帰り、風呂に入って一息ついた。部屋に戻ってベッドでごろごろする……この時間が一番幸せだと思うのは、私だけだろうか。
 ふと、かたわらに置いてあった鎧が目に止まった。鎧は、たびかさなる戦闘のせいでかなり傷付いていた。
「う〜ん、そろそろ修理しないと危ないわね……」
 そういえば、この宿屋の向かいに鍛冶屋があった。なにか恐そうな親父が店番をしているのであまり近付かなかったのだが、こうなればしかたがない。私は装備一式を持って鍛冶屋へ向かった。

「おじさん、この鎧とかの修理を頼みたいんだけど……」鍛冶屋の親父の前に、持ってきたものを出す。
 親父はそれを見て、呆れたようにいった。
「なんでこんなに傷むまで放っておいたんだ! もうすこしで壊れちまうところじゃないか!」……どうしてかというと、この親父が恐そうだからだ。しかし……まるでいたずらっ子をしかりつけるようだ。
「ごめんなさい」と素直に謝っておく。
 親父は機嫌を直したようだ。
「ふむ……これだけ傷んでるとちょっと金はかかるが……構わねえな、お嬢ちゃん?」
「ええ、どうぞ」
「よっしゃ、まかせとけ」
 そういうと、彼は店の奥へと引っ込んだ。金属を打つ音と、ふいごの音が聞こえてくる。
 彼を待つ間、私は店の中を眺めていることにした。店の中は、ところせましと剣や鎧が並べられていた。どの品物もきれいに磨き上げられ、脇に説明書きと値札がついている。私は、ひとつずつ眺めていった。
 店の一角にケースがあった。その中の品物は魔法の物品らしい。付与されている魔力が記されていた。しかし、私に役に立ちそうな品物は、ないようだった。
「どうだい? 何か面白いものがあったかな?」
 振り返ると、親父が立っていた。修理が終わったようだ。
「この中にはないみたい」
「そうか、ま、そこのもんはちょくちょく入れ替えてるからな。ときどき覗きにきてくれよ。ほら、終わったぜ」
 彼はそういって、鎧と盾、かぶと、剣を私の前に置いた。どの品物も傷一つない。新品同様だった。
「ありがとう」恐そうな外見にもかかわらず、腕は立つようだった。
「ま、この俺にかかればこんなもんだ。そうそう、俺はグリスウォルドってんだ。今じゃ、トリストラムでただ一軒の鍛冶屋になっちまった……。ま、今後もよろしく頼むぜ、お嬢ちゃん」
 私はグリスウォルドに礼をいい、代金を渡して店を出た。



 翌日、探索に出かけるため「昇る朝日」亭をたった。宿屋の前は、街の中央広場だ。その広場の向こう側に、鎧に身を固めた、男女二人連れの姿が見えた。……冒険者だ。
 女性のほうは、弓を手にしているところを見ると、私と同じ盗賊かもしれない。男性のほうは剣を手にしているが、顔には刺青が入り、外套をまとっている……噂に聞く、東方賢人会の魔法使いだろうか。
 初めて自分以外の冒険者を目にして、すこしどきどきした。

