1. そんなこんなで夏の残暑もそろそろ終わり。 バイクに乗ったりするには一番良い季節になってきた。 とすると当然授業なんて右から左になるわけで、 窓側の一番後ろという席も手伝って何時ものようにうとうとしていた秋の昼下がり。 あー。雲が流れてくなー。・・・なんだか牡丹餅みたいだ・・・ (今度作りましょうか?) あ〜そうだね〜。お願いするよ〜。 ・・・突然聞こえてくる声にもすっかり慣れたもの。 そっとセリオさんの方を盗み見る。 あ〜・・授業を真面目に聞いてる振りして眠ってるよ。 セリオさん。何でかというか何時の間にかというか この前の事件の後、何事も無くうちの学校に"転校"してきていた。 もう当たり前のようにセリオさんがメイドロボであるという事は誰も気にしていない。 ・・・まぁ今更セリオさんが裏にどんなパイプを持ってようと驚かないんだけどね。 まぁその時また1悶着あった訳だけど・・・ 俺としては何とか子供の件とか誤解が解けてよかったなと。 周りの視線が融点まで戻ったので何とか学校生活を維持できるようになったし。 一時期本気でこの街から夜逃げしようって考えたよ。 それからすっかりセリオさんも学校に居着く・・・定着して、 着々と学校を支配・・・慣れていき友達も沢山出来たようだ。 当然セリオさんはカワイイし楽しい(?)から人気者になったりして 一緒に暮らしてる俺は当然やっかみの対象になったりするわけで。 季節は夏という事もあい重なって、水泳の授業の時は背中がモミジで一杯になったけな・・・ そんな事を考えながら今日も一日が過ぎていく ・・・予定だったんだけどね。 今日もセリオさんのおかげで良くも悪くも普通じゃない一日になった。 俺の人生。セリオさんに関わってはたして幸せなのか不幸なのか・・・ 本人しかわからないって?・・・俺が教えて欲しいよ。ほんと。 まぁ退屈はしてないんだけどね。 ガタっ! 静かな教室に急に響き渡る椅子から誰かが立ち上がる音。        ・・・?セリオさん。 目を開けながら寝ていた(俺には判る)セリオさんが急に立ち上がって口元抑えてる。 ・・・どうしたんだろ?具合でも悪いのかな? んお?どうした〜?○○・セリオ〜。 少し間延びしたやる気があるのか無いのか判らない担任の声。 それにしても皆俺の前だとセリオさんの事をフルネームで呼ぶ。 実際家にすんでいて苗字も俺と一緒の○○でいいんだけど・・・ セリオさんも"なんだか新婚さんみたいですね。きゃ!"(無表情で感情だけこもった声で) って言ったりしたりするもんだから、背中のモミジが赤みました事は想像できるでしょ? んでセリオさん。口元に当てた手に心持顔色もなんだか悪そうだ。 先生。 ん?なんだ〜? 先生・・・”つわり”が・・・ し〜〜ん・・・・・・・・・・・ ・・・”つわり?” はい。”つわり”です。と既に普段の調子のセリオさん。 ガタッ・・・・ガタガタガタッ!! ははは〜。あの雲なんだか先輩の家のマルチちゃんに似てるな〜 (○○さん。浮気は許しませんからね。ちゃんと責任とってくださいね(はーと)) はっ・・ははははは・・・はぁ。 周りで騒ぎ立てるクラスメイト達・・・おい、斉藤。幾らなんでも金属バットは時期的にもマズイだろ?・・・を横目に。 今日もセリオさんの暇つぶしの遊びなんだろうなぁ〜。 なんて事を思いながら。セリオさんのニヤリ笑いを横目に俺の意識はブラックアウトしていくのであった。(物理的にね)

