Sphaerodactylus elegans

英名:Macleay’s ashy gecko
1999.10.31より飼育 購入先:AHF Reptiles

世界初?!間違いなく本邦初公開!!(2001.9.28撮影)
Sphaerodactylus elegansの産卵直後画像。
ヒルヤモリ同様、後ろ足で卵を保持しています。
この撮影時、メスは逃げたり動いたりせず、卵を保持しつづけました。


和名では、チビヤモリと呼ばれるSphaerodactylus。種類数も多く、最小のヤモリもこの属に含まれるとか。
小さいものが好きな私としては、とりあえず、keepしてみるかな、といった気持ちで購入したんですが、飼ってみたらこれがいい!
そのヤモリらしからぬ顔、正面を見つめる目(絶対立体視可能)、物怖じしない性格。
そのサイズとWCという由来にかかわらず、すぐにピンセットから餌をとるようにしつけられました。
それにしても、妙に心をくすぐるなぁ、と思っていたある日、海水魚の本を見ていたら、その理由がわかりました。
ヨウジウオにそっくり。
ヨウジウオが好き、という潜在意識に働きかけられていたのでした。

ケアシート

飼育のセッティング
小型のケージを用いて、腐葉土などを敷き、枯葉を数枚入れます。この枯葉がシェルターとなります。
水入れを設置するのは難しいので、霧吹きで与えます。やや湿り気味くらいがいい感じです。
日本の森林の林床をイメージしておけば、諸セッティングはOKです。


小型のコオロギですが、慣れてくると餌をねだって全面に出てきますので、そうなればコオロギのモモなども与える事が出来ます。
チビのクセに大食漢です。
追記:非常に良く慣れるので、ピンセットから与えればどんな餌でも与えられるようになります。実際、刻みピンクを与えてみたら食べました。
こんな小さなヤモリでもピンクマウスで育てられます(笑 (2003.10.26)

温度
夏場は外気温で、冬場は、若干低めにして20℃くらいにしただけですが、十分繁殖を誘発できました。
もっとも、生息地から考えれば、温度変化の必要性はないかもしれません。

繁殖
1卵/クラッチ、体に比べて大きな卵を産みます。
1シーズンで何クラッチまで産むかのデータはまだ有りませんが、今年は10クラッチでした。産卵間隔は20〜30日。
産卵前になると卵が透けて見える(背中からでも:画像参照)ので、そうなったらこまめにチェックします。
産卵後、一定時間メスは卵を後脚で保持します。これはヒルヤモリなどにも見られる生態です。この間は、写真撮影をしてもメスは逃げたり動いたりしませんでした。
産卵後は卵を取り出し、孵卵します。セッティングは画像を参照してください。
卵の殻はソメワケササクレヤモリなどに比べれば厚いのですが、そうは言っても、取り扱いに注意が必要です。湿度は渇き気味くらいで十分孵化します。
孵卵温度と期間は26℃前後で3ヶ月、29℃くらいで2ヶ月というところです。

孵化・育成
孵化した子は、また親とまったく異なる色彩をしています。画像参照
飼育環境は親と同じでいいのですが、親に比べて多湿に弱いようですので、脱走を警戒しすぎて密閉してしまわないよう注意が必要です。
サイズのわりに大きめの餌を食べられますが、始めはイエコオロギの孵化したてくらいが無難です。
緊張するとすぐに黒ずみますが、これは正常な反応ですので、気にする必要はありません。
追記:初期を除いて、育成は難しくありません。問題は、乾燥と湿度のバランスだけです。乾燥が進むと容易に脱皮不全となり、早晩、体調を崩して死に至ります。
毎日のスプレーによる湿った部分と常に乾燥している部分をを設けるようなセッティングを心がけてください。(2003.10.26)

飼育記録

最初の個体はメスだったのですが、1/24に産卵しました。1クラッチは1卵。
オスがいないので、未受精卵かと思っていたのですが、その後の経過を見ると受精卵のようです。
貯精可能なんですね。
文献で見るとハッチリングはメチャきれいなので、無事孵化する事を願っています。
正面から。尖った口、まっすぐ前を見つめる目。
撮影日 2000.1.23
抱卵中の腹部。卵が透けて見えるのがわかりますか?体に比べて大きな卵です。この翌日に産卵。
産卵後約1ヶ月。撮影日2000.2.20 孵卵状況。乾燥の状態に応じて、シリンジで注水。

2000.4.12
無事孵化しました!
うーん、キレイ!!全長約2cm。思っていたより大きなハッチリングでした。
これならば、イエコオロギのハッチリングで何とかなりそうですので、うまく育成したいですねぇ。
這えば立て、立てば歩めの親心、ってやつです(笑)
2000.4.12撮影 孵化直後の写真です。
2000.4.14撮影 デジタル画像は重くてあまり綺麗でないので、リバーサルで撮りなおしました。

2000.5.14
本日、ベビーを落としてしまいました。
餌食いなどは良好でしたので、突然に、という印象がありましたが、良く調べてみると、底床の状態が劣化していたようです。
具体的には、多湿状態であり、小さなダニの発生が始まっていたようです。
ダニが死因とは思えませんが、このような状態では、蒸れていたかもしれません。
次のチャンスが予想できないので、かなり残念です。
飼育自体は難しくなく、要は注意不足でした。

2001.1.17
現在、2頭が同居中です。
元からいる1頭はメスですから、もう1頭がオスだと非常に嬉しいのですが。

2001.2.23
産卵しました!
後から導入した個体がうまい具合にオスで、ついにCB化の第一歩です。

若干卵にへこみがあり、無事孵化するか気になるところですが…。

2001.3.19、4.10
それぞれ1卵ずつの産卵が有りました。
26〜29℃で孵卵中。

2001.5.13
孵化です!
卵の凹みが気になっていましたが、無事孵化しました。
しかし、尻尾が曲がっており、色がクロっぽい。
この傾向は、その後も変わることなく、今のところ、昨年の子のような鮮やかな色彩になることはありません。
孵化所要日数:79日

2001.5.27
2卵目が孵化。
孵化所要日数:69日
今度の子は美しいです。と言うことは最初の子はメラニスティックの傾向があるのか?
さて、今回の子を観察していて確信したのですが、やはり過湿状態を嫌うようです。(と言っても乾燥しすぎてもダメなんですが)
その根拠は、ミスティング後にケージ内が曇るような時、蓋付近の空気が流通する部分に退避している姿を見るからです。
基本的に、慣れてくるまでは全身をさらす事はないので、蓋付近の良く見える場所に定位するということは、余程のことなのでしょう。
昨年の失敗は、やはり過湿にあったと言うことで間違いなさそうです。

孵化後1ヵ月半。だいぶ色彩に変化が出ています。

2001.6.16
3卵目孵化。
孵化所要日数:67日

2001.6.29
4卵目産卵

2001.10.17現在
5頭が孵化し、4卵を孵卵中です。

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