朝。
気持ちの良い朝。
今日も何時ものように朝がやってくる。

私は何時もの様に、何時もの時間。何時もの場所へと歩いて行く。

志貴さまの寝顔は私のもの・・・ふふふふ・・・じゅるりっ・・・
この朝の甘美な一時は私だけのもの・・・
ふっ・・・ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ
ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ・・・

と心の中で喜びと妄想を一通り噛み締めて、表面上は落ち着きを全く崩さずに。
私の一日はそうして始まる。


・・・・ッ・・・・

・・・・う〜ん・・・


おかしい?
何だか今日も志貴さまの部屋から人(?)の気配がする。

しかも私以外の女性の気配が志貴さまの部屋からするような・・

第六感の錯覚だと思うけど・・
志貴さまの様態が悪くなった時、すぐに駆けつけるのメイドの勤め。
姉さんに頼んで付けて貰った
浮気防止兼寝崩れした胸元盗撮(けどやっぱり生の・・ふっ、ふへへへ・・・)カメラには
今朝はナイムネもアーパー吸血鬼もでか尻も同人娘も何も映ってなかったと思ったんだけど。
(注:当然、本人は知りません。
・・主人の安全を守る為にはそんな事は些細な事です。ナ・・秋葉さまもちゃんとご覧になってますし

ご都合主義で少しだけ開いている扉からそっと中を窺う。


なッ!!

其処で私は信じられないものを見た。




繰り返す朝






トンデモナイ夢をみた。
もう、ともかく支離滅裂で、トンデモナク・・・




・・
・・・

・・・・おはようございます。

何時もの朝が来る。
今日は珍しく起床の催促が来るより早く起きれたようだ。

伸びをする。
目覚めは良いようだ。何時もの窓から差し込む光がまぶしい。

この部屋に来て。
どれだけの時間が。何度同じ朝を迎えただろう。
その。何時もの窓から外を見る。
今日も何時もの窓からの風景が広がっていた。


空は何時見てもどんよりとしている。
遠くに見える不自然なぐらい丸い山。 常に形の変わらず何処までも続く絵に描いたような雲。
・・・

・・・その・・・


・・・妙に絵本チックの風景が・・・


其れは何時もの朝のはずだった。

何時ものとおり。
翡翠の声で目を覚まし。
リビングで紅茶を飲んでいた秋葉に挨拶と。何時もの"口防戦"でからかって。
そろそろ髪が赤くなりかけて、妹ぱんちが飛んでくる前に琥珀さんの作ってくれた朝食を食べに行き。
何時ものように翡翠が門まで見送ってくれた。




ゆっくりと坂を下ってゆく。
時間は7時30分。どうやら今日は歩いても間に合いそうだ。


遠野くん。

坂も半ば差し掛かった時。
ふいに声をかけられる。何時もの聞き覚えのある声。


シエ・・ル・・・・・先輩?

振り向いた先には想像どうり、シエル先輩がいた。

けど・・・





・・何故かフル装備の(+第七聖典+紋様?付き)・・



・・・・

・・・・

おはようございます、遠野くん。
一日一食カレーを食すのは霊長類の義務です!・・と言い切った時と同じ位
何事も無かったかのような顔で挨拶をしてくる先輩。

・・・お・・おはようございます・・・シエル・先輩・・

・・・・

・・・・

何と言ったら良いか。言葉に詰まる。

いや。別に俺だってシエル先輩が此処にいる事自体は問題が無い。
と言うよりワザワザ迎えに来てくれたんだなぁ〜と。
むしろ嬉しい。

けど・・・
・・・悪いけど、シエル先輩の"其れ"は
世間一般でいう所の・・


コスプレ



・・・以外の何物でもない。
やたらとゴイツ銃は警察呼ばれそうだし。
服装は・・まぁ・・20歳を越えてる人が着るには・・・(・・先輩その目は止めてください)・・いや・・良しとしても。
体中に書かれた紋様・・・

平日の。
其れも通勤に通学に急ぐ多くの社会人の方々が闊歩するこの時間帯の住宅街。
・・正直あまり身内の振りをするのは一寸考えさせて欲しかったりする。


・・・・

・・・・


落ち続けて底なしのような沈黙。
・・み、見なかった事にする訳にはいかないんだろうか?
其のまま何も見なかった事にして、走って学校まで行きたい気分だけど
以前お仕置き(ハ〜ト)(アルクェイドに強制連行されて約束をすっぽかした時〜)と生じて食べさせられた
先輩特製カレーのことを思い出す。
・・・
・・・あれと比べればまぁ・・あの俺を苦しめた殺人衝動だって裸足で逃げ出していくだろう・・・


