Tabaの鉱物標本箱

6〜 7月の特集

「水晶 特徴2:見かけの形」


【典型】 山梨県牧丘町乙女鉱山産 (14×37o)

 水晶をイメージすると、たいてい典型とも言うべきこのような形が思い浮かびますが、このほかにも様々な形があります。
 鉱物の本などでは、典型のほかに「日本式双晶」や「両頭」が載っていますが、ここでは結晶形とは少し見方を変えて、直感的に感じる形を見ることにしましょう。


【スラリとずんぐり】 岩手県陸前高田市玉山金山産 (左:19×38o 右:8×50o)

 

 水晶も見かけの体型は太さと長さの比で表すこともできるでしょう。左は、その比が1:6と大きくてスラリとしていますが、右は1:2程度のずんぐり型です。産地によってもこの特徴は大きいようです。
 私の知るところ、スラリ型は少ないようです。


【先細り】 左:山梨県甲府市産(13×54o)        右:栃木県宇都宮市富井鉱山産(11×37o)

 

 水晶の柱の部分は、普通根本近くと先の方での太さの変化があまり大きくはないのですが、左の例はその変化が大きく、直線的でヤリのような鋭利さを感じます。
 同じ先の尖ったものでもその変化がカーブを描くと、何となくユーモラスな感じになります。ビヤ樽のようでもあり茗荷(みょうが)のようでもあります。


【カミソリ】 茨城県真壁町山ノ尾産 (28×29×1.5o厚)

 

 写真はとても薄っぺらな煙水晶で、特に左下にオマケのように付いた四角い部分は鋭い形です。このような水晶は山ノ尾のペグマタイト晶洞にも多く見られ、粘土をがむしゃらにもみつぶしたりすると指を切ってしまう、まさにカミソリと言える怖い存在です。


【まつたけ(まつたけ水晶) 長野県麻績村四阿屋山産  左:(9(6.5)×○○o) 右:(カサの部分 2.5×2.5o)

 

 水晶の変わり種としてあまりにも有名で、まさにそのものを連想させる楽しい存在です。水晶としては軸の部分に相当する水晶の先に、少し太い別な水晶が付いていると見ればいいでしょう。

 2つの例では、まつたけのカサの部分の長さが違っています。カサが長い方もまつたけと呼びたいのですが、どうも無理があるようです。
 小さなカサのものは超ミニサイズですが、キラキラ光ってかわいらしさを感じます。


【奇形】 茨城県七会村高取鉱山産 (結晶の幅 36×26o)

 端正な水晶とは異なり、少し乱雑な水晶という意味なのですが、言葉があまり適当ではないかも知れません。
 この例では、人の考えが十人十色であるように、人間の個性を表しているようでもあります。


 特集「水晶」の2回目はいかがだったでしょうか。

 そのほかの特徴についても、これから3回にわたってご紹介する予定です。