しし座の神話

ネメアの森の人食いライオン
ネメアの森にはいつの頃からか、人喰いラインが住みつき、村人たちから
恐れられていました。そして、勇敢に退治に向かった若者も誰ひとり戻って
きませんでした。それもそのはず、このライオンは怪物テュフォンの子で、
大きな上にその皮膚は鉄よりも硬い怪物だったのです。
 ある時この話がティリュンスのエウリステウス王の耳に入りました。ちょうど
この時王のところには、妻子殺したと言う大罪を犯したヘラクレスが身を寄
せていました。王は「罪の償いにちょうど良い」と考えてヘラクレスにこの怪
物の退治を命じたのです。
 こうしてヘラクレスはネメアに向かい、ひとり森の中へと入って行きました。
何日も森の中をさまよった末に、ヘラクレスはやっと人喰いライオンに出会
いました。ライオンは人を食べて来たばかりなのか、その口からは、血が滴り
落ちていました。ヘラクレスはライオンに矢を射かけますが、みんなはじき
返されてしまいました。それどころかライオンは、何事もないようにあくびをして
いました。 そして今度は逆にライオンがヘラクレスに襲いかかってきました。
とっさに身をかわしライオンを素手で押さえつけたヘラクレスは、三日三晩
ライオンの首を締め続けて、とうとう退治してしまいました。
 この様子を見ていた女神ヘーラは、ヘラクレス相手によく戦ったと、この
人喰いライオンを星座にしました。ヘーラ女神はヘラクレスを憎んでいたから
です。(ヘラクレス座の神話を参照)こうして、しし座が誕生しました。

前項