おとめ座の神話

悲しみの女神デーメーテル(ギリシャ神話)
農業の神デーメーテルと大神ゼウスの間には、一人娘ペルセフォネーがいました。
ある日のこと、ベルセフォネーが仲良しの少女達と花を摘んでいると、少し離れた
所に1本の大きくてひときわ美しい花が、咲いているのが見えました。まわりを
見まわしてみましたが、友達は花を摘むのに夢中でその美しい花には、誰も気付い
ていないようでした。ベルセフォネーがそっとその花に近づいてみると、とても
良い香りがしていました。
 ベルセフォネーがその花を摘もうとした瞬間です。どうしたことか大地が口を開
け、中から中から戦車が出てきたかと思うと、戦車に乗った青白い男がベルセフォ
ネーをさらい、再び大地の中に姿を消してしまいました。
 娘がさらわれたことを知らされた、農業の女神は世界中を探して回りました。
しかし行方を知る者は、誰もいませんでした。 しかしある時、物知りのヘカテが
「太陽の神ならば、地上の出来事は、何でも知っているはずだよ」と教えてくれ
ました。 そこで太陽の神ヘリオスに尋ねてみると、「ペルセフォネーは、冥界の
王ハデスが自分の妻にするために連れ去った」と言うことを気の毒そうに、教えて
くれました。 これを知ったデーメーテルの悲しみは一気に怒りへと変わりました。
ハデスにペルセフォネーをさらって行く事を許したのは、ペルセフォネーの父であり
ハデスの兄であるゼウスに、間違え無いと考えたからです。
「私から娘を奪い取ることに荷担したゼウスと、一緒にいることは出来ない」
デーメーテルは神々の世界を去り地上に降りると、神殿にこもって、誰とも会うこと
も、口をきくことすら無くなりました。  このように農業の女神が心を閉ざしたの
で、世界中の草木は枯れ、木々は実を実らせることが無くなってしまいました。
「このままではあらゆる者が、死に絶えてしまう」
恐れたゼウスは、弟にペルセフォネーを母の元に返すように、説得をはじめました。
ハデスは仕方なく納得した者の、策略を巡らせて、地上に戻るペルセフォネーに、
ざくろの実を与えました。冥界の食物を口にした者は、冥界からは出られないのが
掟だからです。 そんなことには気付かなかったペルセフォネーは、ざくろの実を
4粒食べてしまいました。
 無事に帰ってきた娘を見て、農業の女神の心は解け新しい緑の芽が、大地に顔を
出し始めました。しかし、すぐに女神の心は、再び凍りつきました。ベルセフォネ
ーが死者の国の食べ物を、口にしてしまった事実を知ったからです。
 これを知ったゼウスはハデスとデーメーテルの仲介に入り、ペルセフォネーは、
食べたざくろの数、四ヶ月間を冥界で暮らすことになりました。
こうして、娘と離れて暮らす四ヶ月の間、農業の女神は悲しみに沈み植物が枯れて
冬が訪れるようになりました。 おとめ座は、この農業の女神デーメーテルの姿だと
言われています。

ナイルの女神(エジプト神話)
エジプトでは乙女座の女神は、大神オシリスの后イシスと見られていました。オシリ
スは、全国を巡り歩いて、農業を教えていました。
オシリスの弟ティフォンは闇の悪神で、兄が帰ってくると72人の部下とオシリスを
迎えて、盛りの席を設けました。そしてあらかじめオシリスの合わせて、作らせた
箱を運び込ませて、「この中に入って、身長が合った人に、これを進上する。」と
言って、オシリスを箱に入らせると、すぐに箱の蓋を釘とめして松脂で封じて、ナ
イル川に投げ込んでしまいました
 后イシスは、夫の死を知らされると嘆き悲しんで、箱のゆくへを探し回りました。
そして、ようやくシリアの森の中で箱を発見して、エジプトに持ち帰りました。
すると悪神ティフォンは、またその箱を見つけだして、オシリスの亡骸を14に切っ
て14の土地にばらまきました。
 イシスはそれをも、忍耐強く探し歩いて、見つけだす度にそこに墓を建ててゆきま
した。後に、子のホースがティフォンたちと戦って、父の仇を報いたと伝えられてい
ます。