おとめ座 

Virginis【Vir】
南中高度:53度
肉眼星数:99個
設定者 :プトレマイオス
大きさの順位:2位
春の大曲線を描くスピカのあたりに大きく横たわるのが、背中に翼を持つ女神を
表したおとめ座です。しかし、白く輝く一等星のスピカ以外には、これと言って
目立つ星が無いので、おとめ座の全体像を見つけだすのは根気がいるかもしれ
ません。 少しばかり控えめなおとめ座ですが、古代バビロニアではここに麦の
穂を描き、ギリシア時代には麦の穂を持つ女神の姿を描いていました。
黄道12星座の6番目でもあります。

娘を奪われて悲しみにくれる、豊作の女神
 豊作の女神デメテルのひとり娘ペルセフォねは、死の国の国王プルトーンに
 さらわれてしまいました。これを知った母デメテルは怒りと悲しみのために、天
上から姿を消してしまいます。 このため地上は暗く寒い日が続き、農作物が全く
出来なくなってしまいました。 これを重く見たゼウスはベルセフォネを母親に返す
ように、プルトーンに命じたのです。
  ところがベルセフォネは帰途、プルトーンからもらった12個のザクロの実のうち
4個を食べてしまいました。そのために4ヶ月はプルトーンのもとで、暮らさなくては、
ならなくなったのです。 現在もその4ヶ月の間は冬となり農作物が取れなくなるの
だと云うことです

南中位置での見つけ方(20時南中:6月7日)
1.まず、真南に昇ったスピカを見つけましょう。スピカが南中する時刻を調べて
  真南を向い
たら、げんこつ4個半上を探すと、青白く輝く明るい星が、すぐに
  見つかるはずです


2.次は胸の部分を探してみましょう。スピカから西北西(右やや上)へげんこつ
  一つ半位の
所に、3等星のγ星が見つかります。そしてそのγ星を中心に
  げんこつ一つ半西(右)に
4等星のβ星が、またγ星から北(上)げんこつ一つ
  半の所に、3等星が見つかります。
この三つの星とスピカを繋ぐと横に倒れた
  Yの字ができあがります


3.これからは星座図を頼りに、いくつかの暗い星を、結んでいくことになりますが、
  横に倒れ
たYの字が見つかれば、おとめ座を見つけたといってもいいでしょう。


★おとめ座のポイント
●太陽の600倍の大きさの、スピカ
 スピカは日本では「真珠星」と呼ばれていて、世界でも清純な乙女の星、と言う
印象でとらえられているようです。 しかし、実際には直径が太陽の約600倍もある
巨星で2万度の高温で輝いている、とても激しい星なのです。

●γ(ガンマ)星
 連星です、肉眼で観測すると、2.7等級相当の単体の星のように見えます。実際には
3.5等級の黄色白星が二つで、169年という周期で共通に重心をまわっています。

●おとめ座の系外星雲群
 春の夜空では、天の川を見ることが出来ません。これはちょうど銀河系の円盤から
銀河系の北極方向を見ている形になるからです。このため逆に銀河系内に漂う、
様々な星間のガスにじゃまされることがなくなります。
 このあたりの星には、明るい星は極少ないので、あたかも夜空に大きな穴があい
たような印象を持つことでしょう。しかし、よく観察すると、遙か数千万光年彼方に
散らばっている系外星雲を見つけることが出来ます。 このあたりの空は「宇宙の
のぞき窓」とも呼ばれていて、多くの系外星雲を研究する上で、適した領域となっ
ています。特に、おとめ座とかみのけ座の境界付近には、多くの銀河が分布して
います。これらの銀河の群は「かみのけ座・おとめ座系外星雲群」と呼ばれていま
す。  この系外星雲群の中には16個ものメシエ天体が含まれています。多くは
1781年にメシャンが発見して、カタログに加えたものです。

戻る