金星の伝説 

金星は賢王の化身(メキシコの伝説)
古代のメキシコ人たちにとって、金星は特別な意味を持つ惑星でした。それは、
英雄ケツアルコアトル王の象徴とされていたからです。ケツアルコアトル王は、
豊な統一国家を建設して、人々からは神のように崇められていました。しかし、
年老いてから敵国のアッズテックとの戦いに敗れました。
 無念にも国を捨てなくてはならなくなったときに、誇り高き王は自ら死を選んだ
のです。
    「私の役目は、終わったようだ。まもなくこの地上からは姿うを姿を消すが、
    悲しむことは決してない。この後は夜空に輝く星となって、みなの幸せを、
    天界から見守るのだから・・・・」
ケツアルコアトル王は小高い丘に木を積み重ねさせて、火を放ちました。そして
集まった臣下や民衆の制止を振り切って、猛火の中へ猛然と入っていきました。
やがて王の体は灰になりましたが、心臓だけはいつまでも赤々と燃え続けました。
やがて心臓は燃え続けながら天空へと舞い上がり、夜空に届くと美しい星になり
ました。こうしてできたのが金星です。
 王には金色の立派な髪があったので、金星の輝きは王の髪だと信じられていま
した。