【セッティングを疑う前に】 典型的な質問に「オーバステアを何とかしたいのですが」や、「アンダーを消すにはどうすればよいでしょうか」というものがありますが、基本的には、セッティングに手を入れる前に、ドライバーのスキルを上げておく必要があります。 確かに、セッティング次第でマシンの性格はガラリと変わります。しかし、どんなにハードなセッティングにしても、コントロールできなければ、意味がありません。 サスペンションを強化して、ロール剛性を上げたりすれば、コーナリング限界は上がりますが、同時に挙動がシビアになってきます。また、バネやダンパーを硬くすれば、旋回初期のレスポンス(応答)は良くなりますが、適性な舵角でなければ、オーバーステアやアンダーステアが顕著に出るようになります。 このように、セッティングを変えていく事によって、マシンのポテンシャル(潜在能力)を最大限に引き出す事が可能になると同時に、ドライバーの能力も最大限に問われるようになるのです。 とにかく、「マシンの限界を上げる前に、ドライバーの限界を上げておく」べきです。 上手い人と、そうでない人の違いは、走り込みの「質」と「量」と言っても過言ではないでしょう。 「量」に関しては、何も言う事はありません。時間の許す限り、走りまくればいいのですが、「質」については、当サイトの理論を参考にするなどして、様々なアプローチをしていく必要があります。 そうやって、限界まで走り込んで、例えば、同じコースを同じ車種で、ひたすら走って、コンマ1秒の短縮に限界を感じてきた時、その時になって始めて、セッティングが意味あるものになります。 大して走り込みもせずに、「このマシンはアンダーが強くて乗り難い」→「セッティングで解決しよう」というのは好ましくありません。 これでは、マシンの性格を十分に理解しないまま、セッティングする事になってしまいます。 本当はアンダーを活かして走る方がタイムアップできるマシンもあるのです。そういうマシンに対して、アンダーを消す方向のセッティングをするというのは、逆にマシンのポテンシャルを下げる結果にもなりかねます。 セッティングで色々と悩む前に、とにかく走り込んでみましょう。 |