このままお互い止まっていても学校が待ってくれる訳で無し。

周りの"わ〜・・・"とか"ちょっと奥さん。あれ遠野さん所の・・・"
とか聞えてくる声がやむ訳で無し。
後で秋葉のヒザカックン(⊥バージョン)を繰り出される事になるのは非常に考え物なので
此方から一時的接触を試みて見る。


シエル先輩?・・仰々しい格好ですけど、どうかしたんですか?
・・・はい。

それだけ言って
先輩は一度こちらを見て、すまなそうに目線を下げて黙り込んでしまう。

何時もは、ほえほえしてる先輩がこんな"アカラ様"(の)な格好をして

俺の所まで。俺の所に来てくれたんだ。
此方も自然聞く体制が真剣に成る。

・・先輩?
・・あの、何か言いにくい事なんですか?
俺の事は気にしないでいいですから一思いに言ってやって下さい。


・・・はい。
・・すいません。もう遠野くんを巻き込むのは正直心苦しいんですが・・・


先輩・・・


そんな先輩の態度を見て(と言うか格好で気づこうよ?)
先輩がこうして世間の目も恥も捨ててやって来たのは"例の件"絡みの事だなと気が付いてしまう。













去年の秋・・

遠野志貴は1人の吸血種を殺してしまった。


その美しい体を。

17個のパーツに。

完膚なきまでに。

之でもかと言うほど。






其処から始まった一連の騒動は。
ホント死にそうな目にも何度もあったけど、1人の悲しい男の本当の終焉を持って終わりを迎えた。

その"多くの人"にとっては日々の少しの刺激となった、大量殺人事件と言う日常に埋もれてしまう事件。
けど、当事者である俺にとっては

吸血種

と言う新たな非日常への接点を持つことになる。
その大きすぎる日常からの乖離の代わりというか。
二人の友人(?:二人とも背中のほくろの位置まで知っているのにそれは友人と言うかどうか?)
と幾つかの世界を知る事になる。


その一つ。
人間と言う種が他の自分達の種を捕食する者。
種の存続を脅かす者に対する免疫機構の一つ。

埋葬機関

それが先輩が属している機関。

吸血種を。教会にとって都合の悪い物を。
完膚なきまでに刈り取る事を目的にし、その為にいかなる手段も講じる。
あの騒動で得た一人の友人(?)のアルクェイドはその吸血種の親玉(?)みたいな物にあたり、
騒動の原因となった吸血鬼。その彼を。
運の悪い事に、唯でさえ仲の良く成れる筈が無い二人がその彼を標的としていた事がまた騒動を生んだりもした。

まぁ、兎も角最近は特に何事も無く日々が過ぎていたはずなんだけど・・・
其処まで思い出して、言いにくそうに再び先輩。

遠野くん・・すいません。
どうしても・・・どうしても!・・・遠野くんの力を借りないといけないんです!
・・・遠野くんが、その目の事。あまり快く思ってないのも十分承知してるんですが・・・すいません。

・・・

それだけ言って再び下を向いてしまう。


物。者。の存在を殺してしまう俺の目。
直死の魔眼とアルクェイドが言っていた。

"殺せない物・者"は殆ど無いそうだけど・・

先輩・・先に言って置くけどアルクェイドを・・ってなら悪いけど断らせてもらうよ?

・・違います。
そりゃあ、彼女を封印する事に遠野くんが協力してくれるなら何でもしちゃいますけど・・
それは絶対に無いでしょ?


何でも・・?
・・・イヤイヤイヤイヤ・・・

男としての遠野志貴としてはその言葉に物凄く後ろ髪を引っ張られるけど
何となく拗ねたような責めるような艶っぽい様な先輩の視線・・をかわして。
・・なら何だろう?
アルクェイド以外の吸血種で先輩の手におえないような奴がこの町にいるんだろうか?