    んで今いる此処は保健室。 あの後俺が気絶していた間にセリオさんがなんていって周りをなだめたか想像もしたくもない。 明日はヒーローかそれとも後ろ指か・・・ そろそろ本気で夜逃げしようかな?・・・でもセリオさんから逃げれるなんて考えられないし。 ・・・何より自分の方がセリオさんに溺れている節があるからな〜。 兎も角今はもう放課後のようだ。俺は保健室のベッドの上。やっぱり金属バットはマズイだろ?斉藤? なんて思ったりしながら頭のこぶをさすっている。 よく死ななかったわね? とにこやかにサラリと恐い事を言う保険の・・・名前を知らない先生。 さて、此処からが本題だ○○。 急に真剣な目をする名無しの先生。 ○○はどうするつもりだ? どうするつもり?なにがですか? セリオの事だ。 セリオさん?セリオさんがどうかしたんですか? ・・・ふむ。強い衝撃による記憶障害か・・・それともあまりにショックな事が起きたために記憶を封印してるのか・・・ ・・・え〜と。どうゆう事か説明してほしんですけど。 ふむ。まぁ、落ち着いて聞けよ?実は・・・ と保険の先生が語ったのはさっきの事。それがどうかしたんだろうか? その事なら、はっきりしっかりがっちり覚えてますけど? またセリオさんの暇つぶしでしょ? ・・・彼女の検査の結果。陽性だったが? ・・・・陽性? うん。・・・平たく言うと”おめでた”ってやつだな。 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ぽりぽりと。 頭のたんこぶを何とはなしにかいてみる。 え〜と・・・此処は何を驚くべきなんだ? とりあえず疑問に思った事を確認しておく事にする。 先生。セリオさんが心は兎も角。体は生粋のメイドロボって言う事はご存知ですよね? ああ。もちろんだとも。・・・メイドロボだから責任が取れないと? いえいえ。そんな事ありませんけど・・・ そもそもメイドロボで妊娠って変だな〜って思ったりしません? ふむ。私も始めは何となくそんな事を考えたりもしたんだが・・・ まぁ、あの"セリオ"だしな。それも有りなんじゃないかって思ったわけだ。 ・・・セリオさんって一体どう思われているんだろう? え〜と。第二問。 俺・・・身に覚えが無いんですけど? ・・・責任はとらないと言うのか?お前は? いやいや!そうでなくて!本気で身に覚えが無いんですが・・・ 何言ってるんだ?お前?あんなかわいい娘と一つ屋根の下で何も無い?そんなの一体誰が信じると? それともお前・・・不能か?まさか・・・同性愛者?別にそれが悪いとは言わないが・・・ ・・・・はぁ。俺はいたってノーマルです。 そうなのか?それならほら、セリオがうちの学校に転校してくる前に一悶着あったじゃないか。 あの時もお腹の中の子供がどうとか言ってたじゃないか。・・・まさか其のままほかって逃げてきたとか? ・・・最低だなお前。 ・・・え〜と?なんだか話が・・・ 兎も角だ。セリオはもう家に帰した。 お前の家は確か両親いなかったんだよな?之からどうするか二人でじっくり話し合って来い。 幸いと言うか何と言うか。家の学校は比較的そう言った事に理解がある。 私立と言う事もあるが学長も昔学生結婚しているもんだから、 お前らさえ真剣なら学校を退学になる事はないだろう。 学校を辞めて働くと言う手もあるが・・・出来れば高校は出ておいた方がいいぞ? いや、だからね?身に覚えが無いって・・・ もうそんな言い訳するな。素直に認めろ。お腹の中の子供はもう命を持っているんだ。 一つの命がお前たちの選択で生きるか・・・死ぬんだ。正直重い選択だと思う。 私もたいして力になれないと思うが相談にのるからな? さぁ早くかえってやれ。セリオは家で今1人なんだからな? 腑に落ちない事は沢山あるんだけど、先生の言う事も尤もなので兎も角家路につく事にする。 学校から出る間にも話は全校に伝わっているらしくて。 先輩!頑張ってくださいね?これ少ないですけど私達のクラスから・・・ほんの少しでも助けになればって。 あ、ありがとう。 