僕のおじいちゃん 僕のおばあちゃん
僕のおじいちゃんはこわい顔
いっつもこわい顔だったです

こわい顔をしながら自転車で幼稚園までお迎え
まわりの子たちはお母さんがお迎えで
ちょっとうらやましかったけど
おじいちゃんはちゃんといつもお迎えに来てくれる
顔はこわいけどほんとはそんなにこわくないんだ
あんまりおしゃべりしないけど
ほんとはやさしいの知ってるんだ

おじいちゃんはだんだん動きが遅くなって
お迎えの自転車に乗れなくなって
途中でおばあちゃんと交代した

おじいちゃんはだんだん外に出なくなって
冬はストーブのまん前に座って
はんてんの背中のところを焦がしたりした

おじいちゃんはだんだん歩けなくなって
おふとんにずっと寝てるばっかりになって
もう今は白黒の写真の中に入っちゃったんだ

僕はそんなおじいちゃんのきおくしかないけれど
おじいちゃんを見送る時にみんなから
いろいろな話を聞いたんだ

おじいちゃんはね
昔バイオリンを弾いてたんだって
バイオリンだって!すごいや!!おじいちゃん!!!
そんな難しい楽器が弾けたんだね
僕の大好きなホームズみたいだよ

おじいちゃんはね
バイオリンをみんなの前で弾いてたんだって
昔は映画に音がなかったんだって
だから映像に合わせてバイオリンを弾く人がいたんだって
そのバイオリンを弾く人だったんだ
すごいや!ほんとにすごいや!!おじいちゃん!!!

いつもこわい顔してたけど
あんまり遊んでくれなかったけど
僕にとっておじいちゃんは
すごくかっこいい自慢のおじいちゃんです

僕のおばあちゃんはやさしい顔
いっつもやさしい顔しておうちにいたよ

僕はおばあちゃんについていって畑仕事のお手伝い
でもいつだったか僕は畑仕事に行く途中
すべってころんで持っていたカマで
自分の手のひらをばっさり切っちゃってことがあったよね
おばあちゃんは僕の手をタオルでぐるぐる巻きにして
近所の人に頼んで僕を病院まで連れて行ってくれた
僕は何針もぬったけど心配かけてごめんねおばあちゃん

おばあちゃんはいつか自転車で事故にあって
病院にながいあいだ入院して
でもちゃあんとおうちに帰ってきた

おばあちゃんはそれから自転車に乗らなくなって
おうちのお仕事と畑のお仕事をして
僕らの帰りを待っていてくれた

おばあちゃんはおじいちゃんがいなくなっても
毎日毎日ちゃんとはたらいて
おうちにいつもいてくれた

僕にはおばあちゃんはいつもおうちにいてくれる
そんな当然の存在で
おうちになくてはならないひとだったんだ

おばあちゃんはね
いつものように早起きして
いつものように一生懸命はたらいて
いつものように僕らと夕食を食べて
いつものように一番風呂に入りにいったんだ

おばあちゃんはね
そのいつもと変わらない日に
このまま変わらない日が続くだろうって思ってた日に
あっというまに天国へいってしまったんだ
いつもと変わらないそのやさしい笑顔で
まるで変わらないその笑顔で

いつもやさしい顔で
心配性で働き者で
僕にとっておばあちゃんは
すごくすごく大切なかわいいおばあちゃんです

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