〜 8月9日 〜


〜〜〜〜〜ショッピングモール〜〜〜〜〜
ねえ、宏樹さん。
なに?
いつまでこっちにいられるの? 大学って、いつから?
ああ、バイトは8月いっぱいだけど。大学の方はまあ、履修届さえ出せば1日2日くらいは融通が効くかな。
そう・・・・・・。
寂しい?
・・・・・・。
・・・・・・なんなら、東京で一緒に暮らす?
ええぇぇぇぇぇっっ!?
あはは、冗談だよ。みよりちゃん、間違ってもそういうのに「うん」って言いそうにないもんな。
・・・・・・そんなこと、ないけど・・・・・・。
じゃあ、来る?
あっ、えっと、そういう意味じゃなくて・・・・・・(あせあせっ)。
分かってるって。けっこうみよりちゃんて、そういうところ厳しいっていうか、潔癖じゃないかな?
・・・・・・。
もしかして、そういうんだと、嫌われるって思ってる?
だって・・・・・・。
そりゃ、そういう子は面倒だとかって言う奴もいるだろうけどさ。どっちかって言うと、俺なんかだと嬉しいけどな。
え、そ、そうなのかな!?
そうだよ。自分の彼女・・・・・・って、みよりちゃんからしたら、俺なんかまだそれ以下だろうけどさ。とにかく相手のことをさ、時間がかかったってなんだって一人占めできるって、やっぱ嬉しいだろ?
うん・・・・・・でも・・・・・・。
まあなんにしたって、まだ先だよ。東京に戻るのは。それまでに、君が俺に少しはなびいてくれるといいんだけどな。
・・・・・・。
・・・・・・ごめん、なんか、無神経な事言ったかな?
ううん。ただわたし、そんなふうに言われた事って、なかったから・・・・・・。
・・・・・・マジで?
う、うん。
君みたいな子、普通は周りが放っておかないと思うけど・・・・・・。
だってわたし、ご主人様以外のひと・・・・・・あ、その。
・・・・・・。
ごめんなさい・・・・・・。でもわたし本当に、他の誰かから「付き合って」とか言われた事ないし、そんなの考えた事もなかったから、どう言えばいいのか分からなくて・・・・・・。
そっか。じゃあ、俺が最初だ。
・・・・・・ねえ、わたしのどこがいいの? やっぱり、瑞葉ちゃんと似てたから?
そりゃ、最初に逢った時は天瀬と間違って声かけたんだけどさ・・・・・・。でも可愛いんだし、性格だっていいんだしさ、自信もっていいと思うけどな。たぶんさ、君が思ってるほど、君と天瀬って、似てる訳じゃないよ。
うん・・・・・・ありがとう、宏樹さん。
じゃ、俺はこのへんで。明日はバイトが遅くなるから来れないけど、明後日かその次にはまた顔を出すよ。
うん、送ってくれてありがとう。綾瀬ちゃんも、おにいちゃんにばいばいしようね。ばいば〜いって♪
あいあーい!
あはは、ばいばい。
――ねえ、宏樹さん。
えっ?
宏樹さんて、いい人だね。
はは・・・・・・いい人ってのはまた微妙な表現だなぁ。でも、今日はそれでいいや。やっと笑ってくれたんだし。
それじゃ、おやすみ。
うん、おやすみなさい。

――ただいま〜。
あ、おかえりなさい。今日はもう上がっていいわよ。約束があるんだったわよね?
え、でも・・・・・・。
ご飯作ってあげるんでしょ? 遅くなると、お腹すかせてるわよ、きっと。
うん・・・・・・ご主人様、めんどくさがってちゃんと食べないことも多かったし・・・・・・。
今夜はどうするの? 泊まってくる?
え・・・・・・えぇぇぇぇぇぇっっっ!?
ふふっ。どっちにしろうちの鍵は持ってるわよね? 連絡とかはしないでいいから、ゆっくりしてきなさいね。明日は休んでもいいから。
え、え、だ、だって、このみちゃんも瑞葉ちゃんもいるし、そんなの・・・・・・。
あら、べつに一緒の部屋で寝るわけじゃないんでしょ? それとも、一線を越えちゃってくる気だったの?
え、やだっ、ほんとにそういうんじゃないんだってばぁ、もうっ・・・・・・。宏樹さんが変なこと言ったせいで、変なふうに考えちゃうよぉ〜。
さっき話してるの、お店の中まで聞こえてたわよ。みよりちゃんの声、よく通るから。
・・・・・・。
ねえ、雪子さん。わたし、やっぱり悪い子なのかな。このみちゃんも瑞葉ちゃんもいるって分かってるのに。わたしだって、宏樹さんと親しくしてるのに、でもやっぱり、ご主人様と会うのがすごく楽しみで、どうしても嬉しくなっちゃって・・・・・・・。
気持ちに素直でいれば、どうすればいいかは自然に見えてくるものよ。
・・・・・・うん。それじゃわたし、お先に失礼しますっ。(ぺこり)
ええ、お疲れ様。あ、それと、バスで行くならちゃんと着替えたほうがいいわよ。
あ、そっか! (ばたばた・・・・・・)
・・・・・・。
・・・・・・どうなるのかな、あの子たちは・・・・・・。



〜〜 天美館 〜〜