アルクェイド。
彼女を色で表すとしたらきっと白だ。

白い吸血種。白い感情の塊。
後・・白い猫。

その気になればきっとこの町の人間だって一晩でコロセレル
でも。そんな恐ろしい奴の筈なんだけど。
あの、まっさらな感情をぶつけられると憎む事なんか出来なくて。
・・・そんな奴。


彼女は普通の方法では殺せない
俺の目でも良くて・・見えて"線"まで。しかも昼間限定。
彼女を殺すと言う事は、世界を殺すと限りなく近いイコールなんだそうだ。
殺す理由も無いし、殺したくも無い。あの真直ぐな笑顔を見たら・・裏切れない。
現実問題。人間の俺じゃ・・どうやっても"普通には"殺せないし
あの、彼女の赤い目を見たら、どんな獰猛な生き物だって絶対に動けなくなる。
自分がその瞬間生きているかどうかさえ疑わしくなる。

・・けどやっぱり彼女を殺せるとしたら俺しかいないんだろうけど。



其処まで考えて愕然とする。
・・・殺す? 今・・俺、アルクェイドの事殺すと言う言葉を使って考えたのか?

そう考えた瞬間。
世界が歪み、何時もの貧血とは少し違う。
前も横も・・自分さえも判らなくなる。もっと気持ち悪い。あの感覚がよみがえる。
・・そして自分と違う頭と回線が繋がる。

















・・・ふはははは!志貴!そうだお前は殺人鬼の・・














妹目潰し




ゲフッ!め・・目ぇぇぁぁぁあ!? そっ・その声・・ひょっとして・・あっ、秋葉なのか?
お・おまっ・・久しぶりに会えた実の兄に向かって・・・!

・・・兄?
たちの悪い冗談ですね?
私の兄は・・今も昔も兄さんだけです。
では・・・ごきげんよう。
知らない人。
・・・・もう二度と会う事も無いでしょうけど。

うおっ、腕!腕がっ!
あっ、秋葉ぁぁぁぁぁ・・・お兄ちゃんは諦めないぞ〜〜〜〜〜〜!



・・・唐突に・回線が持ち直す。目の前の先輩は目を伏せたままだ。
・・時間にして意識が飛んでいたのは一瞬だったのか?
知らない映像が。人間が浮かんだ気がしたんだけど・・・
・・・何故だか帰ったら秋葉の性格が微妙に歪んでるかも知れない。 理由は判らないがそう思えた。


・・・話をもどそう。

何時までもこうしている訳にもいかない。
・・まぁもう学校は諦めたから良いんだけど。
かと言って、シエル先輩からでは話しにくそうなので此方から先手を取る。

先輩・・俺の力が必要なんだよね?
先輩の力でどうにか成らない相手に俺がどうこうできるか判らないけど。
それでも良かったら・・今更そんな遠慮する仲でも無いだろ?

遠野くん・・・

言って、先輩のそんな嬉しそうな顔を見てしまうと・・なんだか照れくさい。

で!先輩。俺はどうすれば良い?

照れくささを隠す為、必要以上に威勢良く言葉を繋ぐ。

あっ・・はい。
その前の今回の相手の事を説明しますね?
・・・そう、憎むべき奴の。

目が戦闘モウドに切り替わっている。
・・彼以上に因縁が深い吸血種が先輩にはいるんだろうか?
う〜ん?
・・・彼が生まれる原因を作った吸血種?
ってそれじゃあ堂々巡りだしな〜・・・


奴は・・多分遠野くん以外ではしとめる事は無理だと思います。
彼女でも・・多分無理です。

・・彼女。アルクェイドにも?
そりゃ、俺の目は特殊だけど事"破壊する"と言う事ならアルクェイドの方がだんぜん強い。
生き物で。この地球上では彼のようなケースを除けば彼女に"破壊"出来ない物は無いと思うんだけど・・


何度、倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても倒しても・・・・
・・・立ち上がってくる。
機関でも彼を異端者として扱っています。
・・昔の私みたいに。


・・・先輩。
・・でも、同じ経験をした。その辛すぎる経験をした先輩がいるじゃないか?
その彼・・救ってあげれないんですか?


何をいいやがってんですか!遠野くん!
彼は・・奴は!あの泥棒猫より人類とは混じりえない物なんですよ?
それを・・それを・・!
し、シエル先輩・・ちょっと落ち着いて・・

私は十分落ち着いてます!
其処まで言って。
ハァハァ・・・と鼻息も荒い先輩を落ち着けようと声をかけようとするが
それより先に話は続く。



・・・良いですか遠野くん?
奴は先ず笑顔でターゲットに近づいて行くんです。
しかも、弱った人間のみをターゲットとします。
クッ!・・卑劣な奴です。 ・・その笑顔で大抵の人間・・訓練されていない人間ですら跳ね除ける事は難しい!
人間。弱っている時に優しくされればコロッと行ってしまいますから・・

そして恐ろしい事に奴は・・・
油断しているターゲットに自分の体の一部を寄生させるんです!
ええ寄生ですとも。
教会は別の言葉を使いますがあれは寄生以外の何物でもありません!

