水星の伝説

●水星の知識
 太陽系のもっとも内側をまわっている惑星です。太陽にあまりにも近いので、観測が難しく
有名なコペルニクスでさえ生涯水星を見ることができなかったと、伝えられています。
その表面は昼は350度、夜は-150度と、昼と夜の温度差が激しい、過酷な環境です。
内部の半径の8割は鉄とニッケルのコアで占められていると、考えられています。質量は
地球の18分の1。公転周期は88日。自転周期は59日。直径は4878kmで、地球からの
平均距離は9170万kmです。

●狩人の守護神ヘルメス
 水星は英語名「マーキュリー」で知られていますが、これはギリシア神話のヘルメスの
ことです。ヘルメスは大神ゼウスの末っ子で、双肩で天空を支えている巨神アトラスの
長女マイアが母です。ヘルメスは早熟で狡知に長けていたことでも、よく知られています。
何しろ生まれたその日のうちに外に飛び出して、兄アポロンの牛を、何頭も盗んだと言う
ことです。しかも牛は尻尾をひっぱて後ろ向きに歩かせて、自分の足には草で編んだ草履
をつけ、足跡を混乱させて、後を追ってこられないようにしたと言うことです。 また、途中で
老人に見つかると、これを巧みに買収して、牛を探しにやってきたアポロンの前では、
何食わぬ顔でゆり籠に横になり、寝ていたというのです。
 しかし、何もかもお見通しのゼウスは、牛をアポロンに帰すように命令しました。牛の隠し
場所にアポロンを案内する途中のことです。ヘルメスは急に竪琴を奏で始めました。竪琴は
彼が亀の甲羅に牛の腸を張って考案したものでした。その音色にすっかり魅せられてしまっ
たアポロンは、牛と竪琴を交換しようと持ちかけました。彼は、ヘルメスの機転の利いた頭脳と
音楽の才能を認めたのです。 これを機に二人は親しくなり、アポロンはこの竪琴を、生涯
手放すことはありませんでした。

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