Tabaの鉱物標本箱

2000年4月〜2000年 6月の特集

「山ノ尾産緑柱石の食像」

 緑柱石のうち晶洞から産出するものは、結晶ができる過程で周囲の様々な影響を受けて、一見溶けたよう外観の「食像」を伴うものがあります。こうしたものを観察すると、幾何学的な模様を見ることができます。食像は凹みであったり、突起状の食丘であったりします。

 今回はこれらの食像の中から、いくつかをご紹介します。
 
 なお全て山ノ尾産のため、個々の産地名は省きます。



【1】 緑柱石 

   

 晶洞産の緑柱石のうち表面がざらついたものをルーペで観察すると、細かなへこみや突起が見られるものがあります。
 この写真ではよく分かりませんので、もう少し大きくしてみましょう。

 
【2】 緑柱石

  

 なにやら四角い形がたくさん見えてきました。
 よく見ると、同心円ならぬ同心方?となった階段状のへこみであることが分かります。
 

【3】 緑柱石

  

 少し角度を変えて横から観察すると、今度は突起が見えます。
 右は突起をさらに拡大したものです。緑柱石の表面にSF映画のCG画像のような山が見えてきました。
 まさにベリルマウンテンとも言える雰囲気です。
 

【4】 緑柱石

  

 もう一度表面を拡大して観察してみましょう。
 これらは、航空写真や衛星を使って遺跡を撮影したような感じさえ受けます。
 四角形の形から、あたかもエジプトのピラミッド探索画像のようです。

【5】 緑柱石

  
 

 さらに別な部分を拡大してみると、長方形をした部分が見つかりました。
 この写真では長方形のへこみであることが分かります。黒い部分は晶洞粘土が入ったままの状態です。
 へこみをさらに拡大した右の写真では、細かな段差がいくつも重なっている様子が観察できます。


 特集はいかがだったでしょうか。
 たかが小さな緑柱石と言わずにルーペなどで観察すると、思いがけない世界が広がります。これらはみな太さが2〜3oの小さな緑柱石の、ほんの一部分の姿なのです。





 先日行われたミネラルフェア会場、ブラジル産の巨大なアクアマリンを手にとって観察することができましたが、これにも巨大な穴が開いていました。
 私は緑柱石に四角い凹みを見つけてから、標本に出会うたびにルーペで食像を見てしまいます。均整のとれた大きな食像に出会うと思わず感激してしまいます。
 みなさんも晶洞産緑柱石を観察する機会がありましたら、是非ルーペで探してみて下さい。
 

◇ お詫び
 
    このところ特集更新が遅れていました。これを楽しみにしているみなさんには申し訳ありませんでした。
    定期更新にこだわらず、少し肩の力を抜いて気楽に続けて行きたいと思います。


 ・ 次回の特集 「 山ノ尾産水晶 」