自分の体の一部を相手に寄生させ・・奴の事を深層心理に刷り込むんです!
そして・・気づいた時には彼の下僕へと成り下がっているんです。
何て・・何て卑怯で恐ろしい・・・


其処まで言って先輩は怒りの為か、恐怖の為か。
体を抱いて震え出している。

・・確かに恐ろしい。
自分の意思とは違う所で自分と違う事をするのは俺も体験しているだけによく判る。



それに・・悔しいですが
その寄生されたターゲットもそれを受け入れる可能性がかなり高いんです。
自ら望んで・・・あぁ!考えるだけでもおぞましいです!

そう言って再び震える体を抱える先輩。



シエル先輩・・無理しなくてもいいですよ?
ゆっくり。追々話してくれれば・・先輩辛そうだもん。

ありがとうございます。遠野くん。
でも、今は言わせてください!・・奴への怒りの感情を押さえつけれそうにありませんから。

そう言って、戦闘モード成りに俺に気を使って笑いかけてくれる。
でもやっぱりその笑顔は俺の好きなシエル先輩の笑顔じゃなくて
とてもぎこちない物だ。



良いですか?遠野くん。

此処からが本題と言っても良い所です。

・・・・心して聞いてくださいね?



・・・ゴクリ・・・
場の雰囲気。漲る緊張。

そしてシエル先輩の発する言葉。













奴は・・
菓子パンの分際で惣菜パンの・・・
いや!この世の食物の頂点にある
カレーパンを差し置いて
主役を張ってるふてえヤロウなんです!





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?






自分の顔を他人に食べさせて・・その存在をその人の心に刻み込んでゆく。
・・考えても見てください?
腹減ったな〜・・・と思っていたら何処からとも無くやってきて、

"僕の顔を食べなよ!"


・・ですよ?今時3流ホラーでもありえない展開なんですけど、
実際やられたほうは恐怖以外の何物でもありません。
目の前の相手が顔を引きちぎって"食べて?"ってせまってくるんですよ?
教会の馬鹿どもは"施し"と言って彼を認めていますが・・
あんなの非常識もいいところです!

普通生き物の多くは頭は急所の筈なんです!
それなのに奴はどれだけ頭を飛ばそうと、新しい顔と生じて
・・言葉にするのも汚らわしい・・アンパンを乗せ変えるだけで復活するんですよ?

あぁ・・・そんな事は些細な事なんです。
・・・なんで・・・なんでカレーパンじゃないんですか?
アンパンのくせに・・アンパンのくせに・・・しかもこしあん・・・
カレーパンを差し置いて・・アンパンが主役を張るなんて世も末です・・・


・・・・
・・・・
・・・・え〜と。
先輩が言っているのはひょっとして



あの


愛と勇気だけが友達と言いつつ。
じゃあ、他の奴らは良いように使ってるだけ?の。

相関図を作ると。
アンパンマン(菓子パン)対カレーパンマン(惣菜パン)
で食パンマンが中立のふりして
アンパンマンには"俺はアンを挟めばアンパンだよ。だからお前の味方さ。"
カレーパンマンには"俺はカレー挟めばカレーパンだよ。だからお前の味方さ。"
と二人きりの時にはそう言っている偽善者っぷり全開(ドキンちゃんもその偽善っぷりに騙されてる)の食パンマンと
バイキンマンって大して悪い事してない様な・・毎回星になるまで殴るほどか?で
全ての黒幕はジャムおじさんと言う(全員の命握ってるの彼だし)


あの







アンパンマン







の事ですか?





・・・シエル先輩。

何ですか遠野くん。その顔は?
人の話ちゃんと聞いててくれましたか?

冗談にしては手が込みすぎじゃない?



・・・冗談?


キリキリと。ただでさえ角度が急な先輩の目が限りなく90度に近くなる。
・・・うわ・・殺されかねない目してるよ。



・・良いですか?遠野くん?
もう一度言いますよ?
アンパンが主役なんですよ?カレーパンを差し置いて・・・
之は・・何事にも変えがたい暴挙ですよ?許しがたい罪なんですよ?
実際に埋葬機関でもアンケートを取ったんです。

ドンと。
多数のグラフや図が書いてあるクリップボードを
相変らず何処に仕舞ってるか不思議に思うぐらい何枚も何枚も取り出す。



・・さて問題です。
カレーパンとアンパン。どちらが好きですか?
と尋ねました。
尋ねたのは埋葬機関の職員さん(?)。尋ねた人数は8人です。

・・・少な。
しかも判りきっている答えのはずなのに、ボードには何故か3つ答えの欄がある。
しかし、何故真ん中だけあんなに隠れている所が広いんだろうか?


