からす座の神話

うそつきカラス(神話)
このカラスは、音楽の神アポローンのつかいの鳥で、銀色の輝く美しい羽を持ち
人間の言葉も自由に話すことのできるカラスでしたが、おしゃべりでそのうえ
嘘つきでした。
 アポローンはある国の王女コローニスを妻にして、パスクレピオスという子供
も、生まれましたが、パルナッソスの山へ帰らなければならなくなったので、
毎朝カラスを使って妻や子供の様子を聞いていました。
 ある日のこと、いつものように仕えから帰ってきたカラスは、コローニスが
夫の留守の間に、別の男に心を移したと伝えました。 これを聞いたアポロー
ンは、急いで山を下り、我が家の前に見えた人形をその男だと思い込み、矢で
射抜きました。
 ところが近くに寄ってみると、それは貞節なわが妻でした。
アポローンはひどく嘆いて、うそをついたカラスから、人間の言葉をうばい、
自慢の羽も見にくい黒に変えて、見せしめのために星空にさらしました。

前項