オリオン座の神話

★月の女神アルテミスに,誤って殺されたオリオン
月の女神アルテミスは,オリオンが大好きでした。。ところがアルテミスと
双子の兄弟アポロンは,乱暴者のオリオンが大嫌いでした。 ふたりは,
いつもそのことで喧嘩をしていました。  ある日海で泳いでいるオリオンを
アポロンが見つけました。 アポロンは弓の上手なアルテミスに「沖を泳いで
いる獣を,弓で射ってくれないかな」と持ちかけました。 まさかそれがオリ
オンだとは知らないアルテミスは,矢を命中させてしまったのです。
 その後,自分がオリオンを殺してしまった事に気づいたアルテミスは,
悲しみのあまりに,夜を照らす事すら忘れてしまいました。 そこでゼウスは
アルテミスが夜を照らすときに通る天の道の近くに,オリオンを上げて,
星にしたのだと言うことです。

★狩人オリオン
オリオンは海神ポセイドンとミノス王の娘エウリュアレーの間に生まれた英雄でした。
オリオンは人並みはずれた体格と、たぐいまれなる美しさを持ち、優れた狩人として、
その名をとどろかせていました。ある時オリオンは、キオス島の王オイノピオンの娘、
メロペを見そめてオイノピオンに、メロペとの結婚を申し込みました。
ところがオイノピオンはオリオンを快く思っていなかったので、「この島を荒らしている
大獅子を退治することが出来たら、娘との結婚を認めよう」と言いました。
 しかし、オリオンにとってはその程度のことは、造作もありませんでした。オリオンは
忽ちのうちに獅子を退治して、獲物をメロペに捧げて結婚を迫りました。困り果てた
オイノピオンは一計を案じました。オリオンを酒の席に招いて酔いつぶし、両目をつぶ
して海岸に放り出してしまったのです。

★オリオンの苦難
さて、目がつぶれてしまったオリオンは、「東の国に行き、朝日の光を目に受ければ、
再び目が見えるようになる」という、神託を受けました。そこでオリオンは耳を澄まし
レームノス島にある鍛冶の神ヘパイストスの鍛冶場の音を聞き分け、海を渡って鍛冶
場へとやってきました。鍛冶場にはヘパイストスの工夫、少年ケダリオンが居ました。
オリオンはケダリオンを肩にのせると、彼の誘導で東の国へと向かいました。
やがて東の国に到着したオリオンは、日の神ヘリオスと出会い、その光を目に受けて
ようやくオリオンはその視力を回復しました。
 するとオリオンはオイノピオンに復讐するために、キオス島に向かったのですが、その
ことを知ったオイノピオンはヘパイストスが作り上げた、地下室へと隠れてしまいました。
王に忠実であった島民たちも、決して彼の隠れ場所を口外しなかったので、オリオンは
復讐を果たすことは出来ませんでした。
オリオン座
★親孝行星(伝説)
オリオン座の三ツ星の一文字は、民族によっては剣、矢、杖などと見られていて、
神話や伝説を伴っています。 たとえばミャンマーでは、バンギ(天秤棒)といって、
次のような伝説が伝わっています。
 昔インドにダシェルタという王がいて、宮殿の前に池を掘らせました。ところがまだ、
池開きの式をやらないうちに、ひとりの若者がやって来て、水をくみはじめました。
その様子を窓から見た王は、たいそう怒って、矢で射抜き殺してしまいました。
 そして、その若者について調べてみると、サンワという名の、都でも有名な孝行息子
でした。 両親は盲で、サンワはいつもかごに乗せて担いで歩き、この日も両親が、
のどが渇いたと水をせがんだので、ため池の水をくんでいたものと解りました。王は
ひどく後悔して、自ら水をサンワの両親の所に運び、深くわびました。
 この伝説から、三ツ星を、サンワの天秤棒と見て、バンギと呼ぶようになったと言う
ことです。 後に日本にもこの話が伝わって、「オヤコーコーボシ」と呼んでいる地方が
あります。

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