さて・・外したら。
芽出度く第七聖典が火を噴きます。
・・・頑張ってくださいね?(ハ〜ト)

第七聖典って・・確かあのゴッツイ銃だよね?
マジですか?


・・・さあ、どうしましたか遠野くん?
初めは簡単な1番から言ってみましょうか?
之はまさか・・外しませんよね?
外したら・・今生では遠野くんとは縁が無かったと言う事で・・・

そう言って無表情で嬉しそうに第七聖典を構える先輩。
シエル先輩・・ひょっとして俺の事嫌いですか?

・・・え〜と・・・かっ、カレーパン!


ピンポンピンポン!
ピポポッポッポポポオッポオポッポッポポポオッポ
オポッポッポポポオッポオ〜〜〜ン!!

それはもう何時かのデートで食べに行ったカレー屋での顔(:歌月十夜参照のこと)と同じ位嬉しそうに
やっぱり何処からか取り出したスイッチを狂ったように連射しまくっている先輩がいた。
当然と言うか何と言うか。一番上をはがして。
その下からは、でかでかと"カレーパン!!:7人"と書かれた文字が出て来た。

さてと・・・


ってかたずけるんかい!


ちょ・・シエル先輩。他の二つは?

・・・見たいんですか?

・・・そんな無表情でニッコリ笑われると恐いんですけど。

・・しょうがないですね〜、遠野くんは。
・・・・・・後悔しても知りませんよ?

・・・・やっぱ良いです。

まぁ・・そう言わず。折角作ったんだし。
これ実費ですから。使わないと勿体無いですしね?
・・・で。当然一番下は判りますよね?

とまた無表情にニッコリ。


・・・当然・アンパンですよね。

ピポ。
・・・まぁいいけど。
そして一番下をはがして出てきたのは予想どうりと言うか何と言うか。
"アン○ン:0人"と言う文字だった。
・・・0人?

先輩?それじゃあ後の1人は?
当然それが真ん中になるわけだけど・・・

う〜ん。之はちょっとヒントを出しても難しいかもしれませんね・・・
まぁ良いです。遠野くん1番を当ててくれましたから。
此処もオープンしちゃいますね。

と言って開けてくれた真ん中には・・・



アン・・・ってちょっと待ってください!何ですか第七聖典なんて取り出して!
他の職員(?)はどうだか知りませんけど私は脅しになんか屈しませんよ!
・・何と言われようと私が好きなのはアン・・・ってギャァァァァァ〜〜〜〜〜!!
2/3人。

赤黒い文字でそう書かれていた。
何だか文字が滲んで、インク(?)の付け過ぎなのか文字の所々から下に向かって垂れている。


嫌になるほどあの色には見覚えがあった。
・・・あれって血・・・?



・・・・




さっ!シエル先輩、話を先に進めてやってください!
見なかった事にしよう。それがきっとみんなの為だ。

そうですか?
折角その時の状況を一部始終完膚無きに徹底的に3方向からビデオに取ってあるんですけど・・一緒に見ません?
あっ・ほら2/3人って不思議でしょ?
昔から教会の仲にはアンパン派とカレーパン派の大きな二大勢力があるんです。
まさか・・私のお膝元の埋葬機関にまで奴らの信者が紛れ込んでるとは・・
彼は私が異教徒と認定しました(埋葬機関の権限)から第七聖典で・・


そう笑顔で恐ろしい事を平気で言いそうになる先輩を止めるには之しか無い。

いいえ結構です!
ほらシエル先輩、今度カレー奢りますから話し続けましょう!
はい♪
早。即答ですか。しかも何だか嬉しそう。
・・・しまった。奢る量を決めるの忘れてた。
また秋葉に隠れてバイトかなぁ〜・・・と言うか1店舗の1日で出すカレーってどれ位するんだろう?(:歌月十夜参照のこと)



トホホ〜と思っている所へ
グイッ!と手をつかまれる。


それじゃあ遠野くん。早速行きましょうか?

行くって・・・何処へですか?

