スライファーの発見

話は1910年代のはじめまで遡ります。アメリカの天文学者スライファーは
私たちの天の川銀河の近くの、15個の渦巻き銀河を観測して、それぞれの
銀河が放出している、光の性質を調べました。
 物質を構成している原子には、特定の波長の光を放出したり、逆に吸収し
たりすると言うことが知られています。 ですから、銀河から届いた光の波長
を調べることによって、その原子に含まれている原子の種類や、その量を推測
する事ができるのです。このようにして、銀河から届く光の分析しているうちに、
スライファーは、ある不思議なことに気がついたのです。 それは、なんと
それらの銀河は、私たちの天の川銀河から、時速数百万キロメートルという、
ものすごい速度で遠ざかっていたのです。
スライファーはここで、大きな疑問を持ちました。なぜ、銀河はそれほどの高速で
動くのだろうか? なぜ、それらの銀河は全て天の川銀河から遠ざかる方向に動
いているのだろうか?銀河は宇宙空間に何の規則性もなく、点在しているのだか
ら、いろいろな方向に動く方が自然であるはずなのに。 スライファーはこの理由
について、考え続けましたが、とうとうその答えを見つけることはできませんでした。
のちにこの謎を解き明かしたのが、アメリカの天文学者ハッブルの発見した「宇宙
膨張」でした。