芭蕉と武蔵
共通点
同じ時代に生き、旅に生き、道を極め、作品を残した。
その作品に共通した二人の人物像を見ることができる。
道を極める
西行の和歌における、宗祇の連歌における、雪舟の繪における、
利休の茶における、其貫道する物は一つなり。 (笈の小文)
兵法の理をもってすれば、諸芸諸能もみな一道にして通ぜざるなし。 (五輪書)
注釈 各々の道は、命を賭けて開拓することに共通点がある。
覚悟
野ざらしを心に風のしむ身かな (野ざらし紀行)
道におひては死をいとはず思ふ (独行道)
注釈 生きて道をゆくためには、死を覚悟して物事を始める。
一筋
此道や行人なしに秋の暮 (笈日記)
常に兵法の道をはなれず (独行道)
注釈、常時個々に道を行くことである。
新しみ
・・・終に人のせぬ所を見付たる新敷句也。 (初懐紙評注)
わが気を振捨て、物毎をあたらしくはじむる心に思ひて、 (五輪書)
注釈 単に新しい古いの問題でわない。古くても新発見がある。
常に研究、修行、創意工夫が必要である。
黄奇蘇新のたぐいにあらずば云事なかれ。 (笈の小文)
敵山と思はゞ海としかけ、海と思はゞ山としかくる心。 (五輪書)
注釈 人のやらないことをやる。
自立性
・・・僧にもあらず、俗にもあらず、 (鹿島紀行)
佛神は尊し佛神をたのまず (独行道)
注釈 自分自身の力量がものを云う。
反射性
学事はつねに有。席に臨で文台と我と間に髪といれず。 (三冊子)
石火のあたりは、敵の太刀と我太刀と付合ほどにて、
我太刀をあげずして、いかにもつよく打也。 (五輪書)
注釈 常時訓練していれば、事に及んで即座に対応できる。
無心
石山の石より白し秋の風 (奥の細道)
空を道とし、道を空と見る所也。 (五輪書)
注釈 心を空にすれば、物事の本質を観ることができる。
無心有心
静にみれば物皆自得す (蓑蟲説跋)
目に見えぬをさとってしる事 (武蔵書簡)
注釈 修行を積み重ねることにより、心を空にすれば、
物事の全てを理解することがれきる。
生きる
かれ朶に烏のとまりけり秋の暮 (東日記)
いつくはしぬる手也。いつかざるはいきる手也 (五輪書)
注釈 飛び立つ寸前の烏である。いつく・・・固定化
無一物
予が風雅は夏炉冬扇のごとし。 (許六別離の詞)
老身に財宝所持もちゆる心なし (五輪書)
注釈 道を行くには、その日その日の糧があればよい。
非道
点取に昼夜を尽し、勝負をあらそひ、
道を見ずして、走り廻るもの有り。 (芭蕉書簡)
とりわき此兵法の道に、色をかざり、花をさかせて、術とてらひ、(五輪書)
注釈 実戦では役に立たない。命懸けの道以外は真の道ではない。商用である。
相違点
異性
数ならぬ身となおもひそ玉祭 (有磯海)
れんぼの道思ひよる心なし (独行道)
注 芭蕉は寿貞の魂に涙ながらに優しくこの句を詠んでいる。
武蔵は恋慕の情を一言で断ち切っている。
作品に見る人物像は、芭蕉は家族があり、
武蔵は一生独身でとうしたと推定できる。 トップページヘ