戸高雅史 チョモランマ遠征レポート 98


ここでは、FOSの杉山さん、前田さんのご協力により、現在単独のチョモランマ登頂を目指している、
「日本FOS チョモランマ登山隊 1998」 
の戸高雅史氏とBCマネージャーの優美さんのレポートをお届けいたします。


レポートbP

 いよいよ明日、陸路にてチベットに入る。昨年のチョモランマ登山から、もう一年が過ぎている。
たくさんの方々のお世話になり、またこうして山に向えることになった。昨年と比べるつもりはな
い。今回は、とにかく今ありのままに山と向きあいたいということだ。チャンスはきっとある。た
だ、それを僕が感じられるか否か。そしてもし、アタックをかけられたとしたら、後は引き返すポ
イントを間違えずに判断できるか否かだ。すべてが順調であれば、それは頂上に○○○。正直にいっ
て、今年の登山がどんな登山になるか、僕もまったく予想がつかない。だが、それでいいと思う。
大切なことは、わかっているつもりだ。「今、ここに、ありのままに。」そこから、新しい一歩が
生まれる。

 今回のチョモランマで登山に際しましては、後援会や福岡教育大学探検部OB会はじめたくさん
の方々や装備や食料をご支援いただいた企業の方々に大変お世話になりました。おかげ様でこうし
て再びチョモランマ峰に向かえるようになりました。本当にありがとうございました。

                                      戸高 雅史



 「ナマステ!」湿った土のにおい、むし暑い空気のカトマンズ盆地にはモンスーンの厚い雲が
たちこめている。1年ぶりにネパール・ドリヴァン空港に到着。街は変わることなく活気に溢れ、
バザールを行き交う人の波や品物1つ1つが強烈なエネルギーを発しているように見える。遠征が
始まった。
 買い出し・パッキングと慌ただしく準備していると、人生スゴロクで昨年の7月に振り戻った気
がする。遠征という現実が目の前に大きくある。戸高についてヒマラヤに通うようになり4年目と
なる。山を知ればその代え難い世界の素晴らしさに魅了され、反対に、山の厳しさと怖さが分かっ
てきて、臆病になってきた。今回のチョモランマは戸高自身が今年行くか、のばすかを考えた期間
が長く、その間に出版の執筆活動が入ったりと、準備にとりかかるのが例年になく遅かった。にも
かかわらず、2ヶ月の資金集めで、多くの方々の後援を頂き、ウェア、テント、コンロ関係から食
料物資など企業からも快く支援して頂いた。本当に有り難いことだ。こんなにも自由に、好きな山
に向かえるなんて、恵まれていると思う。
 今年は現地のスタッフを雇わず、全く2人で行う予定でいる。北西陵ABCは誰一人来ることは
ないだろう。私は大丈夫だろうか?時々、不安になる。
 一人になることを思うと、日本で私たちを見守ってくれる人の存在を心強く感じ、一人ではない
事を思う。「流れに逆らわず、あるがままの自分を受け入れること」「出会う人に対して礼儀を持
ち、謙虚に触れ合っていくこと。」遠征で学んでくること。ポジティブに物事を捉え進んで行こう!
 明日からは「タシ・デェライ!」(チベットのあいさつ)
                                      戸高 優美