いて座の神話・伝説

馬人ケイローン(神話)
馬人はギリシャ神話ではケンタウロス族と呼ばれています。山の中の洞穴に
住んで、ひどく乱暴なものもありましたが、その多くは善良で人間と親しくまじ
わっていました。その中でもいて座となっているケイローンは、音楽の神アポ
ローンと月の神アルテミスから音楽・医術・予言・狩りなどを授けられて、ぺー
リオン山の洞穴の中に住んで、ギリシャの若者たちを、教育していたと言われ
ます。  たとえば力士ヘルクレースには武術を、神医になったアスクレピウス
には医術を、カストールには馬術を教えたと言うことです。 中でも有名なのは
アルゴー船遠征隊を率いて、金毛の羊皮をp取り返しにいった、ヤーソンを育
てたという話です。
 ケイローンはヘルクレースが馬人と戦った時に、誤ってヒドラ(水蛇)の毒を塗
った矢で、刺されました。大神ゼウスがそれを惜しんで天にあげ、いて座にな
ったのだと、伝えられています。

南斗と北斗の仙人(伝説)
中国では、南斗は寿命をつかさどり、北斗は死をつかさどるのだと信じられて
いました。 魏(ぎ)の国に管輅(かんろ)という、天文や人相を見る名人がいて
ある日のこと、麦畑で一生懸命に働いている子供の顔を見て、「まことに不憫
だが、二十歳までは生きられまい」と、つぶやいて通り過ぎていきました。びっく
りした農夫の父が、後を追いかけて何とか子供の命が延びる方法を教えてくだ
さいとすがりついて頼みました。すると管輅は、「上等のさけ一たると、鹿の干し
肉をもって、麦畑の南の端にある桑の大木の所に行ってみなさい。 そこで
二人の仙人が碁を打っているから、何も言わずにただお辞儀をして、それを
すすめるのだよ」と、教えてくれました。
農夫が、教えられた通りに行ってみると、二人の仙人が碁を打っていたので、
一生懸命に酒と肉をすすめました。  一局が打ち終わり、仙人が初めて農夫
に気がつくと、北側にいた仙人は、目を怒らせて叱りつけました。しかし、南側
の仙人はそれをなだめると、寿命帳を調べて、農夫の子の名前を見つけると、
「十九歳」とあったものを「九十歳」に、ひっくり返してくれたのです。
農夫は喜んで帰り、このことを管輅に報告すると、「北側にいて仙人が北斗で、
死をつかさどり、南側にいたのが南斗で、生をつかさどるのじゃ」と教えてくれ
ました。そして、静かに立ち去ったと言うことです。