AIBO頭部分解 1
ようやっと頭部の分解をしました。しかし、画像にして見てみると、外殻を取るだけとちがって、かなり痛々しい状況になってしまいます。配線の走り方も神経系とか想像させるものありますし、AIBOを可愛がられている方にはショッキングかも知れないです。機械だと割り切ればいいのですが、そういうのもなんだかなぁと思います。我々が製作した犬ロボにしても一般のお客さんには内部を見せないようにしていたくらいですから、ソニーとしても、あまりうれしくない画像と思われます。ごめんなさい。しかし、BBSの皆さんに代わって分解報告する以上、徹底してやりました。

とはいえ、久々に分解のしがいのある製品でした。初代マビカ*注1を分解して以来でしょうか。非常に手の込んだ造りをしています。これを製品化した力には脱帽です。特に、頭部ではケーブルの取り回しの多さが複雑さを増しています。マイクロコネクタを傷つけずに抜かないといけませんし、動きのある製品なので、ケーブルの取り回しやたるみ方も記録しておいて元どおりにする必要があります。1時間半かけて記録をとりつつゆっくり取り組みました。組み立てるだけなら20〜30分でした。

注1>初代マビカ: 1989年頃?ソニーから出ていた2インチFDDに記憶する”スチルビデオカメラ”(デジカメという名称は無かった)2インチFDD1枚で50枚の画像が撮影できた。後に、音声記録が可能なバージョンが出た。バッテリーパックが持たないのが弱点で、私は外部端子を付けてラジコンのバッテリーで使えるように改造して使っていた。現在からすると画像は実用的とは言い難いが、メモ用途などでは重宝した。


まずは、外殻を外します。キャノピー(透けて目が見えるカバー)と頭部のタッチセンサのカバーを外します。さらに8本のビスを外すと頬の部分が左右に抜けます。

図1 カバーだけ取った。わーお、ケーブルが沢山あります。

図2:前方から、鼻先のCCDカメラカバーはそのまま外せます。また、目の部分のカバーは、4個所ネジがあるように見えますが、2つだけです。

図3:ちょっと飛びますが、目のカバーを外し、絶縁ゴムシートを剥がしたところ。右が前になります。やはりPIC発見。右寄りのNECのICは未調査。目は赤が2×2の4個、緑が6×2の12個の面付け実装タイプのLEDで表現。(右端の白コネクタの上下に対称に配置されている) 左端の水色の部品がタッチセンサです、頭をなでられたことを検出します。これは、「イナバゴム株式会社」の「感圧導電性エラストマーセンサ」のとよばれる特殊スイッチです。(型番はSP-12)押した力の強弱によって連続的に抵抗が変化するセンサです。内部はバンプ状の感圧導電性ゴム(圧力を加えることにより導電性が増すゴム、炭素粉末を配合したシリコンゴムなど)が、電極上にホールドされており、圧力により、接触面積も変化するようになっています。基板を外すには、各種あるマイクロコネクタを全て外す必要があります。分解・組み立て経験の無い人は絶対に手を出さないこと。

図4:基板の裏 やっぱり、OPEN-RのチップとPICを発見。また、NECのモータドライバチップが3つある。右下の透明樹脂パイプ内にはダイオードと見られる部品が入っている。いわゆる「手直し」である。頭の頂上にある距離計の配線も、別の基板に手作業で半田付けされている。これは、「あ〜あ」と思う類でしょうが、半試作品のこのような製品にしては、全く完成された部類であると断言できます。

図5:基板の下の樹脂パーツ。このパーツが、頚部と下顎部をつなぐ役目もしているので、ネジを外す時は慎重に。あごの周囲がそっくり外れますが、ケーブルが残った状態になるのです。しかし、これだけ見てしまうと、ただの樹脂部品。(ネジの対応を変えないため、抜いた穴にネジをさしたままにしています)

図6: 図5の部品を外した後の状態。口のユニットは外れてしまっているが、あご開いて支えてます。(撮影用ね)ケーブルが多いため、製造にはとっても人件費がかかる状態です。こういう本数がおおいケーブルは、フィルムケーブル(フィルム基板:フィルムをベースとした基板、これを接続用に使う。フィルム基板上に部品をマウントすれば、当然回路基板としても使用でき、スペースがない場合に回路を押し込むような場合多用する。)として、コストダウンするのが通例と思われます。しかし、AIBOではポテンショメータ(半固定抵抗)とモータを接続する場面でフィルムを使う他はきちんとコネクタ+ケーブルで仕上げています。フィルムでも出来ないことはないでしょうけど、可動範囲が制約を受けたりするのを嫌ったのではないかと思います。

VAIO505のときも、マザーボードと液晶ディスプレイの接続に同じようにコネクタ+ケーブルが使われているのを見て、感心しました。あのヒンジ部分を通すためにフィルムを使えなかったということもあるかもしれません。しかし、コストダウンするためにデザインや利便性(505の場合はバッテリ寸法か?)を犠牲にすることをせず、あくまでも良いものを作ろうとする姿勢は何よりも高く評価したいと思います。

そして驚くべきことは、そのような設計を採用していながらのコストダウンです。配線を見た時、まさか505シリーズ新品が20万円を切ることになるとは予想していませんでした。

実は、AIBOを製造しているということで、長野オフで訪問したソニーデジタルプロダクツこそ、VAIO生産を担当している会社であり、このコストダウンを実現した工場でもあるのです。(私はそっちのほうに興味がありました、人海戦術で組むのかと思いましたが、思いのほか駐車場も狭く、自動化が進んだ生産性の高い工場のようです。スカラ型ロボットならべて一方向組み立て〜とかやってるんでしょうねぇ。極秘なんでしょうが、見たい見たい見たい見たい見たいっ・・・)

というわけで、AIBOのコストダウンについてもおおいに期待したいと思います。安くなってもフィーチャダウンじゃだめよ。

図7:あごを外す。頭をローリング運動させる機構。白い部分が頚部から前方に伸びるマウントに固定されており、動く側に付いているモータ+減速機で上の台を図のように運動できる。後方に見える台の軸にはポテンショメータが固定されている。(前後の台は既に外した図5のパーツでつながり、写真で連動しているように見えるのは、やらせ(笑))

図8

図9: なんとも痛々しい姿!!図7と同じ状態を側方から。

図10:ローリング動作駆動部分を抜き取る。円筒の内部はインサート成型で別の樹脂円筒が入っていた。(色違い部分)精度が良いか、すべりが良いか、そんなところ?


分解調査第一弾は完了しており、組み立て直して動作チェックを終えて保管してあります。「なでても反応しない」という症状は改善していませんが、あとは元どおり動作しています。執筆の都合で途中でUPしたけど心配しないでください。

一応ここまでUPしました:戻る