降りしきる雨の中、駆け出す私の後姿は、
どんなふうにあなたには写っていたのですか?
あの夏の思い出は、
今も私の胸の中に深く刻み込まれています。
二人が出会ったのは、偶然かそれとも必然か、
はたまた神様のいたずらだったのか。
それは初夏のある日曜の午後のこと、
通り雨を凌ごうと入った喫茶店の窓際の席。
そのカウンター席の隣同士になったことがきっかけで、
二人は付き合うようになった。
そんなドラマみたいな馬鹿げた話があるわけないと、
彼女自身思ったくらいで、
しかし、そんなことが実際起きてしまったのだから仕方が無い。
それから二人はまるで、昔からの恋人のように、
まるで、今までのお互いの時間を補い合うかのように、語り明かした。
彼女は、こんなにも自分のことを理解し、
共感してくれる彼を大切に思ったし、
彼もまた、一途で真摯な彼女に魅かれていった。
お互いに理解し、お互いに強く魅かれあう二人は、
このまま永遠に愛し合うことを
信じて疑うことは無かった。
あの一通の破り捨てられた手紙を見るまでは・・・。
彼の部屋で見つけた一通の手紙。
彼女はいけないこととは思いつつも、
その破れた手紙を読んでしまった。
どんな趣旨の手紙なのか、すぐに彼女は理解した。
彼女の心は揺れた。
このまま二人ずっと一緒にいられると思っていたのに。
このまま二人の時間が永遠に続くと信じて疑わなかったのに。
その日は、手紙を見てしまったことを彼に告げずに帰った。
次の日、彼は何も言わずにその手紙を私に差し出した。
今までに見たことも無いような、
氷のような眼差しで彼は真実を語った。
彼女はそれを静かに聞いた。
俯いたままの彼女は、精一杯の愛情を込めて彼を罵り、
別れを告げた。
突っ張って、突っ張って、
これ以上もう突っ張ることができないくらい突っ張って
別れを告げた彼女は、降りしきる雨の中、
一度も振り向くことなく去って行った。
降りしきる雨の中、
去って行くあなたの後姿は、とても愛しかった。
できることなら、雨の中を去って行くあなたを引き止めたかった。
今の自分には、それができない。
それが一番悔しかった。
あの夏の思い出は、
いまでも私の心の中に深く深く刻み込まれています。
永遠の愛とともに・・・。