福田正博 引退試合
('03.06.15:埼玉スタジアム2002)


〜出場選手〜

浦和レッズ

1.山岸 範宏
3.ゼリッチ
4.土橋 正樹
5.室井 市衛
11.田中 達也
12.三上 卓哉
13.鈴木 啓太
14.平川 忠亮
15.千島 徹
18.西村 卓朗
20.堀之 内聖
23.都築 龍太
24.中川 直樹
25.小林 陽介
26.南 祐三
27.小林 宏之
28.加藤 順大



レッズ歴代選抜(#1)

1.土田 尚史
2.田口 貞則・
3.井原 正巳・
5.堀 孝史・
6.ブッフバルト
7.岡野 雅行
8.広瀬 治・
9.福田 正博
10.バイン
11.ペトロビッチ
12.西野 努
13.城定 信次
14.岩瀬 健
15.渡辺 隆正
16.田北 勇気
17.河合 竜二
18.池田 伸康
19.西部 洋平

2003年6月15日、今にも雨が落ちてきそうな埼玉スタジアム2002。
リーグ戦と変わらず、赤いユニーフォームに身を纏った人々で溢れかえっている。
が、リーグ戦とは違った雰囲気がその場にはあった。
「福田正博 引退試合:浦和レッズ vs レッズ歴代選抜」
“ミスターレッズ”としてチームを引っ張ってきた福田正博の引退試合が行われるのだ。

いつものようにグッズショップを覗きMDPを買う。
記念グッズは…迷った挙げ句「キーホルダー」のみ購入。
チケットを確認しながらスタジアム内へと向かう。
今回は、メインアッパー中央部での観戦。
席についてスタジアム内を見渡すとリーグ戦以上に真っ赤に染まっているが、
客層はいつもと違い家族連れが多く見受けられる。

選手ウォーミングアップが始まるとスタジアム内のそこかしこから歓声が上がる。
私もオーロラビジョンに映し出される懐かしい顔ぶれに心なしか胸を打たれた。
そういえば「クレイジーコールズ(C.C.)」も南側ゴール裏に集結していたという。

福田正博の人柄が伺えるメンバー達が、あの頃を懐かしむようにピッチ上で躍動していた。
DF陣の真ん中でドッシリと構えるギド。ワンタッチで相手DF陣の裏を衝くバイン。
誰にも負けない運動量でピッチを駆け回るペトロ。
バインのスルーパスに追いつきセンターリングを上げる岡野@野人。
正確なコーナーキックを蹴る広瀬。誰にも負けない大声でナインを鼓舞する土田。
どの顔もこの場でプレイできる事を喜んでいるように感じた。
スタンドに目を向ければ、彼らのプレイを堪能しているのか笑顔でピッチを見つめる多くの視線があった。
今では聞く事の少なくなった応援コールも懐かしく響いていた。

スタジアムに足を運んだサポーター:50170人の願いは福田正博のゴール・シーン。
レッズ歴代選抜メンバーも福田にボールを集めるがなかなかチャンスは訪れない。
結局、ゴールを上げることなく後半30分にピッチを後にしてしまう…。
その直後、岡野がシュートを決める。

スタジアムのほとんどの人はMDP欄外までは読んでいなかったのだろう。
大歓声と共に、赤ユニフォームに着替えた福田がピッチに現れた。
そう、残り15分は浦和レッズのメンバーとしてプレイするのだ。
そして、この試合最大の場面が訪れた。
「ゲット・ゴ〜〜ル! フクダ!!」の大合唱のなか迎えた後半35分、左サイドからのフリーキックを
頭で合わせてゴ〜〜〜ル!!!! 満員のスタンドは大歓声と共に総立ちとなった。

レッズ歴代選抜を中心に書いてきたが、現役メンバーも福田のプレイに華を添えていた。
時には必要以上にプレスを仕掛けていく場面もあり、間延びしがちな試合を引き締めていた。
現役メンバーの得点は、田中達也 2 千島徹 1、そして福田正博 1 の計4点。
結果:浦和レッズ 4ー1 レッズ歴代選抜 (前半 2ー0)

試合後のセレモニーは感動的なものとなった。
スタンド全体で作ったメッセージ
(#2)にセンターサークルに立った福田も潤んでいたように思えた。
現役を代表して室井市衛、レッズ歴代選抜を代表して小野伸二からそれぞれ花束贈呈。
そして福田から最後のメッセージ。

 「え〜、浦和レッズの選手として、11年間全力を尽くして闘ってきました。
  多くの成功を収める事は出来ませんでしたが、多くの仲間と多くのサポーターと
  喜び、悲しみ、同じ夢を追い続けて来た事を誇りに思います。
  心から感謝しています。
  いつの日かまた、一緒に闘える日を楽しみにしています。
  11年間、熱い声援、多くの勇気をくれてありがとう!」

メッセージを終えると、静かに屈みスパイクを脱ぎはじめる。
日本では「ユニフォームを脱ぐ」という言い方をするけれど、欧州では「スパイクを脱ぐ」と表現するそうだ。
脱いだスパイクが、空中へと上がっていく様子を見上げる福田は寂しそうな表情に見て取れた。

「ゲット・ゴ〜〜ル! フクダ!!」の大合唱の中を場内一周していく。
『本当に最後なんだなぁ・・・』と思ったら、自然と涙がこぼれ落ちてきた。
『ありがとう、福田!』ありふれた言葉だけれど、何度も何度も呟いていたように思う。

サポーターにこれ程まで愛された選手はいないと思う。
Jリーグが始まって10年、その集大成が、この引退試合だったような気がした。



#1:小野伸二も用具係として参加。
   本人は少しの時間でも良いからピッチに立ちたかったようですが、日本代表を辞退している以上
   プレイできるはずもなく、少しでも役に立ちたいという気持ちから用具係を担当した模様。
#2:メインスタンド・バックスタンド:赤シート
   南側ゴール裏:赤をバックに白文字で「GET GOAL FUKUDA!
   北側ゴール裏:赤いハートマークに白地で9


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