嫌ですね。遠野くん。さっきまで散々話した結果、行く所といえば一つじゃないですか?
・・奴がいる所ですよ。

ちょ、ちょっとまってよ!シエル先輩!
確かに・・そんな変な吸血種が居るのは百歩譲っていいとして
この町から出るのは秋葉にも色々言っとかないと行かないし、
そんな急には・・・

あんな、人様の養分を頂かないと生きていけない蚊の親戚のような輩はほっといてください。
それに、此処からでも何処からでも繋がっています。
奴は・・精霊界にいますから。
・・良いですか、遠野くん?
奴らを負かす事は比較的容易です。
ですが、奴らは顔面を変えるだけですぐ復活するんです。
そして、何故かパワーアップして此方の攻撃を全く寄せ付けません。
どれだけ攻撃しても顔以外の体には傷一つつきません。
ですから、私が動きを止めている隙に奴の"死の点"を切って下さい。
あちらには協力者もいますから。
・・大丈夫。顔はパンでも体は人間の形をしてますから、
そんなに無理をしないでも遠野くんの目で判るはずです。

せっ・・精霊界? 先輩、一体何の事言ってるんですか?
大体アンパンマンって絵本が元のお話しでしょ?
俺、よくわかんないんですけど。
それに何だか・・流れ的にひょっとして此方が悪役?
協力者ってひょっとしてバイキンマン?

・・教会にあだなす敵はどんな方法を持ってしてでも排除しないといけないんです。
返す刀でズップリ殺っちゃえば何も証拠は残りませんし・・
・・・ね?(は〜と)




・・・・ねっ・・て。



じゃ、行きましょうか!

そう言って何も言えなくなった俺を引きずって路地裏へ入っていく先輩。
何時もの様に状況に流されていく俺がいて。
チラリと見た先輩の横顔は













カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。
 カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。
カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。
カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。
 カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。
カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。カレーパンマンの中身は私の物。




あぁ・・・駄目だ。この人には逆らえない・・・
秋葉・・またお前を一人にしてしまう兄ちゃんを許してくれ・・・
遠野志貴は・・其のままこの世界から消えていった。










で。

今居るのはバイキンマンの居城。
完全に冗談だと思っていた世界は其処にあって。

真実を知るのは大分後になるけど。
先輩がアルクェイドに匿名で送ったアンパンマン絵本。ビデオ(標準取り)フルセットを使って。
彼女の空想具現化能力を上手く誘導してこの世界を作った事を知った。


・・そして今日も俺は。



ハ〜ヒフ〜ヘホ〜〜〜♪


と楽しそうにバイキンマンと踊っているシエル先輩を横目に
カレーパンマンとの壮絶な追いかけっこを繰り返すのだった。
(アンパンマンの事はもうどうでも良いらしい)











repeat again







































鉄暫・・・(激しく誤字・・)



その一撃を撃とうとしたまさにその時。
私の目に、彼女が持っている本が目に入りました。





























SB・カレーの王女さま




・・・・・・それを見た瞬間
もう。何も言えなく成ってしまいました。

今日の所は何も聞きません。咎めません。
もう・・良いですから・・帰ってください。

静まり返り、重苦しい空気のみが部屋を埋め尽くし。
ベッドで1人うなされ続ける志貴さま。
その志貴さまの隣で上の本を片手に固まっているデカ・・シエルさん。

あぁ・・・同情を禁じえない・・・(私のほうが人気ありますし)


そんな・・そんな敗者を見るような目で・・・・
こんちくしょ〜〜〜〜!!


爽やかな朝。
今日もいい天気になりそうです。

泣きながら走って退場していくシエルさんを横目に。

今日も何事も無く(?)何時もの朝が始まっていく訳です。


之が遠野家の。
遠野志貴の周りで起こる。
何時もの朝のひとコマ。




先に行っておきますが、おいらは本当の事を言うとシエル先輩に2/3カットにされてしまいます。
後、アンパンマンに特別な偏見を持って・・・・・・・・・・いませんのであしからず。

シエル先輩です。彼女とカレーはひとくくり。之ほど黄色が似合うヒロインもいません。
そして、街中で(?)聞いたアンパンマンの歌を聞きこのss(もどき)を考え付きました。



(注:アカラ様;ナデシコの劇中劇、ゲキガンガーに出て来た悪役の人。
 そのあからさますぎる行動、役回りは見ていて気持ちが良いです。)

読んで下さったあなたに感謝を・・・

ではでは・・・

2001.11.3

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