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盗賊リクトのDiablo戦記・第1回
 私の名はリクト。ある街で盗賊稼業を営んでいる。ただ、盗賊といっても実際に盗みを働いたりはしない。遺跡を捜索して宝物を探し出すのが主な仕事だ。ときには、ちょっとした護衛を引き受けたりもする。

 ある日、私は一通の手紙を受け取った。その手紙は、私の姉、コンフからのものだった。なんの因果か、姉と私は同じ稼業だった。
 コンフは、悪魔に襲われた街「トリストラム」の噂を聞き、自分の力を試してみるといって数週間前に旅立っていた。
 手紙には、こう書かれていた。
 リクト、お元気ですか。私はこちらにきてから修行を積み、先日ついに悪魔ディアブロを倒しました。しかし、私は、不注意から最愛の弓『風の力(*1)』を失ってしまったのです……。私は少し疲れたようです。しばらく休もうかと思います。
 かわりに、リクトがこちらにきて戦いませんか。あなたの冒険者としての素質は、私を上回っていると思います。それを試す絶好の機会になるでしょう。また、こちらの遺跡にはすばらしい宝物が眠っているはずです。
 リクトのために、いくつかの品物を宿屋の主人オグデンさんに預けておきます……。
 コンフがディアブロを倒した……信じられない思いだった。姉は、私と同じくらいの実力しかなかったはずだ。姉は、トリストラムで、かなりの成長を遂げたに違いなかった。
 それに、遺跡に眠る財宝たち……。
 私もトリストラムへ行こう。次の瞬間、私は旅の準備をはじめていた。



 数週間後。厳しい旅を終えた私は、トリストラムの地に立っていた。
 街はさびれ、あちこちに空き家が見える。それでも中心付近の数軒の家には、明かりが点っていた。
 泉のある広場に面した「昇る朝日亭」という宿屋を見つけた。男が一人、扉の前に立っていた。話し掛けてみると、彼がオグデンだった。
「ああ、あなたがリクトさんですね。コンフさんによく似ています。ええ、この包みを預かっておりますよ」
 彼から渡された包みはずっしりと重かった。開けてみると、中にはきれいに磨かれた一領の鎧とかぶと、剣、護符、いくらかの金貨、そして手紙が入っていた。
 手紙を開ける。姉の筆跡だった。
 リクト。よく来ました。私は今、トリストラムを離れています。とりあえず、私が遺跡で見つけた装備をあなたにあげましょう。『祝福されし狼の鎧(*2)』『調和の聖冠(*3)』『光の剣(*4)』『星の護符(*5)』です。最初のうちは、役に立つことでしょう。
 盗賊は弓を使うことが多いのですが、リクトは昔から剣を使っていましたね。『光の剣』はきわめて強力とはいえないまでも、なかなか使える剣です。
 リクト、あなたの幸運を祈っています……。
 姉から渡された品物は、どれもなかなかの物だった。剣を鞘から抜くと、刀身が淡い光を放った。よほど名のある品物(*6)らしい。
 私は部屋を取り、明日からの冒険に備えて眠りについた。



 翌日、街の人々に話を聞いてみると、町外れの教会が怪物たちの住処となっているらしい。さっそく行ってみたいのだが、ひとりでは多少心許ない。しかし、町の中心でしばらく待ってみても、ほかに冒険者らしい人影はなかった。
 姉から譲ってもらった装備を身につけ、盾と薬を買い込んでから、私はひとり教会に足を踏み入れた。

 教会の中は暗く、静かだった。怪物たちが住み着くようになってからどのくらいたったのだろう。かつては壮麗だったに違いない建物も、今は荒れ果てていた。
 闇の中で、所々にある松明だけがゆらめいていた。私は、慎重に足を進めた。手にした「光の剣」が、周囲を照らす。
 突然、剣と盾を構えた一体の骸骨が現れた。音もなく近付いてくる。私は慎重に間合いを見極めてから、剣を振るった。剣から稲妻がほとばしり、骸骨を包み込む。敵は、あっけなく倒れた。あとには数枚の金貨が残った。
 どうやらこのあたりの怪物なら、それほど苦労せずに倒せるようだ。
 少し安心した私は、奥へと進むことにした。

 ときどき現れてくる怪物を倒しながら、櫃や棺桶を調べていく。いくらかの金貨や、その他の品物が見つかった。しかし、残念ながらそれほど値打ちの高い物はないようだった。

 階段を見付け、下の階に降りる。
 現れてくる怪物たちは若干強力になったようだが、まだそれほど危険は感じなかった。
 廊下を歩いていくと、奇妙な扉を見付けた。扉の下からどす黒いものがにじみ出ているのだ。……おそらく血だろう。興味を引かれたが、なにか嫌な感じがする。
 好奇心を押さえて廊下を進んだ。
 さらにしばらく行くと、広い部屋に出た。部屋の中央付近にはいくつも櫃が放置されている。私は櫃を開けようと、部屋の中へ歩いていった。
 それが、間違いだった。
 暗い部屋の隅に、怪物たちが潜んでいたのだ。骸骨やゴブリンのような妖鬼、口からよだれを垂らした獣……一気に押し寄せてきたやつらに、私は一瞬のうちに取り囲まれてしまった。
 やつらの剣や棍棒、牙が鎧に当たり、嫌な金属音を立てた。私も、手当たり次第に斬り付けた。あたりに血の匂いが立ち込めた。
 命中しているのかどうかも分からずに、私は懸命に剣を振り続ける。
 気がつくと、怪物たちはすべて倒れていた。
「ふぅ……」
 かなりの傷を負ってしまった。街の医者で買っておいた赤い薬を飲むと、心なしか体力が戻ってくるのが分かった。
「この鎧がなければ、危なかったわ……」
 鎧はあちこち傷だらけだった。これがなければ、確実に命を落としていただろ
う。私は姉に感謝しつつ、教会の廊下を街に向かって戻り始めた。



■注
 (*1) WINDFORCE (UNIQUE ITEM)。
 (*2) BLESSED MAIL OF THE WOLF。
 (*3) HOLY CROWN OF HARMONY。
 (*4) LIGHTSABRE (UNIQUE ITEM)。
 (*5) AMULET OF THE STARS。
 (*6) ユニークアイテムですから。



今回の教訓

■最初はアイテムをもらおう
 マルチプレイのキャラクタを初めて作ったときには、高レベルのキャラクタにアイテムやお金をたかりましょう(^_^;)。高レベルキャラクタには、大したことのないアイテムでも、レベル1キャラクタには大変役に立ちます。
 ついでに、ダンジョンの深いところに一緒に連れていってもらうとレベルが上がるのが速いですね。

■地下2階の赤い部屋への扉は開けない
 ここには、BUTCHERという強力なモンスターが潜んでいます。充分に成長するまで開けないようにしましょう。開けてしまって見事に死んだのは、姉のコンフです(^_^;)。

■ダンジョンはゆっくり歩こう
 ダンジョンでは、2、3歩ずつゆっくり歩きましょう。一気に先に進むと大勢の敵が出現し、取り囲まれることになります。

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