小池清通氏作


昨年の秋になるが、例によって、いつもの我ら悪たれ連中が集まり、ここコロ ラド州デンバーの北へ小一時間ほどの所にあるロングモント市で開かれていた 「スワップミート」に顔を出すことにした。我ら仲間は、大体、集まるときに メキシコ料理のブリードのうまいモリソン(デンバーのすぐ西のレッドロック ス野外円形劇場で知られるロッキー山脈の麓に位置し、コアーズビールで有名 なゴールデン市の南にある、小さな町)の、とあるレストラン(名前を忘れた が、アナというひょうきんなおばさんのいる、地元の通にはちょっと知れた? 店である)に屯してから、どこに行くかを決めるのが大体のパターンになって いる為、非公式だが、クラブ名をBBC(これは英国のBRITISH BROADCASTING COMPANYではなくBREAKFAST BURRITOCLUB)と呼ぶ。 が、今回はロングモントが目的地の為、また、いつも遠距離参加になるボブの ことも考慮し、デンバー北のあるデニーズにて朝食をとることにした。朝に弱 い私は、遅れてはまずい、と、半分以上眠っている週末モードの体に鞭を打っ て、冷え込む朝の針を刺すような寒さの中(私はデンバーの南約30キロの所 に住んでいる為)、暖気の間に簡単な柔軟運動をして、早めに家を出た。待合 せ時間の15分前に着き、駐車場を見渡すが、誰もメンバーがいない。窓越し に見えるレストランの中では、暖かそうなスープをのむお客さんが見える。少 しずつ暖かくなる朝日の上昇を背中に感じながら、駐車場から見える、イン ターステート25号線の出口付近に目をやりながら、時間を潰す。が、誰も来 ない。


結局、定刻に遅れながらも、ボブとデビーがタンデムにてローライダー・コン バーティブルで到着。ボブは93年式のスプリンガーも所有しているが、長く 乗っていて、しかも大きなウインドシールド装備のコンバーティブルで登場し た。そして、ロン、ハリー、トムとオレンジ色のスティングレーに乗ったビ ニーが現れた。ビニーはこの日が愛車コルベっトとのお別れの日で、翌日には 新しいオーナーが引き取りに来ることになっていた。イタリア系の彼は普段 は、喧嘩早くひょんなことで荒れることもあるが、この日は、気のせいか、少 し悲しげでさえあった。彼は、現在、47年式のナックルをレストア中であ る。


スープで体を温め、朝食後、一路インターステート25号線を北進。ロングモ ントには30分ちょっとで到着し、スワップミート開場へと向かう。ロングモ ントはコロラド大学で有名なボールダーの北に位置する、その名の通り、縦に 長く横たわる町である。駐車場には早くも百台前後のハーレー達が並んでい る。駐車した後、まず、駐車場での鑑賞会を始めカスタム部品、アイデア変 わった工夫、などを観て回る。これも楽しみの一つなのである。


会場入口で入場料を払い、手の甲にスタンプを押される。これは、再入場する 時の為である。中には業者を含む数十の仮設ブースがあり、中古部品から、廃 盤品、レザー製品、工具、など、そして、中古のハーレーが売物として5、6 台あった。当たらなかったが、カスタムのスポーツターが景品のくじ引きの用 意されていた。この手の客よせ的くじ引きは、スタージス(有料だったが)で も見られたし、アメリカ人が好むスタイルのものかも知れない。興味を引かれ たのは個人用でも使える、ほぼポータブルに近い大きさの、油圧のリフター付 きのリフトである。一家に1台とは、こうゆうもののことを言うのだろう。今 日かうと少し割引するらしく、心を揺すられた。


朝、寒い思いをした私は(日本にいた時から股引の類ははいたことがない為、 寒い日は厳しいものがある。)早速、チャップスを物色し始める。HD純正では ないが丈夫そうなものが100-200ドルも出すと手に入る。サイズもかなりのもの があり、よほどの体型でない限り不自由はしない。私も、遂に、生まれて始め てチャップスをはくようなったのである。これは夏の虫除けにもいいようであ る。


別館のショールームにはきれいには、レストアされたフラット、ナックル、パ ンなど各種のバイクが展示されていた。 ダイナ・ワイドグライドにクラシックな感じを出そうと、独り言を言いながら ふっといつもの癖で姿を消したトムは、中古のサイドボックスを見つけ、早速 構想を練り始めていた。これも楽しみの一つである。


既に、次回のスタージスの計画、その為のホテルの手配、など、もうちょっと 進んでHD創立95周年記念のミルヲーキー行の話が始まっており、我々にとっ ては、行けるか行けないかの最終的な結果よりも、その可能性に向けて夢を持 ちながら有意義なHDライフを送らせて戴けることが、とてつもなく幸せであ る。また、それを分かち合えることの出来る、国籍、年令、職業などを越えた 「仲間」を持つことが出来る有難さを強く感じている。それを可能にするHDの 存在の偉大さを忘れてはならない。