引きつった笑いを浮かべながらその小銭が沢山つまったカンを受け取ったりして。 下駄箱には○○とセリオさんを応援しよう!っていう昇りまで立っていて、やっぱり其処にも募金箱。 ・・・あ〜なんだか結構たまったりなんかしてるよあれ。 んで帰り道。 セリオさんの事諦めるから一発だけ殴らせろ! って。まぁ結構な数の人達に囲まれたりもしたんだけど。痛いのが嫌だから逃げたりなんかり。 何処でどう間違えてこんな事になったんだろう?何て考えながら重い脚を引きずりつつ家に帰った。 家に到着。何か"キュイ〜〜ン"とか音がしているけど。・・まぁ何時もの事だし。 恐る恐る”ただいま〜”って声をかけて家に入っていく。 ・・・なんだか自分の家なのに他人の家に上がるような居心地の悪さを感じてしまうよ。 お帰りなさい。 何時ものように何事も無かったようにセリオさんが出迎えてくれる。 セリオさん。・・・あの、ただいま。 逆になんだかこっちが不自然になってしまう。 はい。お帰りなさい。 う〜ん。・・・なんだか母性と言うか。 お母さんビームを周りにふりまいて歩いてるって感じだな。 なんか、綺麗だな・・・ あ、ああ。ただいま。 そんなセリオさんに暫く見とれていて。我に返って返事を返す。 ご飯にしますか?それともお風呂ですか? 今日は私が腕によりをかけて作った”お赤飯”ですからね? とお約束(?)のセリフまで飛び出して、なんだか・・・ねぇ? ひしっ! ? 足元に飛び込んでくる謎の物体。 はははは・・・なんだかパタ〜ンから言って大体想像がつくんだけど。 其処に見えるのは・・・青い髪の小さな女の子。(推定3〜5歳ぐらい) 此方を見上げて目をきらきらさせている。 その子の頭に手を置いてゆっくり撫でながらセリオさん。 ほら?ちゃんと自分でお名前言いなさい? あい!お母さん。 お父さん。始めましてです! "○○・ユニです!" 之からよろしくお願いしますです! 元気に。真直ぐこちらを見ながら期待と不安。少しの怯えが交じり合ったような目で此方を見つめている。 ・・・ ・・・ ・・・(たっぷり10分) え、え〜と、ユニちゃん? あい! ○○さん。"私達の子供"なんですから。呼び捨てでよいんですよ? あ、ああ。そっ、そうだね。え〜と?ユニ? あい!お父さん! ・・・お、お父さん。・・・・はう。なんだかはまってしまいそう・・・ 名前を呼んで貰って嬉しいのか元気に返事をする。瞳にもう怯えの色は無い。 混乱している頭は素直に自分の願望(笑)を口にする。 え〜と、ユニ? ・・・俺としてはやっぱりお父さんより"パパ"って呼んでほしいなぁ〜 そ、そうじゃないだろ?俺? あい!"パパ"! 一瞬キョトンとした後。 にっこりと。ひまわりな笑顔と一緒にそう言ってくれた。 ぐわ!・・・か、かわいい・・・ とまぁ何かおかしい所は沢山(さっきの今でもう生まれている事。年が既に幼稚園ぐらいな事。身に覚えないんすけど?等々) あって本当だったらセリオさんに色々聞かないといけないんだけど とりあえず現実を直視できない俺の脳味噌は豆腐になっていて。変な事をのたうちまわって。 ユニが"へらぁ〜"ってあの子供独特の笑い方を向けてくるもんだから其の度に俺もつられて笑ってしまって。 ・・・その奥でセリオさんが意味ありげなニヤリ笑いをしてたりしたんだよね。 結局聞くことが出来なくて。 気が付いたら"家族3人"食卓について、お赤飯を食べていた。 んで当然夜は"川の字"になって寝たりして。 その日はさっぱり訳が判らないまま。 幸せそうなユニの寝顔を見つめながら眠りについた。








四本目。

お久しぶりです。

許可を頂いたのでユニちゃん登場。

お子様です。特に深い意味はありません。

23世紀ですから(意味不明)。

と言うか○○君はセリオさんに手を出してません。・・・まだ。


読んでくださったあなたに感謝を

ではでは・・・

2000.8.10






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