 私は、広場を横切って彼らに近付いた。
「えっと、はじめまして」私は、会話を交わしている二人に話し掛けた。
 二人がこちらを向く。
「こちらこそ、はじめまして」と女性がいった。
「おや、初めて見るかたですね」男がいった。その声には思いのほか張りがあった。遠くから見たときには分からなかったが、まだかなり若いようだ。
「私はリクト、盗賊をやってます」と自己紹介する。
 男性はMASSA(*2)、女性のほうはYELL-E(*3)と名乗った。職業は、やはり魔法使いと盗賊だった。
「……でも、どこかで会ったような感じがするんですが……」とMASSAは首をかしげた。
「あら、お知り合いなの?」とYELL-E。
 私自身には、魔法使いの知人はいない。もしかして……。
「……ひょっとして、姉のコンフをご存知ですか?」とMASSAにたずねる。
「おや、リクトさんはコンフさんの妹さんですか」MASSAは私をしげしげと眺めた。
「なるほど、たしかに似ているかも……。コンフさんと私は、初めてディアブロを倒したとき、一緒にいたんですよ」
 ここトリストラムに集う冒険者は数多いという。初めて会った冒険者が姉の知り合いとは、珍しいこともあるものだ(*4)。
「MASSAの知り合いの妹なのね。じゃ、これをあげるわ」そういってYELL-Eが取り出したのは、銀色に輝く指輪だった。「『虎の指輪(*5)』よ。よかったら使って」
 姉から受け取った品物の中にも指輪はなかったし、自分で見つけたこともなかった。
「ありがとう」YELL-Eに礼をいい、さっそく指輪を付けてみた。かなり体力が増したような気がする。
「……これから『地獄』に行こうと思うんですが……」とMASSA。
「『地獄』?」
「ほら、地割れの奥ですよ。あそこを使えば、一気にディアブロに近付くことができるんです」
「ディアブロは、すでに倒したのでは……?」
 そう問いかける私に、YELL-Eが答えた。
「甘いわよ、リクト。ディアブロは何度でも復活するの(*6)」そこでYELL-Eはふーっと大きくため息を吐いた。「トリストラムに本当の平和が訪れるのは、まだまだ先みたいよ」
 そうだったのか……たしかに姉とMASSAたちがディアブロを倒したはずなのに、トリストラムを覆う闇が去ったようすはない。
「どうしますか?」MASSAがいった。
 私の実力では「地獄」などに行っても足手まといになるだけだろう。私がそういうと、彼らもうなずいた。
「では、さらば友よ」MASSAはそういって、両手で印を組んだ。
 私はYELL-Eに改めて指輪の礼をいい、彼らと別れた。



■注
 (*1) TOWN PORTAL。
 (*2) プレイヤーは、魔叉氏。
 (*3) プレイヤーは、まいす氏。
 (*4) いつもGMCのメンバーでプレイしてるため、知り合いで当然ですが、話の都合上、珍しいことにしておいてください(^_^;)。
 (*5) RING OF THE TIGER。HPが増えます。
 (*6) シングルプレイならエンディングらしいですが、マルチだと何度でも復活します(^_^;)。

 文中敬称略。



今回の教訓

■敵は待って倒せ
 直接攻撃する武器を持っているとき、普通に敵をクリックすると、そこまで歩いていってから斬り付けます。ところが、Shiftキーを押しながらクリックすると、歩かずにその場で剣を振ります。扉の手前など、有利な位置に陣取って敵を待ち構え、この機能を活用して攻撃しましょう。
 弓を持っている場合でも、敵からちょっとカーソルがずれると、その場所目指して歩き出してしまいます。このときもShiftキーを押していればその場にとどまって撃ち続けることができます。

■TOWN PORTALを活用しよう
 ダンジョンの奥深くまで潜ったとき、地上まで帰ってくるのはちょっと面倒です。ところが、TOWN PORTALの呪文を使えば、地上まで一気に戻ることができます。
 TOWN PORTALのスクロールは、魔女の家で売っています。ちなみに、魔女の家は街外れにあります。地上をくまなく探せば見つかるでしょう。
 もしTOWN PORTALの本を手に入れることができたら、スクロールはいらなくなります。

■武器・防具は忘れず修理
 武器・防具には耐久力(DUR)というパラメータがあり、使っているうちにどんどん減っていきます。これが0になるとその品物は壊れてしまいます。0になる前に鍛冶屋(BLACKSMITH)で修理しましょう。ダンジョンから街に戻ったら必ず修理する習慣を付けることをお勧めします。
 忘れてWINDFORCEを壊したのは姉のコンフです(^_^;)。

■鍛冶屋の在庫は必ずチェック
 鍛冶屋のPREMIUM ITEMの在庫はプレイするたびに変わります。毎回確認しましょう。
 また、キャラクタのレベルによっても在庫が異なります。マルチプレイのとき、他のキャラクタの在庫によいアイテムがあったら、代理購入してもらうのも良いでしょう。
 また、魔女の家、少年(次回以降で解説)の在庫も、毎回変わります。

■ダンジョンの深部に突入!
 街の各所に点在する、地下墓地(CATACOMB)、洞窟(CAVE)、地割れ(HELL)などに入ると、ダンジョンの深い階に一気に降りることができます(マルチプレイの場合。シングルプレイのときにはまた違うようです)。
 それぞれの入り口には、ある一定のレベルにならないと入れません。
 ただ、入れるようになったからといって、すぐに突入するのは危険です。キャラクタの強さに不相応な深い階に潜ることは、死に直結します。十分注意しましょう。

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