今夜、僕は夢を見る・・・
今夜、僕は風になる・・・
ふと気がつくと、僕は風になっていた。
街はシィンと静まり返っている時間。
空には大きなまあるいお月様とキラキラ星たちが輝いている。
下を見ると、僕の家の赤い屋根。
とうさんとかあさんはもう夢の中だろう。
僕は胸がドキドキした。ワクワクがあふれそうだ。
体がとっても軽い。
自由自在に飛べるんだ!
宙返りなんか楽々さ!
ぐるんぐるぐるぐる・・・・・・
あんまり回りすぎるのは良くないみたい・・・
そうだ!!海へ行こう!
僕は街を見下ろしながら海岸を目指した。
ザブーン、ザブーン・・・
波の音が聞こえるよ。
僕の真下はもう、一面海だ。
月明かりに照らされてキラキラ輝いている。
魚たちも今はおやすみの時間だろう。
すると、急に水飛沫があがった。
バッシャーン!!!
一頭のイルカが大きな弧を描いて宙を舞う。
きっと僕に気がついて挨拶をしてくれたのだろう。
ありがとう!イルカ君!
それともこっそり空を飛ぶ練習をしてたのかな?
がんばってね!イルカ君!
次はどこへ行こうかな?
そうだ!思い出した!!
僕はポケットの中に手を入れて確かめた。
彼女の家へ行こう!
僕の憧れの女の子。
僕と同じクラスの女の子。
僕の家から彼女の家まで、歩くとちょっと遠いけど、
空を飛んでいけば、あっという間だよね。
風になって、彼女の家の庭にある大きな木までひとっ飛び。
青い屋根とあの大きな木が見えてきた。
ザワザワザワ・・・・・・
僕は大きな木の枝に腰掛けて彼女の部屋の窓を見つけた。
もちろん明かりは点いていないけどね。
僕はポケットからあるものを取り出して
そっと窓辺に置いた。
その時!!
彼女の家の大きな犬が僕に気がついたんだ!!
ワンッワンッワワワワォーンッ!!
それはそれは大きな声で吠えたんだ。
目の前の窓の明りがパッと灯る。
僕は風になっていることも忘れて、あわてて逃げ帰った。
あの犬には、僕が見えたのかもしれないね・・・きっと・・・
朝、僕はベッドから転げ落ちて目が覚めた。
あいたたたたた・・・
でも、なんだか素敵な夢を見たんだ。
「おはよう!!」
聞き慣れたその声に振り返ると、彼女がいた。
ニコニコ笑いながら僕を追い越していく彼女のバックには
とっても不恰好な一羽の折鶴がゆらゆらと揺れていた。