Tabaの鉱物標本箱


4〜5月の特集

「海岸で見つけたヒスイ」



 ヒスイと私たち日本人との関係は、古く縄文時代にまでさかのぼることができます。以来古墳時代までの間、大珠や勾玉などに加工され、権力の象徴や祭祀用具などとして使われたとされています。

 神懸かっているようでも何となくありがたいヒスイは、新潟県糸魚川市の姫川河口周辺から富山県朝日町にかけての海岸に打ち上げられることで知られ、平日休日を問わず探している人を見ることができます。

 そんな人たちとともに歩き、出会えたヒスイを紹介しましょう。



新潟県青海町産「ヒスイ」

特集9904-01

 小さいものですが、気に入っている標本の一つです。白地に鮮やかな緑のコントラストがとても美しく見えます。



新潟県青海町産 「ヒスイ」

特集9904-02

 緑色をイメージしてヒスイを探しても、ヒスイ自身そうたやすく見つかるものではありません。高波や足もとに気をつけながら一日中海岸線を歩き回って、やっと1つ見つけられるかどうかの確立のようです。
 写真のように白色のものでも、鉱物としての「ヒスイ輝石」には変わりありません。



新潟県青海町産 「ヒスイ」

特集9904-03

 やっとの思いで見つけたヒスイの地色がたとえ灰色をしていても、緑色が少しでも入っていればうれしくてたまりません。標本を見ると、そんな時の「鳥肌が立つ」ような感激がよみがえります。



新潟県青海町産 「ヒスイ」

特集9904-04 特集9904-05

 あるときは、1時間位のうちにたくさんのヒスイに出会うことができました。緑色がたくさん入ったもの、小さいが磨かれてピカピカになったもの、ほんのり紫色の「ラベンダーヒスイ」などでした。
 右の写真はその中の一つ、「ラベンダーヒスイ」です。一部に淡い緑色も入っています。



新潟県青海町産 「ヒスイ」

特集9904-06

 色はややくすんでいますが、厚みがほぼ一定した扁平な標本です。
 縄文時代にこのようなものを見つけると、「大珠などに加工できないか...」などと思案したことでしょう。