前回までのあらすじ

 記憶喪失の私は、相沢祐一(てきっぽい)と水瀬名雪さん(たぶんちゅうりつ)の取調べを受けることになった。あうーっ。

「お前、何か持ってないのか、財布とか」
「お財布はあるけど」
「どれ、貸してみろ」
「あっ」

 祐一は私の手からそれを奪いとると、中身を出して床に並べていく。
 徹底的に調べるつもりなんだと思う。
 でも。

「ねえ祐一。お財布なら、まだあるよ。(こっちに振り向いて)だよね?」
「……うん」
「何?」

 そういって私が自分の服を揺さぶると、床に大量の財布がぼさぼさと落ちた。
 自分でもちょっとびっくりするぐらいたくさん。
 金額を合計すると、結構な額になる。

「この子、お金持ちだね」
「ああ、そうだな」

 祐一は呆然としつつ答える。

「……でも」

 名雪さんは、うかがうように私を見る。

「お財布をいくつも持っている人って、珍しいね」

 財布を?
 そう言えば覚えがあるような、無いような。

「もらったんだ……んだと思う」

 ここ数日の記憶があいまい。
 でも、なんだかとても楽しかったような気がする。

「みんな遊んでくれて。それで」

 言い訳するように付け加えたけど、でも、『みんな』って誰だろ?

「ふうん」と名雪さんは言った。「賭け事するタイプには、見えないけどね」
「ああ……そうだな」
「うん……」

 確かに、したこと無い。

*

 私がちょっと戸惑っていると、横で祐一が「……そういえばこの辺り最大のチーム『理愚劣燈』が一夜にして壊滅したとか言う話が……」とか言っていたけど、意味がわからなかった。
 そう。そんなことより、こいつに復讐しなきゃ。
 取調べが終わり、二人は部屋から出て行く。祐一はなんか納得しかねる顔をしてたけど。
 私は、今日からの復讐プランを練りこむ事にしたのだった。
 


詳しくはブラッドジャケッド(古橋秀之、メディアワークス電撃文庫)を参照。
って、それでいいのか私。

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