地球を中心と考えた宇宙
---地球は止まっている---

 遠くギリシア時代の宇宙論は、哲学者として有名な、ソクラテスの弟子のアリストテレス
によって体系づけられました。
 彼は、宇宙広がりは有限であって、地球を中心とする九つの透明な球面によって、できて
いるのだと考えました。太陽、月そして火星や水星などの惑星は、それぞれの球面に、
そして、一番外側の球面には、多くの星々がくっついて、24時間で1回転しているのだと、
考えました。
 このような地球が中心にあって、太陽を含めたそのほかの天体が、地球のまわりを回って
いるという考え方を、天動説と言います。その後惑星の観測がより詳しく進むと、惑星の
不規則な動きが、この説では説明できなくなりました。
 そこで紀元前2世紀頃になると、ヒッパルコスは、木星などの惑星の運動に対しては、
地球を中心とした円運動と、その円周上に中心を持つ、小さな円運動を組み合わせて、
複雑な惑星の動きを説明しました。この、小さな円運動のことは、周転円と読んでいます。
惑星は周転円を廻りながら、さらに地球のまわりを回っていると、言うのです。
 さらに詳しく観測がが進んで、説明が付かなくなると、周転円がひとつでは足りなくなり、
周転円上にさらに周転円を重ねて説明するようになりました。このためプトレマイオス(紀元前
2世紀)の頃には、天動説は複雑怪奇な考え方になってしまいました。
 しかしその後、天動説は、キリスト教のお墨付きをもらい、16世紀までの長い間、西欧
社会の、基本的な宇宙観となりました。